経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

鉄鋼・電機・非鉄が 大幅減益

2019-11-19 07:44:36 | 利益
◇ 製造業の純利益は31%減少 = 上場企業の4-9月期決算発表がほぼ終了した。日経新聞が1712社の決算を集計したところ、純利益の合計は16兆6940億円で前年比14%の減少だった。売上高は1%増加したが、人件費の高騰などで利益率が低下したと考えられる。内訳をみると、製造業は31%の減益。非製造業は5.5%の増益だった。

製造業のなかでも減益幅が大きかったのは、鉄鋼の66%、電機の54%、非鉄の32%など。自動車・同部品は16%の減益となっている。減益の主たる理由は、中国経済が不調に陥ったこと。輸出も現地生産も伸び悩んだ。その一方で、非製造業のうち小売業は17%の増益を確保した。だが、ここには消費増税前の駆け込み需要が含まれている。建設業は12%、サービス業は8%の増益だった。

重要なのは10-3月期の動向。20年3月期の通期予想をみると、全産業では7%の減益に。製造業は19%の減益、非製造業は0.2%の増益となっている。しかし米中経済戦争の完全な決着には長い時間がかかりそうだし、世界経済の見通しも暗さを増している。この程度の利益縮小で済むかどうかは、きわめて疑わしい。

特に製造業の不振は設備投資の縮小につながりやすく、下請け企業の経営にも圧力がかかる。非製造業も駆け込み需要の反動に見舞われるだろう。企業の業績悪化は予想以上に厳しく、長引くかもしれない。政府はいま景気対策の作成にとりかかっているが、この辺の実情をまず的確に把握してもらいたいものだ。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +113.44円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-11-18 08:19:23 | 株価
◇ 2万8000ドルを達成したダウ平均 = 環境の悪さにもめげず、株価は上昇した。ダウ平均は先週324ドルの値上がり。4週間の連騰で、終り値はとうとう2万8000ドルに乗せた。米中交渉は進展せず、主要企業の業績も下向き始めた。FRBは利上げも利下げもしない姿勢。好材料には乏しいが、カネ余りのせいで登りつめてきたと言えるだろう。ただ、ここまでくると警戒感も強まってくる。

ニューヨーク市場では先週、珍しい現象が起きた。ダウ平均の12日の終り値が、前日の終り値と1セントも変わらなかったのである。だが印象的だったのは、その日にトランプ大統領が「米中交渉の合意は近い」と講演したこと。にもかかわらず、株価は全く動かなかった。株価を上げようとするトランプ・マジックも、神通力を失ってきた感じがする。

日経平均は先週89円の値下がり。先々週まで5週間の連騰だっただけに、さすがに一服した。9月期の決算発表も終わりに近づき、業績の下方修正が目立っている。ここまでは外国人投資家が日本株の割安感に惹かれて買ってきたが、東証1部のPER(株価収益率)も15倍を超えてきた。上げ基調を維持するためには、何か新しい材料が必要だろう。

今週は20日に、10月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、9月の全産業活動指数。22日に、10月の消費者物価。アメリカでは18日に、11月のNAHB住宅市場指数。19日に、10月の住宅着工戸数。21日に、10月の中古住宅販売とカンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

増税のおかげで プラス成長

2019-11-16 07:56:08 | 景気
◇ 10-12月期はマイナス成長に = 内閣府は14日、7-9月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率でプラス0.2%。4-6月期の1.3%から大きく減退した。数字の上では4四半期連続のプラス成長となったが、この間の成長率はわずか0.35%に過ぎない。ほとんどゼロ成長だったと言っていい。しかも成長率がプラスになったのは、消費増税前の駆け込み需要があったおかげだ。

需要項目別にみると、GDPの6割を占める個人消費は年率でプラス1.4%。前期のプラス2.3%から大きく後退した。駆け込み需要があった割には、伸び率が小さくなっている。企業の設備投資は、前期のプラス2.8%からプラス3.5%に増加した。しかし輸出が前期のプラス2.0%からマイナス2.6%へと大幅に減少、全体の足を引っ張った。

米中経済戦争の影響などで、世界経済が変調している。このため輸出が大幅に減少、GDPのマイナス要因となった。これを内需が埋め合わせる形となったが、個人消費が伸び悩んでしまった。もし増税前の駆け込み需要がなかったら、7-9月期の成長率はマイナスになっていた可能性が大きい。

問題は10-12月期が、どうなるかだ。米中間の対立が完全に解消する見込みはまずないから、輸出の低迷はまだ続くだろう。その一方で個人消費は、駆け込み需要の反動で減退する可能性が強い。したがって、マイナス成長に落ち込むことは避けられそうにない。その落ち込みの程度が、どのくらいになるのか。まだ測定は困難である。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +161.77円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

補正予算は 防災に限るべし

2019-11-15 08:50:50 | 予算
◇ 本予算との区別を明確に = 安倍首相は先週8日の閣議で「新しい経済対策の策定と19年度補正予算の作成」を指示した。経済対策は世界経済が下降局面に入ったことを踏まえて、オリンピック後の景気下支えまでを念頭に置いた政策。また補正予算は、台風などの災害復旧とインフラの強化に使われる。関係省庁が12月上旬までに、内容を詰めることになっている。

世界経済には、冷たい風が吹き始めた。元凶となっている米中経済戦争が終息するまでには、相当な時間がかかりそうだ。中国やヨーロッパの景気も下向いている。そんな環境のなかで、日本も消費増税の影響、オリンピック需要の反動を乗り切らなければならない。そこで新しい経済対策を策定することは、必要不可欠だ。

台風など自然災害の被害も大きかった。その復興補助としては、すでに19年度予算の予備費から1300億円を捻出した。しかしダムや堤防など、インフラの補強も緊急の課題となっている。そのために補正予算を組むことも、やむを得ない。ただ補正予算の組み方には問題がある。本来ならば本予算に計上すべき支出を、補正予算に紛れ込ませる傾向が強まっているからだ。

たとえば18年度の第2次補正予算は、総額2兆7000億円。このうち3000億円は農業補助、2000億円は中小企業支援、その他にも4600億円が使われている。防災には1兆円しか充てられていない。これは政府が、本予算の規模をできるだけ増やさないための方策だと考えられる。しかし、そんな姑息な手段を続けていると、補正予算に対する世間の風当たりも強まるだろう。補正は防災関係に限ってもらいたい。

       ≪14日の日経平均 = 下げ -178.32円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

見当つかない 増税後の反動減

2019-11-14 07:55:41 | 消費税
◇ 高額の家電と化粧品は急減か = 消費増税前の駆け込み需要が大きければ、それだけ増税後の消費は減退する。その程度が大きければ大きいほど、景気は強く足を引っ張られる。このため政府も企業経営者もその程度を知りたいと計測しているが、どうも答えがはっきり出てこない。というのも分野によって動きが異なり、楽観的な見方と悲観的な見方が交錯しているからだ。また増税の前後に襲来した台風の影響も、計測を狂わす要因になっている。

内閣府が11日発表した10月の景気ウオッチャー調査によると、景気の現状判断指数は前月より10ポイントも急降下して36.7となった。前回の消費増税があった14年4月の38.4を下回っている。特に家計関連の判断指数は、前月より12.7ポイントも下がっている。この結果からみる限り、10月の反動減は決して小さくはない。しかし台風の影響を除外すると、どうなるかは不明だという。

それより少し前に総務省が発表した9月の家計調査によると、世帯平均の消費支出は30万0609円。前年を9.5%上回った。前回の増税時14年3月の7.2%よりも大きい伸び率である。ただ駆け込みによる消費支出増は、日用品などでは前回より少なく、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品、あるいは高額の化粧品などに偏っていた。

こうした動向を受けて、日用品・雑貨業界では「影響は前回より小さい」とみる関係者が多い。これに対して家電や化粧品業界では「むしろ前回より大きいのでは」と判断している。結局、全体としてみると「前回より影響は小さい。しかし事前に予想されたよりは大きい」ということになりそうだ。政府による早めの景気対策が望まれる。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -200.14円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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