経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

投資マネー と 生活マネー (下)

2020-05-06 07:52:17 | おカネ
◇ カネに変わりはないけれど = 投資マネーは赤、生活マネーは青というように、色でも着いていれば判りやすい。だが実際には、どちらも同じおカネだ。しかし、その性格は全く違う。一方は食料や飲料の購入にすぐ使われ、もう一方は貯蓄や投資に回される。それなのに、政府は「エイやっ」とばかりに10万円をばらまいたので、その意図や目標がきわめて曖昧になってしまった。

たしかに投資マネーと生活マネーを、明確に2分することは難しい。たとえば株式投資で儲けた人がそのカネで消費財を買えば、その瞬間から投資マネーは生活マネーに切り替わる。だからおカネに、赤い色や青い色を着けるわけにはいかない。しかし頭のなかで色付けをしてみれば、次のように考えることもできるだろう。

まず赤色マネーの世界。投資マネーの総額は計測できないが、天文学的な大きさになることは確かだ。これに対して株式や原油・金など、あるいは不動産といった投資対象は限られている。このため赤色マネーの世界では、通貨が過剰でインフレに。一方、青色マネーの世界は、製品にしてもサービスにしても競争が激しく供給過剰。だからデフレになる。

日銀をはじめ各国の中央銀行は、無制限におカネを供給し始めた。その一部は中小企業の資金繰りを助け、個人の金利負担も軽減する。しかし大部分は、赤色マネーの世界に流れているのではないか。特に日銀のETF(上場投資信託)買い入れなどは、その典型だろう。それが資本主義の世界と言ってしまえばそれまでだが、何とも違和感が付きまとう。巣ごもり中の皆さんは、どうだろう。

≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫               

投資マネー と 生活マネー (上)

2020-05-04 08:13:22 | おカネ
◇ 大不況下の株高 = コロナ不況にもかかわらず、世界の株価は高騰している。4月中の値動きをみると、ダウ平均は2400ドル、率にして11%の上昇。日経平均は1277円、6.75%の上昇だった。ヨーロッパ主要国の株価も大幅に上げている。アメリカをはじめ各国で、外出禁止や店舗の閉鎖などの規制が段階的に緩和されることを好感したためだ。

だが実体経済の状態は最悪。アメリカのGDP成長率は1-3月期にマイナス4.8%、議会予算局は4-6月期にマイナス40%という恐ろしい予測を公表した。日本の成長率も、民間の事前予測では1-3月期がマイナス5.2%、4-6月期はマイナス21.7%に落ち込む見通し。当然ながら企業の業績も悪く、通信・半導体・医療などを除けば、大半が減益か赤字決算に苦しんでいる。

にもかかわらず株価が上昇するのは、潤沢な投資マネーのおかげだ。FRBも日銀もコロナ不況対策として、無制限の通貨供給政策をとり始めた。資金はいくらでも供給される。コロナ・ウイルスが終息して経済が再稼働すれば、株価は上がる。それに乗り遅れないようにと、投資家はいまから買い始めていると言えるだろう。

一方、目を転じると、各国政府は生活マネーの供給にも懸命だ。特に店舗の閉鎖で収入が途絶えたパートやバイトは、その日の生活費にも困窮している。このため安倍政権は、国民1人当たりに一律10万円を支給することになった。だが本当に困窮している国民は、何人いるのだろう。おそらく大半の国民は貯蓄を増やすだけ。しかも、そのうちの多くが投資マネーに転用されると考えられる。

                                (続きは明後日)

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (8)

2020-05-02 08:08:45 | なし
◇ ベトナム戦死者を超えたアメリカ = 日本時間1日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は6万1005人で、あのベトナム戦争による戦死者の数を超えた。次いでイタリア、イギリス、スペイン、フランスの順で、いずれも2万人台。あとはベルギー、ドイツ、イラン、ブラジル、オランダと続いているが、これらの国はまだ1万人には達していない。

前週からの増加数でみると、アメリカが1万4220人の増加。続いてイギリスの2597人が多い。注目すべき点は、大半の国での増加数が前週より減ったこと。例外はイギリスとブラジルで、この2国では増加数が増えている。このためアメリカをはじめ増加数が減った各国では、行動規制を徐々に緩和する動きが出始めた。しかしイギリスでは、その動きがない。

日本の死亡者数は469人だった。前週に比べると128人増加している。前週は137人の増加だったから、増加数はやや減っている。しかし、この程度では緊急事態宣言を続けざるをえない。韓国の死亡者数は247人で、前週比7人の増加。中国は4633人で、わずか1人の増加となっている。

アメリカやイタリア、スペインやフランスなども、外出制限や店舗の休業規制を段階的に緩和し始めた。各国ともにその内容はさまざまだが、今後“ぶり返し”が起きないかが最大の心配事に。それとブラジルにみられるように、中南米やアジア、アフリカの新興国では流行が広がらないのか。注目して行く必要がある。

       ≪1日の日経平均 = 下げ -574.34円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   

想像を絶する 不況 / アメリカ

2020-05-01 08:17:20 | アメリカ
◇ 4-6月期のGDPは4割も縮小する = アメリカ商務省が29日発表した1-3月期のGDP成長率は、年率換算でマイナス4.8%だった。新型コロナ肺炎がアメリカで猛威を振るい出したのは、3月も下旬になってから。にもかかわらず、1-3月期のGDPは大きく落ち込んだ。4月以降は、その影響がまるまる現われてくる。議会予算局は、4-6月期の成長率が年率マイナス39.6%になるという試算を発表した。

外出禁止や店舗の営業休止で、1-3月期の個人消費は7.6%減少。企業の設備投資も8.6%減った。この傾向が4-6月期には何倍にも拡大すると、予算局はみているわけだ。同時に雇用情勢も急激に悪化する。予算局は3月に4.4%だった完全失業率が、4-6月期は14%に跳ね上がると試算した。途方もない大不況が、思わぬ形でやってきたと言える。

ただ、こうした成長率の数字はすべて年率換算。この調子が1年間続くと、こうなるという意味だ。したがって秋以降に景気が上昇すれば、20年を通した成長率はずっと改善された数字になる。中国は1-3月期の成長率をマイナス6.8%と発表したが、これは前年同期との比較。アメリカや日本と同様に前期比を年率換算すれば、マイナス34%程度になるはずだ。

さて、日本の成長率はどうなるだろう。内閣府は5月18日に1-3月期のGDP速報を発表する予定だ。これから民間の予測が次々と公表されるが、おそらく年率換算で10%台のマイナス成長となるのではないか。そして4-6月期はさらに悪化すると覚悟しなければならない。それにしても、そうした状況のなかで株価だけが急騰しているのは、どうも異常な感じがする。

       ≪30日の日経平均 = 上げ +422.50円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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