経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

“大恐慌”と どこが違うのか (上)

2020-05-13 07:49:13 | 景気
◇ 不況の長さはずっと短い? = 新型コロナ・ウイルスが経済に与えた打撃は予想以上に大きく、世界経済はいま不況の底に沈んでいる。打撃の強さは金融危機やリーマン・ショックをはるかに超え、90年も前の世界大恐慌に匹敵するという見方が広がっている。たしかに不況の深さは大恐慌に近いかもしれない。しかし不況が続く長さは、コロナ不況の方がずっと短いと言えそうだ。

世界大恐慌は1929年、ニューヨーク株式取引所から始まった。10月24日の大暴落をきっかけに、株価が急落。これが引き金となって、不況の波は世界に広がった。しかも不況は長期にわたって続き、1933年にルーズベルト大統領が大々的な景気対策を打ち出すまで、多くの人々が暗黒の日々を暮らすことになった。

1929-33年の間に、ダウ平均株価は9割も下落した。アメリカのGDPは3割も減少、失業率は最悪の時点で25%に達している。これに対して今回、株価は2月の高値から3月の安値までが37%の下落。しかも現在までに、その半分を取り戻している。ただアメリカのGDP成長率は、4-6月期にマイナス40%に落ち込む見通し。失業率は4月の時点で14.7%、大恐慌が始まった当時の水準に上昇した。

しかしアメリカをはじめ先進諸国は、すでに段階的な経済再開への移行を模索している。このため最悪期は4-6月期で、その後は景気の回復が見込めるようになった。大恐慌のときには不況の最悪期が4年も続いたが、今回はずっと早く立ち直るだろうと期待されている。ただV字型の急回復は難しく、ゆっくりしたペースでの正常化になるという見方が強い。

                              (続きは明日)

       ≪12日の日経平均 = 下げ -24.18円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫  

家計調査にみる 消費行動の大変化

2020-05-12 08:05:29 | 家計
◇ ゲーム機は2.6倍増、航空運賃は85%減 = 総務省が発表した4月の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費支出は平均29万2214円で前年より6.0%減少した。新型コロナによる外出規制を反映したもので、消費増税の反動が出た15年3月以来の大幅な減少となっている。さらに“巣ごもり”の影響で、消費が大きく伸びた品目と大きく減った品目が対照的に浮かび上がった。

その内容を大分類でみると、最も減少したのは被服・履物で前年比26.1%の減少。次いで教養娯楽費が20.6%減、教育費が17.4%減などとなっている。外出を控えたり、学校が休みになったためだろう。前年より支出が増えたのは、住居費、光熱・水道費、それに保険医療費の3項目だけだった。

小分類でみると、最も減少したのが遊園地入場・乗り物代で86.8%の減少。次いで航空運賃が84.7%、パック旅行が83.2%、映画・演劇等入場料が69.6%、鉄道運賃65.2%、宿泊料55.4%などと、軒並み減少した。マスクをしたせいか、口紅の購入も減っている。その一方、増加したのはゲーム機が2.6倍、ゲーム・ソフトが2.5倍。食品ではパスタが44.4%、即席めんが30.6%の増加。トイレット・ペーパーは26.4%の増加だった。

いま外出規制や店舗の休業が、徐々にではあるが解除されようとしている。そんな状態のなかで、こうした消費行動はどう変化してゆくのだろう。外出が増えれば、被服・履物の消費は回復するのだろうか。ゲーム機は一巡すれば伸びは止まりそうだが、ソフトは増え続けるのか。その予測を間違えないことが、今後の会社経営や株式投資にも役立つと思う。

       ≪11日の日経平均 = 上げ +211.57円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-05-11 08:12:56 | 株価
◇ 大不況下での半値戻し = ダウ平均は先週608ドルの値上がり。終り値で2万4000ドルを回復した。2月の史上最高値から3月の安値まで1万ドル以上も急落したが、その53%を取り戻している。一方、日経平均も先週は2日間の営業日で560円の値上がり。こちらも2万円台を回復した。2月の高値からの下落分を52%取り返している。

驚いたのは、週末8日のニューヨーク市場の動きである。この日の朝発表された4月の雇用統計は、目を疑うほどの惨状だった。非農業雇用者数は前月比で2050万人もの減少。失業率は14.7%と、前月より10.3ポイントも上昇した。リーマン・ショックや金融危機どころではなく、1930年代の大恐慌にも匹敵する凄まじさだ。にもかかわらず、ダウ平均はこの日455ドルも上昇した。

専門家はテレビで「雇用情勢の悪化は予想されていたので、市場は織り込み済みだった」と解説していたが、とうてい納得できない。アメリカでは各州でコロナ規制の解除が始まり、経済の正常かが進むと期待されている。その動きに乗り遅れまいとする投資家の買いが株価を押し上げているのだろうが、ある意味では壮大なバブルとしか言いようがない。今週もそんなムードが継続するのだろうか。

今週は12日に、3月の景気動向指数。13日に、4月の景気ウオッチャー調査。15日に、4月の企業物価。アメリカでは12日に、4月の消費者物価。13日に、4月の生産者物価。15日に、4月の小売り売上高と工業生産。5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が12日に、4月の消費者物価と生産者物価。15日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (9)

2020-05-09 08:07:54 | なし
◇ イギリスは最悪期、ブラジルは要注意 = 日本時間8日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は7万3435人で、ついに7万人を超えた。次いでイギリスが3万0150人で、3万人台に載せている。続いてイタリア、スペイン、フランスの順で、いずれも2万人台。そのあとはブラジルで、8588人となっている。日本は603人と人数は少ないが、増勢は止まっていない。

前週と比較した増加数は、アメリカが1万2430人。イギリスが4053人だった。ただ、この両国を含めた多くの国で、増加数は前週よりも縮小している。2週続けて縮小した国も少なくない。そうしたなかで増加数が増えたのは、ブラジルと日本。ブラジルは3075人の増加。日本は前週の128人に対して、134人の増加だった。

人口100万人当たりの死亡者数では、いぜんとしてベルギーが732人でトップ。続いてスペインの554人、イタリアの490人などとなっている。全体として最悪期にあるとみられるイギリスが、間もなくこのグループに追いつきそうだ。ブラジルはまだ41人だが、急速に増加しそうで要注意国と言えるだろう。日本は4.75人で、前週より1.06人増加した。

こうした状況のなかで、ほとんどの国が何らかの形で行動規制の解除に向けて動き出した。各国の感染状態や規制解除の方法は、みなまちまち。したがって一概には言えないが、すべてがコロナの抑え込みと経済再開の両立に成功するとは思えない。今後の推移を慎重に見守る必要がある。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +504.32円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】  

安倍首相 最大のピンチ

2020-05-08 08:19:21 | 政治
◇ 14日の緊急事態解除が難問 = 安倍首相は4日、緊急事態宣言の期間を31日まで延長すると発表した。コロナ感染の現状からみて、やむをえない延長だと考えられる。ただ経済の痛みはそれだけ激しくなるわけで、国民のストレスも強くなって行く。当初は「1か月の延長」と言っていたのを「31日まで」としたのも、緊急事態の期間を少しでも短く感じさせるための戦術だったのだろう。そして「14日には解除できるかどうかを検討する」と約束せざるをえなかった。

ところで明治維新以来の日本で、いまほど自治体の首長が脚光を浴びている時代はない。毎日のようにテレビに映り、その一挙手一投足に国民の注目が集まっている。今回も安倍首相が緊急事態宣言の延長を発表するやいなや、小池東京都知事が中小企業に対する追加支援を打ち出し、吉村大阪府知事は解除に関する大阪モデルを発表した。

安倍首相が専門家会議の意見を聞くなどして同様の政策を表明すると、どうしても知事のアト追いの印象を免れない。これまでの経過からみても、国民の間では「安倍首相の決断はすべて遅い」といった評価が定着しつつある。当然ながら安倍首相は、この点を最も気にしているはずだ。

14日には、解除の程度や方策について決めなければならない。ここでまた知事たちに先を越されると、安倍首相の“遅さ”は決定的なものになってしまうだろう。自民党内からも、批判の声が噴出する公算もある。と言って、知事の先を行くために大胆な解除策を打ち出し、コロナ感染の再発につながれば、これは命取り。安倍首相にとっては、どうにも難しい局面になってきたようだ。

       ≪7日の日経平均 = 上げ +55.42円≫

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>