どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (3)

2006-02-13 01:46:21 | 連載小説
 その夜、おれは大塚駅南口のジンギスカン料理店で、ビール一本と慣れない日本酒を飲んだ。お銚子にして二本の二級酒は、あまりうまいとは思えなかった。それでも、目の前で湯気まじりの煙を上げはじめた羊肉をほおばりながら、久しぶりの脂の味を酒で流し込んだ。  どんな境遇に置かれても、その場その時の悦びはあるものだ。  おれは、まだ熱をもったまま食道を下り、胃のなかに落ちていく咀嚼物を、おれの細胞が先を争って . . . 本文を読む
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