どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (4)

2006-02-16 08:02:25 | 連載小説
 夜中に、一度目が覚めた。  おれは押入れを出て、廊下の突き当たりにある共同トイレに向かった。  トイレと背中合わせに設置された炊事場も、明かりを落として静まり返っている。こうして水場を一箇所にまとめた作りは、住人の感情さえ斟酌しなければ合理的なのかもしれなかった。  ともあれ、おれが通ってきた廊下を挟んで左右に五部屋ずつ並んだ三畳間は、どの部屋も電気が消えていた。最近引っ越していった一部屋を除い . . . 本文を読む
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