どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (5)

2006-02-18 02:37:21 | 連載小説
 この密かな儀式のような瞬間を、もうどれほど繰り返してきたことだろう。食欲と性欲が渾然となって意識される、至福の一刻を。  おれは、おれだけに与えられた豊饒の感覚を崇めて、大それた発見でもしたかのように陶酔していた。白菜がみせる裸身の美しさに、たったひとり美を見出すことのできる自分の感性に、自負を抱いていたということだ。  しかし、いつまでも悦びに浸ってはいられなかった。空腹にせかされ、アルミ鍋と . . . 本文を読む
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