「あけぼのや白魚白きこと一寸」
この句は「のざらし紀行」に典拠する。
「まだほの暗きうちに浜のかたに出でて」との前詞がある。
鋭い感覚的な句であり、桑名の東郊、浜の地蔵堂で詠まれた。
「白魚」は一般的には春の季語であるが、この句では「白魚一寸」として冬に
扱った。初案は「雪薄し・・・・・」であったが、雪の白と白魚の白とで印象
が分裂する。後に「雪薄し」の五文字を「明けぼのや」に変えて完成した。
優れた解説なのでそのまま披露する。
ことさら付け加えることは何もない。
芭蕉の句は各方面で研究されていて、二つ三つの解釈を合わせ読むと芭蕉の試行錯誤まで浮き彫りになって興味深い。
有名な句でも完成形になるまでには何度か手を入れている。
言葉〈感覚〉を大切にする芭蕉ならではの作業である。
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