松も取れて、見通しの難しい平成31年が始まった。
新年を迎えるにあたって、一年の計を立てるわけでもなく、ただ初詣だけはしておこうとあまり目立たない神社に足を運んだ。
当地には40を超える神社と120に近い寺院が名を連ねているが、その中でもかなり知名度が低いのではないかと思われる白山神社を選んだ。
階段を上るとすぐに参道があり、数十メートル進むとまた次の階段が待っている。
まだ本殿の姿は見えず、これは少々しんどいのではないかと心配になった。
それでも手すりにつかまって登っていくと、山の中腹の開けた場所にたどり着いた。
標高100メートルぐらいの山だと思うが、ほぼ三分の一程度登った位置ではないだろうか。
まず目についたのは、本殿前で焚火をする印半纏の男たち。
どうやら、参拝客に甘酒をふるまっているらしい。
白煙、 紫煙がただよっていて、まるで鎮守の森に迷い込んだみたいだ。
本殿はちんまりしていて、地域の人びとが大事に守り続けてきた神社という感じだ。
初詣に集まってきた老若男女も、どうやらこの辺りの住民に見えた。
そして、すぐ左横のテントは、初詣のためにしつらえられた縁起物の販売所だ。
お札や破魔矢、お守りに絵馬、鈴に御神籤なんでもある。
ためしに御神籤を引くと、深大寺以来の「大吉」が出た。
過去に宝くじに当たったとか、そんな幸運に巡り合ったわけではないが、「大吉」を引くと悪い気はしない。
たかが御神籤されど御神籤といったところか。
まあ、この齢まで無事に生きてこられたことに感謝をしよう。
、
お参りが終わったら、いま登ってきた階段を逆戻りだ。
上から見ると、景色が違って見える。
けっこう高いところまで登ってきたのがよくわかる。
提灯がなかなか似合っている。
ひなびた感じすらする。
もうすぐバス通りに出る手前の場所に集められた石碑や地蔵が、古い時代を思い起こさせる。
これらにも、村の守り神だったのだろうと思わせる素朴さがうかがえる。
巨石に刻んだ句碑が据えられていたので、お参りに向かう最初と最後にチラ見したが、どうやら酒好きの俳人が奉納したものらしい。
時代も号も確かめなかったが、いずれにせよ有力な氏子だったのだろう。
神社への影響力のほどがうかがえる。
(おわり)
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