アリウム(花葱)
(城跡ほっつき歩記)より
アリウムは 花材のルネサンス
乾拭きして 黒光りする廊下に
かあさまが活ける 無造作な生花
素朴な技に 和ガラスが微笑む
朝の緑茶をお淹れして
小粒の梅を二つ三つ
とうさまの書斎に古書の薫香
創作の場に力みなぎる
忘却の歴史に 血を通わせて
蹌踉の志士らに 息を吹き込む
原稿用紙には 加筆の傷跡
朱に染まった文机に 合戦の昂り
場違いな図鑑にはアリウム・ギガンテウム
悪しざまに言えば紫色のネギ坊主
執筆をやめて生花の妙を見る
うたた寝の夢に異形の僧立てり
とうさまの時代物に ファンありて
丈高き本棚に 背表紙並ぶ
塵ひとつ無い廊下に 内助の花器
杉玉に倣い 「新作あり」の心意気
嫁入り前の娘ひとり
かあさまの手元で作法を習い
とうさまの背中に気迫を学ぶ
されど古家との別れは倣うものなし
古家との別れは 倣うものなし・・・・
* 杉玉=新酒ができた合図として造り酒屋の軒に掲げる杉の葉のボール。酒林とも。
アリウムは名前を知らなければ
葱坊主や八つ手の花によく似て
丸い柔らかな形や
古風な紫色からでしょうか
古家によく合いますね
杉玉に倣い 「新作あり」の心意気は
とうさまへの最高の愛しみでしょう
優しい環境で大きくなられた
ひとり娘さんも
嫁がれても幸せな人生が待っているようで
暖かい気分になりました
アリウムの名前がわからず
やっと探し当て
苗を仕入れようと思ってます
ありがとうございます
一枚の写真から得た物語に、膨らみを持たせていただきありがとうございます。
恥ずかしながら、ひとり娘を嫁がせる親の気分を想像いたしました。
アリウムについては私も知りませんでした。
生花の花材としては、珍しくないようですが・・・・。
ただ、苗から育ててとの発想はなかなか出てこないので、あらためて嬉しく思っています。
いつもコメントをいただき感謝しております。