江戸時代の流星雨
(ウィキペディア)記録図より
きのうまで手にしていたものが
今朝見るとなにもない
なれ親しんだ友だちとの約束も
放課後に置いてきた缶蹴りのカンも
昼下がりに縁側から見上げた空の青
光を満身に浴びた入道雲の輝き
つかの間まどろんで目覚めると
手品を見るように黒い帳が下りている
ああ 光まで奪おうとするのか
失うことに馴らされてはきたが
希望までが鈍色にくすみ始めている
全身に増殖する倦怠の気配
とつじょ中空にとどろく驚愕のオペレッタ
黒雲を引き裂く音響装置の痙攣
イナヅマが地上に飛び火し
少年は縁側にうち伏す
冷気を伴って降り注ぐ雹のシンバルが
すべての生き物を叱咤する
なんという細胞の蘇生力 そして快感
天啓に見開く少年の虹色の瞳
なにもなくなった後に
すべてがある
失われた記憶の奥に
ふつふつと沸き立つ命の貯蔵庫がある
絶えることなく噴き出す再生の熱水
出現するチューブワームたち
思えば地球は炎熱と氷河に耐え
われらの手元に暗号を残してくれた
宇宙もまた未知の粒子に乗せて
生命素材を送り込んでいる
今夜は待望の流星雨だ
明日はスーパームーンが地球を照らすだろう
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