どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(2)

2006-01-18 22:58:54 | ポエム


   『家出した猫のヒュー』


きょう、不思議なことがあった

夕方、暮れ残った空に黒い影が舞い
ジグザグに狂おしく黒い影が舞い

瞬く間に、視界から消えた

そのとき、僕は
ついに世界の終焉が
先触れの舞を、生き物の頭上に放ったのだと思った

ヒューが居なくなったのは、いつのことだったか
僕の頭の中から家出した猫のヒュー

ヒューが、僕の中に棲めないと見切りをつけたのは
たぶん正しかったのだ
手裏剣を投げなくなった僕に、愛想を尽かした

ヒューは頭の良い猫だから
車に轢かれたり、甘言にたぶらかされたりなどしないはずだ

夕空で、ジグザグに乱舞した黒い影が
せめてヒューの未練であってくれればと

終焉を信じたくない男が、空を見続ける









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