紅葉の志賀草津高原ルートをゆく(3)<渋峠~蓮池・丸池>
志賀高原はスキー場で有名だが、ほかにもハイキングコースやトレッキングコースがあり、若者にも中高年にも人気があるようだ。
今回たまたま通りかかった蓮池の紅葉は、白根から渋峠を越えて堪能してきた山岳ルートの美しさとは別に、点在する池への関心を呼ぶものだった。
ドライブ時点では池の名が判らなかったが、蓮池は文字通り水面に蓮と紅葉を浮かべて人の足をとどめた。
調べてみると、ここまで走ってきた区間だけで五つの池があった。木戸池、三角池、小池、長池、そしていま見入っている蓮池である。
まったく予備知識なく292号をたどってきて、いきなり紅葉の蓮池にめぐり合えたことは、前回も書いたとおり幸運としか言いようがない。
池について先に記してしまえば、蓮池のあとにも丸池、琵琶池といった大き目の池が控えている。
ボートにも乗れる丸池が代表になっているのは観光上当然なのだろうが、隠れた小さな池たちに人知れぬ美の発見があるのかもしれない。
クルマを降りてカメラを構えると、池の上だけぽっかりと開いた青空から午前の壮んな陽光が降り注ぎ、その日差しを受けて池端の白樺が白く輝き、池越しの紅葉が紅く燃え立った。
静かに水面をひろげる池には、小さな蓮の葉が最良のアクセントとなっている。
時をとめた一瞬を写し取るつもりでシャッターを押すが、すべてを一枚に収めようとするとバランスが崩れる。
「実際はこんなもんじゃないよ」と胸のうちで呟きながら、全景を収められない技量の言い訳をする。(写真)
ところで、前回「睡蓮か」と書いたのは正解だったようだ。おそらく池の底から長い茎を伸ばして葉を茂らせ、季節が来ればピンクかムラサキの花を咲かせるのだろう。
背後を通過するクルマを気にしながら、何枚か撮った。
丸池スキー場の案内板を横目に見ながら、次のポイントを探して先を急ぐ。ちょっと奥へ引っ込んでいるだけで、琵琶池などへは寄りもせずに・・・・。
志賀草津高原ルートの行き着くところは、湯田中渋温泉郷になりそうだ。数年前に友人と泊まったときには、すでに温泉情緒を失いかけていたが。
広い舗装道路を長野市方面に向かいながら、どういうルートで家に帰るか思案していた。
(つづく)
人知れぬ奥地に、ひっそりとある池、その名前がまた愛らしく蓮池だなんて!
それにこの彩りこそ、人の手のまったく入っていない天然美と思えます。
「信州っていいなあ」と感心するより、日本全体にはまだまだこんな静けさに包まれた名所(?)がたくさんあるのでしょうね。
帰路、どんな発見があるか、また楽しみです。