紅葉の志賀草津高原ルートをゆく(4)<蓮池・丸池~湯田中温泉>
平地に降りると、下界は夏日になっていた。
オリンピックの恩恵を享受して、快適な舗装道路292号を一路長野市方面へ疾駆する。
右手に湯田中・渋温泉郷らしい川沿いの町が見えてきた。(ああ、あそこだな)と、見覚えのある風景にほっとする。
ところが、かつては川を越えさえすれば簡単に行けたはずなのに、直線道路がドーンと敷かれたために旧来の道路へ下りるI・Cが限られているのだ。
道の駅『北信州やまのうち』の案内標識が見えたころ、湯田中温泉へ通じる二つ目のI・Cが出てきた。
飲み物しか持ってこなかったから道の駅へも立ち寄りたいのだが、先に降り口があってはそちらが優先だ。
この近くには角間温泉のほか小さい温泉場がいくつもあるようで、温泉通には楽しみの多い場所だろう。
右へ曲がって星川橋を渡ると、湯田中温泉街はもう間もなくだ。
ところが道路工事で、直進できない。やむなく左折して街中の道を行くと、湯田中の源泉塔と神社風の建物に出くわした。
もしかしたら、ここも湯屋なのだろうか。畏れ多くて覗かなかったが、立ち寄り湯だった可能性もある。
周辺にはさまざまの飲食店や一杯飲み屋が軒をならべている。温泉があればこその営みだ。源泉が枯れないようにとの、住民の祈りが感じられる。
まだ十一時前、女性が見せる起き抜けの顔を陽がさらす。普段見せない温泉街の素顔に遭遇し、まあ歓楽路線も仕方ないかと納得する。
本当は通行止めになった先の温泉街に行きたかったのだが、これも時の運ということにして諦める。
先刻来た道を戻り292号に乗り直すと、道の駅『北信州やまのうち』はすぐだった。
ちょうど赤い羽根募金の時期だったらしく、トイレの前に大人が四人ほど並んで募金箱を抱えている。
おそらく交代で割り当てられた町民なのだろう。義務的に立ってはいるが、ドライバーが一番先に駆け込む場所だけに、かえって気後れして気弱な呼びかけに終始していた。
奥に農産物の直売所があったので、新鮮な葡萄を買った。透きとおった緑のアレキサンドリアだった。
木造の観光地図が掲示されている。
志賀草津高原ルートは、ここ山ノ内町で完結するようだ。
草津からの山岳ロードをくねくねと縫ってきた。その軌跡が木の板の上にはっきり描き出されている。
あらかじめ地図を調べてから出発する人、あとから通過してきたコースを確認する者。・・・・性格の違いだろうか。
この先、どこを通っていくか、まだ決めていない。
道の駅で少々時間をつぶしたあと、照り返しのなか再び本線に乗り出した。
(つづく)
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