伊呂波もみじ
(城跡ほっつき歩記)より
あの子どっちになりたいの?
カップルの女が訊いた
え? だれのこと・・・・誰もいないよ
だから、あの葉は何色になりたいの?
ああ、あの池の向こうのもみじね
そう、朱になりたいのか緑のままでいたいのか
なるほど、そういうことね
都内の公園を散策していると
みずみずしい伊呂波もみじの葉が水辺にかかり
色鮮やかな紅葉が秋の深まりを見せるものもある
あの子どっちの色になりたいのかな
カップルの女性はまだ気にしている
もみじ自身の問題だろう?
男が呆れたように答える
あなたって探究心がないのね
そんなことないよ、繁る場所で違ってくるのさ
日当たりがいいかどうかってこと?
それもあるけど、昼と夜の温度差が関係してる
この公園はあまり温度差がないってこと?
12月になれば夜の気温は一気に下がるはずだよ
ふ~ん、意外とノータカなのね
なんだい、そのノータカって?
あら、ほんとに知らないの?
ノーズロならわかるけど、ノータカはねえ
いやらしい、ほんとはスケベだったの?
面目ない・・・・言い訳のしようもない
はは、赤くなってる・・・・可愛い
君には負けるよ
赤く色づいたから教えてあげる
まるでもみじ扱いだね
ノータカはね、能ある鷹は爪を隠すの略・・・・
へえ、それって流行ってるの?
知らない、あたしが勝手につくった言葉だもん
いやあ一本取られたね、謝って損した・・・・
謝る人って信頼できる
あんがい可愛いとこ発見しちゃった
こっちは照れくさいよ
ちょっと寒くなってきたわね
これを羽織ったら?
うれしい、ありがとう
男のコートに包まれて女は肩を寄せる
頭上の伊呂波もみじがさわさわと揺れた
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わたしの方は地球観測所のある鳩山町と丘陵続きにあるピースミュージアム<平和資料館>内にあるカエデもみじが真っ赤に色づいて2日前に撮影に行って来ました。
青空の下、タワーとのコラボがとてもキレイでした。
紅葉の名所はあちこちにありますが、それぞれの場所で異なった風情を見せてくれますね。
さきほど(iwadonosansou2)のブログを拝見させていただきましたが、イチョウの黄葉と楓もみじの紅葉が1枚の写真に取り込まれていて、さすがだなと感心しました。
農閑期の季節、精力的にご活躍のご様子、なによりと思いました。
お立ち寄りありがとうございました。
カップルのチャーミングなやり取りが詩になっていて、楽しませていただきました
こういう感じ映画にもありましたっけね
たまたま知り合った男と女が、夜から朝までしゃべくりながら見知らぬ街を歩き回る、、、
ノーズロ、、、というのも笑ってしまいました。
いまならノーパンなんて言うのでしょうが。僕の世代にはノーズロの方が色っぽい。
石田衣良の『夜あるく』という短編小説もカップルがエロチックな会話をしながら歩くだけなのに魅力的でした。
こういうシュチエーションは単純ですが、誰にも覚えがあるだけに引き込まれます
「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」「ビフォア・ミッドナイト」は、それぞれ10年近く間を空けて、同じ俳優を起用して完成させたのでしたよね。
その会話の味のあること、ほんとに何度見ても飽きない映画でした。
3作ともDVDを購入してしまってあるのですが・・・・。
今回の詩が、思い出すきっけとなっていただけたとしたら光栄です。
『夜あるく』という短編小説もあるのですか。
いつも教えていただき、ありがとうございます。
性をテーマにした短編小説を12本集めたものですが、どれもとても上質の作品で、私は好きです。
石田さんもお気に入りのようで、あとがきで「今も時間をおいてこの方向の作品を書きついでおり、いずれ『SEXⅡ』を出したい」と書いています。
出たかどうかは不明ですが・・・