どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム169 『凍てつく白妙菊』

2017-08-24 00:35:00 | ポエム

 

     白妙菊

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

 

  6月だというのに

  あなたは寒さに震えているの?

  それとも雪女の生まれ変わりですか

 

  持統天皇がこんな歌を詠んでいるというんですね

  春すぎて 夏来にけらし 白妙の 

  衣ほすてふ 天の香具山

 

  なるほど白妙の衣をイメージしたんですか

  神棲む大和三山の一つ天の香具山に

  夏の訪れを感じた歌ですね

 

  これまで雨に霞んでいた大和の山々が

  ギラギラの夏を迎える直前の季節感を

  白妙菊の風情に喩えたのですね

 

  だけど少々意地悪なことを言っていいですか

  あなたの立ち姿からは衣など想像できないんです

  むしろ立ち枯れの悲惨さが頭をよぎります

 

  100年に一度などと伝えられる異常気象が

  ヤマセとなって東北地方を襲ったことがあります

  白妙菊の姿は災害列島の行く末を連想させませんか

 

  ガックリしているようですね

  でも本音はごまかせません

  季節は夏でも あなたの周りは凍てついて見えますよ

 

  

 

 

 

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