『落石注意』の怪
国道145号を起点の羽根尾から吾妻渓谷方面に向かうと、切り立った崖が次々と現れなんとなく不安な気持ちに捕らわれる。
垂直に近く見えるのは気のせいかもしれないが、コンクリートを吹き付けたり金網を張って落石を防御している様子は、あまり気持ちの好いものではない。
大雨の後、日本各地で崖崩れや落石による被害が報道されるが、今夏は吾妻鉄道ですら土砂崩れによって運行を妨げられたぐらいだから、長雨や台風の後このあたりをクルマで通過するときは首をすくめてしまう。
それにしても『落石注意』の立て札に出くわすと、いささか憮然たる気持ちに襲われるのは私だけだろうか。
狭い一本道を往くドライバーに、どう注意しろというのか。あぶないと思ったら引き返せというのか。
そんなことをする者はおそらくいないはずで、みんなおのれの幸運を信じて「エイヤ」っとばかりに突き進むのである。
おそらく事故に遭った人も自分が岩の下敷きになるなどとは夢にも思っていなかったはずだ。
「信じるものは救われる」というが、この程度の信じ方では神様は許してくれないのだろう。
豪雨の日に例の立て札がある絶壁の横を走り抜けながら、少々不遜なことを考えた。こっそり看板を書き換えたらどうだろうかと。
『落石覚悟』・・・・。
昼間なのにライトを点けたクルマが、猛スピードですれ違っていった。
ありますねえ、「落石注意」とか「危険!」とかの看板が。おっしゃるとおり、おのれの幸運を信じるしかないんだけど、もし、不運だったら?
思うにあれは当局の、何かの言い逃れに使うのとちゃうんじゃないの。事故後、「ちゃんと看板を掛けておいたのに」とか、「不注意だねえ」なんぞと言われて。かといって、あんな看板がなかったらどうするか、という疑問もあるしね。いや頭が痛くなる。
『落石覚悟』・・・怖いねー。
怖いからみんな考えないようにしている。
今年限定で『落石しょうがない』『落石・絆創膏用意』なんてのはどうでしょうか。
知恵熱おやじ