からたち
(城跡ほっつき歩記)より
学校へは人力車で送り迎えされた
成人してからもお嬢さん育ち丸出しだった
美貌ではあったが生涯スキだらけだった
最初の結婚で人生の厳しさを知った
理由はあったが姑に離婚させられた
こどもを取り上げられ死ぬまで面会できなかった
その女性の死は悲しい出来事だったが
病室にはいっときぼうっとした空気が滞留した
これからどこへ行ったらいいのと戸惑っていたのだろうか
振り返れば生前の彼女は悲しい顔を見せなかった
再婚後に襲ったさらに過酷な運命さえ乗り越えた
心に負った傷は大きかったろうに笑顔でやり過ごした
朝の早起きはなにより苦手だった
急かされたり分刻みのスケジュールも苦痛だった
人生を事前に設計すことなど考えられなかった
だから彼女は忘れることを選んだのだろうか
とぼけたような受け答えをして哀しみを見せなかったが
ほんとうにすべてを忘れる方がいいと決めたのだろうか
カラタチの生垣の奥には生き別れた子供がいる
刺に阻まれ手から血を流しながら何度も懇願した
唐立さん枳殻さん応えてください枸橘さんお願いです
再婚の夫との間に愛の結晶を授かった
その夫に見送られて私どこかへ行きます
夢見心地の旅だから周りの人が案ずることはないのです
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早々にコメントをいただき、ありがとうございます。
終活なるもの、自分の人生を飾って少しでもよく思われたいという気持ちなのでしょうが、なにか操られている感じがします。
やはり愚かしいですね。
詩にこめた心情を汲み取っていただき、感謝です。
コメント処理、ひとつだけ残しました。
近年”終活”などといって、自らの希望するラストシ-ンを生きているうちに書き残し演出しようということが流行っているようですが・・・なんだか愚かしいような気がします。
少なくとも子供や肉親が身近にいるのであれば、自然に任せるままに老いてぼけて、いろんなことを適度に忘れながら自然に消えるようにこの世からいなくなる、というのが私は良いのではないかと思うのですが・・・
この詩はその意味で実に優しい