ティリンスの古代遺跡に立ち、しばし3500年前にタイムスリップ。
長い通路を経て、宮殿の内部に入ってきたようである。
こちらは端っこで、どうやら櫓だか見張り台のような?
こんな宮殿の跡を掘り起こす作業は、どれだけエキサイティングだったでしょう。
シュリーマンは多くの作業員を雇い、毎日ここに通って発掘を続けたそうです。
そして暑い夏の盛りに、昼休みになると石に頭を乗せて昼寝をするのがとても
気持ちよかったそうです。
いまは石ころばかりですが、もちろんここの領主の財宝、金銀製品や宝石細工、
青銅器や土器なども多数見つかっています。それらは今は博物館^^;
シュリーマンの夢
シュリーマンは、ナフプリアに滞在して、毎日明け方にティリンスの遺跡にやってきて発掘を続けた。掘り起こした遺跡を見ると、城塞の城門を通り、堂々たる楼門があり、歩廊を通って宮殿の中庭に入ってゆく。衛兵所の部屋を通過して、さらに楼門に出る。宮殿奥の広間に行くまで、これほどまでに門の連続が示すものは、領主は人民からとてもかけ離れた存在であるということを示している。偉大なる文明が長い時を経て、ふたたび姿を現した。
宮殿には男子用の広間と女子用の広間があり、ゼウスの祭壇が中庭に置かれている。これはホメロスの叙事詩に書かれている描写と同じ状態を示しているではないか。やはり伝説の物語、古代ギリシャの文明は、はるかなる過去に実在していたのであり、シュリーマンはその証拠を掘り当てたのである!
シュリーマンによる探求はまだ終わらなかった。ミケーネ文明の発掘によって、彼の出発点であったホメロスの世界よりもまだ昔の時代、東方から強く影響を受けたさらに古い文明が存在していたことが明らかになったからだ。彼の夢は実現したともいえよう。しかしその時点で、さらにまたはるかな夢が生まれたのである。