伊那からバスで高遠へ到着しました。バスターミナルは「高遠駅」といいます。むかし
伊那から高遠まで鉄道を敷く計画があったそうですが、採算が取れそうにないので計画は
消滅したそうです。だから「駅」という名前がついたのかな。
なかなか風情のある町のようですね。伊那からバスしかないという陸の孤島のような
土地なのですが、城址はあるし、歴史は古い町なのです。
おお、ナイス歪み具合。その向こうのプレハブみたいな直線と比べると、ずっと味わいが
ありますよねえ。しかし散髪屋が向かい合っているのか?
高遠は桜で有名です。「ノア」のマスターに「これから高遠に行く」と言ったら、「桜の
季節は観光バスがぞくぞくとやってくる」と言っていました。たしかにこういう桜が満開の
時期には、さぞや壮観でしょう。
桜は自然に成長したものではなく、品種改良したものを植樹して育てたものだから、桜で
有名な所は巨大な庭園だろうと池澤夏樹が書いています。たしかにそう。高遠の町全体、
そして城址公園を全部ひっくるめて、ここは大きな桜の庭園なのでしょう。
ぶらぶらと歩いて昼飯はここにしました。
蕎麦屋は酒が飲めていい。寒いので燗にしてもらいました。酒は地酒の「仙醸」。
野沢菜っぽい突き出しもいいねえ。
鴨つくねつきのざる蕎麦を注文。鴨は歯ごたえがしっかりしていてとても旨い。そばつゆ
には味噌と山わさびが出て来たぞ。溶かして食べろと。右はクルミのたれ。
おおお、大根おろしではないか。なので味付けに味噌と山わさびなのかー。大根おろしで
蕎麦を食うのは、あわら温泉以来だなあ。あんときゃ薬味もなく、ひたすら大根だったが。
自分で味噌と山わさびを溶かして食べてみると、これはこれでまあまあ。右のクルミだれと
順番に食べるのもいい。
やっぱり昼酒でほんのりあったかくなって歩くのはいい。こちら名物のソースかつ丼と
ビールも考えていたが、蕎麦に日本酒でよかった。さむいもん。
城というのはだいたい山の上にあるもの。少し歩いてゆくと、遠くに山が見えました。
だーれも歩いていません。みんな車に乗るからなあ、というんじゃなくて、そもそも
車も走ってねーぜ。そうだ、この歩いている道も全部舗装されているから、人っ気がない
のが不思議に思えるんだ。土の山道なら人がいなくても気にならないかも。人口が少ない
人の通らないところを立派な舗装道路にするって、誰も乗っていない電車を走らせるような
ものなのかもしれませんねェ。