静内には夜に到着したので、ホテルに荷物を置いたらすぐに出動だ。こじんまりした
町だし、ホテルから夜の繁華街は近い。この町に来てみたかったのは、池澤夏樹の
『静かな大地』の舞台だからである。淡路島の士族が幕末に北海道開拓移民となり、
主人公の青年がアイヌ民族と共生の道を歩みながら牧場経営に奮闘するという話だ。
主人公は親しくなったアイヌの兄貴分に牧場を作りたいと話すと、そのアイヌは静内の
とっておきの土地を見せてやる。主人公は最適の土地だと喜び、すぐに日本政府に
登録の許可を願い出ようという。
そのアイヌは「誰にも見せたことのない俺だけが知っているこの土地を、今日初めて
おまえに見せてやった。それがどうして日本政府のものになるのだ?」と言う。
「いずれ次々に和人がこの土地にやってくるし、そうでないとロシアがやってくる。
だからしかたがないのだ」と主人公は言うが、アイヌはその答えに納得しないし、
主人公も納得してもらえるとは思えない。
その場面が特に印象的でしたねェ。
さて目指す一軒目は、肉料理を出す店だ。
おうおう、ここだー。
ドライはあまり好きではないが、この店のお勧めでマスターがサーバーから出して
くれるので頼むことにしました。サラダも美味しかったぞ。
サーロインステーキ!じつはメニューに「えりも短角牛サーロインステーキ 2000円」
とあったので、一番高いやつだけどこうなりゃコレだぁ!と言ってみたのですが、店の
おばちゃんは「これは200gからなんですよ」とすぐに注文を受けない。 む?
よく見ると「100g2000円」と書いてある。「ということは、200gで4000円という
ことですか…」「そうです(やや笑みを浮かべながら)」「では普通のサーロイン
ステーキをお願いします」ということになったのであった。
そーねー、俺一人でそんなの食ってもなあ~。高額投資をしたくなるような人となら
食べてもいいけどなあ~。ん?下心まる出しでいらん?
肉とくれば赤ワイン。昼に食べた様似の寿司屋は月曜定休。こちらのステーキは水曜
定休。どちらも行きたかったので、宿泊の調整が難しかったのだが、結局昼と夜に
贅沢な食を一日で堪能することになったのでした。
おやじさんとの会話もなかなか楽しかったのですが、今日はビールとワインで余力を
残している。そこで2軒目情報を聞いてみた。しかーし、おやっさんはあまり外に
飲みに出ないという。静内の歴史を語ってくれるような大御所のいるスナックなんぞに
行きたかったのだが、「どこの店も新しいよ」とおっしゃる。それではな。。。
というわけで、ひとりふらふらと町を彷徨ったのだが、どうもピンとくる店がない。
結局この日は1軒で終わりということになったのでした。