先日、千里山東の画廊喫茶「ル・パルク」に昼食に行くと、知人のSさんにプロにより特別に作成された写真集を見せられました。以前この写真集を撮影する目的のために、台湾まで娘さんと3人で旅行するということをお聞きしていたのを想い出しました。
手に取るとずっしりと重さが伝わってくるのは、表・裏表紙を面取りが施された厚いガラス板で挟んでいるためでした。指紋が付かないように気をつけながら、先ず少し小さめのお母さんの写真集から開きました。そこにはどこの貴婦人かと見紛われるほどの姿で、エマニエル夫人のごとくSさんが籐の椅子に優雅に座っています。高級なチャイナドレスのスリットから覗く妖艶なイメージのものもあります。衣装・メイクアップそしてライティングやレイアウトなど、相当な撮影・編集技量が感じられる仕上がりです。Sさんの満足気な顔を見てもそれは感じられました。
2人の娘さんの方はやや大きなグラビア雑誌ほどの立派なもので、それぞれの個性が活かされた可愛らしい表情や、また反対に意外な一面を引き出したページで構成されています。こちらはゴシック・ロリータと言われるファッションや、社交界を想わせるパーティー・ドレスなど多様な物語シーンで彩られています。
日本から多くの顧客を獲得しているこのような変身写真サービスが盛況なようです。演出と撮影そして制作を合わせて7万円(2万円)の価格が、果たして高いのか安いのか僕には分かりませんが、美味しい中華料理や景色も楽しめる旅行の一齣とすれば、女性には大変魅力的なのかも知れません。
翻ってこれから観光立国を売り出して行こうとしている日本でも、例えば江戸時代の風俗で写真集を制作するなどは面白いのではないでしょうか。