横浜市中区大桟橋通と日本大通に挟まれた場所、県庁前に昭和6年(1931)に建てられた「英国総領事館」であった「旧館」と展示室と講堂を有する「新館」からなる「横浜開港資料館」はある。鉄筋コンクリート造り3階建で、銅版屋根をもつ邸館風健築で古典主義建築である。元「英国総領事館」は1階は執務室、2階は事務官2世帯の住宅、3階は使用人の住居という設計で建てられたが、昭和47年(1981)に横浜における業務が終了し昭和56年(1990)に「横浜開港資料館」として開館した。海岸通りに面した部分には商館倉庫風デザインの「新館」が建っており、「たまくすの木」がある中庭を挟んだ奥に壮麗で優雅な「旧館」と繋がっている。旧館の1階中央の記念ホールは旧英国総領事館時代には「待合室」だったところで、現在は来館者の「休憩室」となっている。訪れた日は運よく無料開放されており記帳後、1階の展示室へ。ここには「横浜開港への道」としてペリー来航とその前後の世界情勢や日本、そして横浜の様子が紹介されている。ペリーの「日本遠征記」をはじめ、黒船やペリー一行ヘの驚きと興味を示す瓦版、開港間もない横浜を描いた錦絵、地図、写真等が展示されている。2階のには「街は語る 開化ヨコハマ」をテーマとして文明開化期の横浜は欧米文化が摂取される窓口となったことを展示・紹介している。横浜開港資料館は横浜の歴史に関する資料を収集し閲覧・展示・出版など公開する施設であり、横浜の歴史と資料を通して次世代に伝えていく「近代横浜の記憶装置」の役割を担っているとしている。1854(安政元)年に日米和親条約が締結された場所で、当館の中庭にある「たまくすの木」は条約締結の時からあったと伝えられている。平成19年(2007)には経済産業省「近代化産業遺産」に指定された。(2104)
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