ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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米企業業績不安で、NYダウ125ドル安、原油38ドル、ドル87円(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-13 10:42:19 | 経済学
 「馬を川の傍まで連れて行くことは出来ても馬に水を飲ますことは出来ない。」ロンドンの書店で20数年前に買った「オックスフォード・英国ことわざ辞典」の表紙絵にある。

表紙絵に使われるほどだから、英国でも、ことわざ中のことわざなのだと思われる。

 NY原油〈WTI〉先物相場が、1月12日、取引時間途中ながら、バレル37.81 ドルで取引された。今朝のWSJ紙は、米景気回復には時間がかかる。世界最大の原油・ガソリン消費国米国の需要の先行きが芳しくないからだと書いた。

 冬場は暖房用油の最需要期である。イスラエルのガザ侵攻、OPEC大幅減産期待、ロシア・ウクライナ間の天然ガスを巡る軋轢。願ってもない相場環境に恵まれている。水を飲みたくない馬には原油も用がない。この日は金相場も用なしで821ドルルまで急落した。

経済とからだの健康には共通点が多い。健康な人間でも食欲がなくなると黄信号が点滅する。まして世界的な金融危機の最中、満身創痍の状態で、食欲がなくなると赤ランプが灯る。水を飲みたくない馬にいくら水を飲まそうとしても不可能だと先のことわざは教えている。

 「泣く子と地頭には勝てない」ということわざが日本にある。広辞苑によれば「道理をもって争っても勝ち目のないことをいう」とある。経済でいう道理と同列に議論できないが相場の道理から見れば、買い物が入るはず。しかし食欲がわかない以上、値段は上がらない。

 食欲がわかないということでは、最近のユーロ相場にも顕著に現れている。NY外国為替市場で、ユーロが先週の地合いを引き継ぎ売られ、1ユーロ=1.3434ドルで取引された。株もだめ、原油もだめとなると為替で儲けようとする投機資金がユーロ売りに流れやすい。

 今朝のWSJ紙は、今週のユーロ相場のレンジは、1ユーロ=1.32~1.36ドル、1ドル=87~92円と、アナリストは予測していると紹介していた。ユーロ売りは、木曜日開催予定のECB(欧州中央委員会)で、0.5%利下げで年2.0%となることが材料に使われている。

 欧州の景気回復に時間がかかる。ユーロは寄り合い所帯である。ユーロ圏の一角を占めるスペイン経済が破綻の危機にある。同じくメンバーのギリシアはスペイン以上の財政危機に直面しているとして、少し先を見れば1ユーロ=1.27ドルという予測まで出てきた。

 ユーロには買い物が入り難い。しかしドルもオバマ景気刺激策の効果が出るまでには時間がかかる。オバマ効果のご利益が薄まる。よってドルも安心して買えない。日本円にどうしても買いが集中する。NY為替市場で、一時1ドル=87円台で取引された。

 急激な円高は日本経済にとって好ましくない。日銀がドル買い介入に動くかもしれないと今朝のWSJ紙が紹介している。ただ、抜くぞ、抜くぞと脅かしても、鞘の中が「竹光」ならどうにもならない。そのあたりを「水鳥」は即見抜く。介入による効果は疑問であろう。

 NY株式市場では、米企業業績不安から株が売られ、先週末比125ドル安の8,474ドルで取引終了した。企業業績悪化が懸念されたアルコア株が一時8%以上値下がりした。JPモルガンとシティの証券部門統合の話が出てきていると今朝のCNNテレビは流していた。

 日本はどうか。国会では「定額給付金」一点張りである。麻生首相は12日フジテレビの番組で、「いま一番欲しいもの」を問われ、「国家の誇り」と色紙に書いたそうだ。いま一番求められているのは麻生首相ご自身の誇りである。誇りをなくした人間に魅力はない。(了)

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「昼得」キップは重宝だが、なぜか円高還元は進まない(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-12 11:18:01 | 経済学
 神戸と大阪の間をいつの頃からか「阪神間」と呼ぶようになった。どの当たりをそう呼ぶか諸説ある。芦屋、西宮界隈を指していうひとが多い。住む場所によって多少は違うが、例えば大阪へ出るにも神戸へ出るにも、JRでも阪急、阪神でも30分前後で可能である。

JR本山や住吉界隈の住民も神戸市民だが、感覚として「阪神間」の人間だと思っているひとが多い。一度は「阪神間」に住んでみたいと思うひとは昔から多いようだ。少なくとも便利だという点では、文句がつけようのない場所である。

ところが、世の中うまい話ばかりではない。14年前の1月17日に阪神淡路大震災がその「阪神間」を痛撃した。「阪神間」は表向き綺麗になった。一皮むけば家族それぞれに、からだの奥深くまで傷を抱えている。神戸株式会社と揶揄された神戸市もその一例である。

JR本山駅から神戸元町まで10キロほどの距離がある。JRに乗れば170円かかる。土地のひとはなぜか俗にバッタ屋と呼ぶ、チケットを特売する場所で買えば、土曜、日曜と平日の午前10時から午後5時までの間であれば135円である。同距離、私鉄よりJRが安い。

いつものように話は飛ぶ。一年前たまたまベルギーへ出かける機会があった。その時のレートがバッタ屋で1ユーロ=170円だった。先週末のNY外国為替市場で、1ユーロ=121.77円前後で取り引きされた。バッタ屋で買えば多少高いが1ユーロ=130円で買えるだろう。

先のキップのことを土地のひとは「昼得」と呼んでいる。170円区間で35円「得」だから、大いに重宝している。生活防衛のせいだろう駅前のバッタ屋に並ぶ人が最近急増した。

170円区間を135円で買える。為替の世界では、1ユーロ=170円が1ユーロ=135 円で買えると置き換えれば分かりやすい。公式レートで計算すれば、160円だったユーロが121円で買える。25%分、日本円の値打ちが上り、日本はユーロ圏からその分安く買えるようになった。この逆で自国通貨の値打ちが下がれば、即狂乱物価である。

昨晩たまたまCNNテレビを見た。世界の場末でのランチタイムの食べ物店めぐりの番組を放送していた。日本もいれて、ホンコン、バンコック、イスラマバード、メキシコ、ロンドンなど一ヶ所3~4分程度の時間で足早に紹介していた。

その中には屋台もあった。異口同音に、不景気になった。客が2割3割減った。物価が上がった。値段は上げていないなどと答えていた。燃料代が上がった。小麦粉、家畜のえさ代が上がった。それ以上に通貨価値が下がった結果による輸入インフレの影響が大きい。

NY外国為替市場でみると先週末はユーロの値下がりが厳しかった。今週末開かれるECB(欧州中央銀行)が0.5%追加利下げするとの思惑がユーロ下げを助けたようだ。対円では1ドル=90.40円、1英ポンド=137円、豪州ドル63円、NZドル53円と円が買われた。

日本の貿易全体でみれば直近昨年11月データで、輸出が5兆3000億円(電機20%、機械20%、自動車25%)、輸入5兆5,000億円(鉱産物30%、食料9%)である。円高は輸出面では痛撃を与えた。同時に輸入には恩恵をもたらした。資源輸入大国にプラス面も多い。

通貨の値打ちが上がって外国から物を安く買える円高を国民が実感していない。円高メリットを迅速に庶民に還元するにはどうするか。この問題こそ国会で真摯に議論すべきだろう。

円高がももたらした国益は絶大だ。ドル90円ユーロ120円の意味を考えて欲しい。(了)

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予想(よ・そ・う)は逆さ読みして「ウ・ソ・ヨ」か?(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-11 08:52:34 | 経済学
 オバマ米次期大統領は、米時間土曜日、1月10日、7,750億ドル(約70兆円)の景気刺激策について、ラジオとインターネットを通じて米国民に説明したと今朝のWSJ紙が共同通信社の配信記事を紹介していた。

 オバマ氏は説明の中で、「ある経済モデルにもとづいていることと米議会で最終的にどのような形でまとまるか誰も予測できない」として「見通しが大きく食い違うこともありうる」と、あくまで「条件つきである」ことを認めていると記事にあった。

 一方、米下院民主党は、米金融安定化法見直し案をまとめ発表している。オバマ経済刺激策に対する期待は高まっている。しかし、今回の米金融危機は、一筋縄では解決しない難物であると見られており、米議会で紛糾すれば、期待はずれに終る可能性は十分あるだろう。

 昨晩たまたま見た「朝日二ユースター」というテレビ番組で、パネラーの一人が、「ある日本の財界の年始会に出たが、日本の経営トップ全員がオバマ景気刺激策に期待していたのでがっかりした」と話していた。

 年初には「2009年はどんな年になるか」でテレビ、新聞、雑誌総動員で賑やかなことである。当の番組でも、原油、金利、為替に加えて日経平均株価、世界景気は何時回復するかと出席者にそれぞれボードに書かせていた。北浜流一郎氏の見方を中心に以下紹介する。

 原油ではバレル100ドルが最高で60から70ドルというのが大方の見方だった。金利は日米がゼロ金利になり下げ余地はない。欧州になお下げ余地を残している。金利との相関関係からみてユーロ相場が値下がりする。対ユーロで1ユーロ=100円の予測も出ていた。

 日経平均株価では、株式予測の専門家の北浜流一郎氏が、11,000円〈本音は12,000円といいながら〉を予測していた。氏は「不景気の株高」という言葉を繰り返していた。他のパネラーは最高が12,000円、最低10,000円だった。

ただ最高値の時期がはじめ上げて年末下げと2月以降から下げて年末高と意見が分かれていた。年末高と見る人もあくまで「今年限定」であるとして来年以降は全く予測が付かないと認めていた。株価予測では日本の政局の影響はないという点では一致していた。

「NYダウがどうなるか次第で日本の株価は決まりですよ」と北浜氏は断定していた。「日本には自国の株価をリードする力はない。その意味ではオバマ経済刺激策次第だと見ざるを得ない」と話していた。財界もオバマ、株式予測のプロもオバマでは誠に心細い限りである。

 原油相場では、北浜流一郎氏は、「原油の予測は全く信用できない。昨年は200ドルと予測しておきながら今年はじめには32ドルである。今年も再び200ドルとはやしたてているひとがいる。せいぜい70ドルだろう。」と話していた。

 予想(よ・そ・う)は逆さ読みすれば「う・そ・よ」だと教えてくれた人がいる。予測ほどあてにならないものはないからだろう。「予想」など議論するのは時間の浪費だ。いいかげんにして議論などするのは「よそうよ」と吉本興業なら言うかもしれない。

 オバマ次期米大統領も「エラーありの条件つきだ」とクギを差した。未曾有の世界的な金融危機であることは誰も認めるところである。ただ、世界が日本のお金をあてにしていることだけは確かである。国会の日々の議論を聞いているとこの国の行く末が誠に心配だ。(了)

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2008年、戦後最大、米失業者259万人増、NYダウ143ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-10 12:48:43 | 経済学
 戦争中、疎開をしていたとき、食事をまともにいただいたことがないという話をしても、なかなか通じないことがよくある。ところが先日テレビニュースで上野公園「炊き出し」現場で「ご飯がこんなにおいしいとは思わなかった」と話す若者の声を聞いて妙にほっとした。

食べるということでは、最近、特に気になるコマーシャルがある。以前、あるお相撲さんが「うまい!!」とご飯を掻き込む場面があったが、最近は「うちの子供がねぇ、お茶漬けが大好きなの!」という母親のせりふが出てくる。ご飯は噛むもので掻き込むものではない。

亡父のすぐ下の弟は10歳で亡くなった。「あの子は小さいときからお茶漬けが好きだったからだ」と言っていた父の言葉がいまも耳に残っている。メタボで悩むご婦人がよく噛んで食事をはじめたら、お腹が着実にへこんできたというから噛むことの効用は絶大なようだ。

「噛む」ということばを広辞苑でひくと「上下の歯で物をおしくだく。咀嚼するなど」と出ている。「噛む」は「口」偏に「歯」と書く。「年齢」という文字にも「歯」という字が入っている。人生を噛みしめて送っておられる方に、稀に出会うとほっとする。

前置きが長くなった。米労働省が、12月の非農業部門の雇用者数が52万400人減少したと発表した。11月の改定数字では58万4,000人だったから「改善」とみる意見もある。年間通じてみると259万失業した。失業者は9月からの4ヶ月で一気に増えた。

今朝のWSJ紙によると、1月に入ってからでも、AT&T,デュポン、バンクオブアメリカ、アルコアなど米国のトップ企業が一斉に首切り(Job Cut)をはじめた。12月の失業率は7.2%へ上昇した。数ヶ月先には8%を越えるだろう。

ノンボランタリーの非正規社員を失業者に含めると12月の米失業率は、13.5%になる。一年前の失業率から6%以上増えた。時間当たり給与は前月比5セント増えて18.36ドルだったが、リセッションが賃上げを抑えていると今朝のWSJ紙は紹介している。

業種別では、サービス産業での失業増が27万3,000人と最大だが、次に大きい業種は、製造業で14万9,000人増、この内自動車関係で2万1,000人失業者が増えた。建設不動産は10万1000人増えた。米国が本格的なリセッション入りで失業が全業種に拡大してきた。

唯一明るい業種は、ヘルスケア、教育関係で4万5000人雇用が増加した。政府関係もわずかだが9,000人増加している。製造業や小売に比較的関連の薄いこれら関連の業種に人が流れ込んできているとWSJ紙は紹介している。

NY株式市場は、第二次世界大戦後最大という259万人の失業者が増えたという12月の雇用統計発表を受けて、売り先行で取引がはじまった。前日比143ドル、1.6%安、8,599ドルで取引を終了した。財務長官経験者のロバート・ルービン氏が辞職すると発表したシテー・グループの株価が5.7%急落したことも下げを助けたとWSJ紙は解説している。

NY原油(WTI)先物相場は、バレル81セント下げ、40.83ドルで取引された。金相場が安全投資先とされ、今週全体で見れば2.8%上げ854ドルで取引された。NY外国為替市場では、米失業増加を無視して、ECBの利下げ期待からドルが対ユーロで買われた。

ひもじい思いを経験したことがない人の話は信用できない。「職」を失うことはそのまま「食」を失うことにつながる。2008年米雇用が259万減った意味を噛み締めて欲しい。(了)

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原油安、円高だが、なぜか庶民の生活に反映されない(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-09 08:52:17 | 経済学
 たまたま一年前の08年1月9日の讀賣新聞朝刊の経済欄のスクラップが手元にあった。昨年1月8日の日経平均株価14,528円、対米ドル顧客売りレート110.01円、米ドル外貨預金6ヶ月物金利2.71%と出ている。

 一年後の1月9日の同朝刊によると、日経平均株価8,876円(前年同日比61%),対米顧客レート93.78円〈同85%〉,対米ドル外貨預金6ヶ月物金利0.01%(同0.36%)である。

 一年前の1月8日の記事に、「NYM原油反発、バレル97ドルで取引された。1月3日、史上最高値の100.09ドルをつけた。」と出ていた。一年後の1月8日のNY原油はバレル41.70ドルで取引を終了した。様変わりである。為替はドル=91.13円である。

 昨年9月15日、リーマンブラザーズが破綻した。ここへ来て金融不安は沈静化の兆しが出ているが、商品相場下落、米雇用情勢は悪化したままで回復のメドは立っていない。オバマ米大統領の政策期待はあるが、米小売不振を嫌気してNYダウは前日比27ドル安、8,742ドルで取引を終了した。一年前の67% である。

 日本の株価の下げに比べNYダウも下げたがまだ下げ方は少ない。日本円の値打ちは対ドルで15%上がった。株価は39%値下がりした。外国人にコントロールされている日本の株式市場の構造が裏目となり、外人の換金売りが日本株に集中的に出た結果である。

 為替レートで見れば、一年前と比べて、日本円は対ドルで15%値上がりした。対ユーロでは22%、対英ポンド35%、対豪州ドル31%、対韓国ウオン39%と値上り幅の大きさが目立つ。しかし、99%海外から資源を輸入する日本の店頭価格になぜか素直に反映しない。

 一年前の新聞には「原油急騰、家計を直撃」と題して、NY原油がバレル100ドルをつけたことを取り上げ、原油値上りが日用品に波及することを警戒した記事を掲載している。現在、原油もガソリンも1/3以下に値下がりした。値下がり効果を新聞は取り上げない。

 一年前全ての金融機関は、外貨預金を庶民に奨励していた。対米ドル外貨預金レートの0.01%ほどでないが、対ユーロ0.99%〈一年前は2.90%〉、対英ポンド0.75%〈同3.96%〉と金利低下が著しく、一年前に外貨預金した人は利下げと為替目減りのダブルパンチである。

 英国中央銀行(ECB)は、1月8日、主要政策金利を年2.0%から1.5%へ引き下げを決めた。1694年設立以降最低の金利ということで欧米メディアも一斉に取り上げている。英国の金利は英国景気が米国以上に悪いことからゼロ金利に限りなく近づく見通しである。

 ECBの利下げの余波を受けて、ユーロ金利も金利低下期待する専門家は多い。日本の専売特許だった「ゼロ金利」に加えて、欧米の中央銀行が「金融量的緩和」との「併せわざ」で金融危機乗り切ろうとする姿勢が最近特に目立ってきた。

 為替レートでは、中国人民元は一年前は15.02円だった。今年1月8日のレートは13.57円と約10%日本円は値上がりした。台湾ドル17%、香港ドル15%と韓国ウオンほどでないがアジア通貨に対しても日本円の値打ちは上がっているが店頭価格に反映してこない。

 原油、穀物相場が値下がりし、円高が一段と進んだ。ところが電気代、ガス代も下がらず、庶民生活に反映してこない。国会では「定額給付金」を巡り不毛の議論を展開している。

 一年前の新聞が結構いろいろなことを教えてくれる。是非国会でも議論して欲しい。〈了〉

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米景況感悪化を嫌気、NYダウ245ドル安、NY原油42ドル、ドル92円(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-08 08:53:58 | 経済学
 オバマ次期米大統領による景気刺激策に対する期待感からやや暴走気味で上げていたNY株式市場だったが、実態経済の悪さを予見させる指標が出た途端一気に反落、NYダウは前日比245ドル安い8,769ドルで取引を終了した。

 NY原油(WTI)先物相場も、株式同様、急激な上げの反動も手伝って、米石油在庫増発表を嫌気して反落、前日比バレル5.95ドル安い42.63ドルで取引を終了した。このところ上げていた金相場も前日比オンス24ドル下げ841ドルで取引された。

 NY外国為替市場では、ここ数日ドル買い優勢の地合いが続いていたが、景気指数悪化と株急落を反映して、ドルが売られ、1ドル=92.60円前後で取引された。米国の膨大な財政赤字や米景気の先行きを悲観する米FRBコメントを再認識せざるを得なかったようだ。

 NHK・BS「おはよう世界」では、ドイツZDFが、昨年同時期より控えめだが、失業者が310万人に達し12月の失業率が7.4%に達したと報じていた。フランス・ドウーは、この日から始まる5週間のバーゲンに入ったが、在庫を大量にかかえた小売店が、例年にない5割引、7割引と大幅な値引きで、買い物客が殺到している様子を画面に流していた。

 イギリスBBCは、英大手小売のマーク&スペンサーが、売り上げ不振から27以上の店舗を閉鎖、正規社員ふくめて1,200人解雇を発表した。あと一年間は厳しい時期が続くと会社役員のコメントを紹介していた。

 一方、ロシアがウクライナのパイプライン経由の天然ガス供給をストップすると発表した。ロシアはウクライナの代金未払いを非難し、ウクライナは一方的にロシアが悪いとお互いがののしりあっている場面を毎日のように外国のテレビ番組も流している。 

 ののしりあいということでは、イスラエルとパレスチナ間では、ロシアとウクライナの比でない。「ニューズウイーク」(日本版)(1月14日号)に、ダニエル・クレードマン(米国版副編集長)が、その間の事情を詳しく解説している。

イスラエルはイスラム原理主義のハマスを殲滅する。一方パレスチナの目的は和平ではない。イスラエルという国をこの世から消滅させるためだと書いている。イスラエルはユダヤ人のための国家として生まれた。ハマスを叩き潰す以外道はないと一歩も譲る気配がない。

米国の経済指標に戻す。米国の労働事情を表すADP指標によると12月の労働データが、約70万人減少すると発表された。米労働者は12月の米雇用者数を週末発表予定である。相当厳しいデータが出るだろうとの観測から、投資家の間で弱気虫が一気に噴き出した。

米国の景況感悪化の材料としてアルミ大手のアルコア(Alcoa)が、今回の不況は長期化するとして従業員15,000人解雇、工場の追加閉鎖、資産売却、本年度の設備投資を50%引き下げなど一連の不況対策を発表したことも相場下落をリードしたとWSJ紙は解説した。

日本はどうか。国会の様子が連日テレビ放映されている。いつものことであるが、なんと日本と言う国はのどかな国だとつくづく思う。昨日は「定額給付金」を巡って麻生総理と与党、野党が交代で登壇して原稿を丸読みするだけの不毛な言葉のやり取りを続けていた。

2009年は己〈つちのと〉丑(うし)・九紫火星の年である。「火」がキーワードとなり天災、人災が世界で多発する巡り合わせの年だそうだ。日々健康に留意して、地道に送りたい。(了)

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米国人が突然貯蓄をはじめた。米国景気回復は遅れる?(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-07 10:43:36 | 経済学
 「大学生の学力低下をどう防ぐ」というタイトルが今朝の讀賣新聞の社説に出ていた。中身を読めば背景に大学全入時代を迎えて、高校生が勉強しなくなったと書いてあった。日本と言う国がいかに恵まれた国だということがこれだけでも十分理解できる。

ワシントンに滞在していたとき、マレーシアから語学研修に来ていたLim君と言う19歳の青年と話をしたことがある。「Kenは英語を勉強しなくても生きていける。僕は英語を勉強しないと生きていけない」と、こともなげに言った。

ワシントン駐在時代に、日本の新聞社の特派員の一人Oさんに、「新聞社は新入社員教育をどのようにやっているのか」と伺ったことがある。彼は「勉強は自分でやるものだ。ひとに言われてやるものでない。」と言われて妙に納得したことを今もよく覚えている。

いつものように話は飛ぶ。昨日のWSJ紙にアメリカ人が貯金に突然熱心になり始めたと、ケリー・エヴァンス記者がロッキー山脈ふもとのアイダホ州BOISEという町で2家族から取材した記事を載せていた。

リックとノーレン・キャップファミリーは、クレディツトカードを減らし、貯金を始め、二人の子供をレストランに連れて行くのを止めた。ジェシカとアレン・ミュールファミリーは、子供服はバーゲン専門に切り替え、野菜は近所の家族と纏め買い、暖房の薪は近くの山に出かけるようにした。

米国の家計の負債は、米FRBが正式に統計を取り始めた1952年以来はじめて2008年第3四半期で前年同期比マイナスを記録した。米国の個人消費は、同じ期間、17年来最低を記録した。

米国政府は、家計の収入と支出の差を貯蓄と計算している。ここ数年アメリカ人は収入以上に支出し、貯蓄率はゼロ以下になっていた。エコノミストは、2009年には、それが3~5%いやそれ以上になる。貯蓄が増えれば消費は減る。米国ではGDPの70%は個人消費である。貯蓄増加により昨年第4四半期のGDPを少なくとも5% 引き下げると予測している。

Boiseの町に15の都市銀行の支店がある。売り上げは全部あわせて7億200万ドル(約670億円)である。銀行のまとめによると、昨年12月時点で、預金口座を新規開設件数が前年比26%増加した。失業者が増えると預金口座開設が増えるという珍現象が起っている。

Boiseの失業率は07年11月2.7% だったが昨年11月に6%になった。それでもアメリカ全体の6.7%より低い。ところがこの町も失業が増え2010年には10%と予測している。

オバマ次期米大統領は、経済閣僚との会合のあと記者会見して米国の財政赤字は1兆ドルに達すると発表した。米FRBが発表したFOMC(連邦公開市場委員会)議事録は、「失業が増え、GDPは落ち込み、一部にデフレ懸念が指摘された。」と厳しい内容だった。製造業受注高が前年比4.2%落ちている。足元の米国経済は深刻化を続けていることを示した。

NY株式市場は、はじめ130ドル上げ、あと一時マイナス圏に突入、最後は前日比62ドル上げて9.015ドルで取引を終了した。投資家の不安心理が落ちつきのない相場展開に現れた。原油相場もウクライナとイスラエル紛争材料に一時バレル50ドルまで値上がりした。

米国人が貯蓄を始めた。オバマ景気刺激策が不発に終らぬことをひたすら祈りたい。(了)

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NYダウ81ドル安、NY原油48ドル、NYドル93円(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-06 16:12:20 | 経済学
ブッシュ大統領が広島を一昨日訪問していたため交通渋滞がひどかったと近くの喫茶店の客が話していたとマスターからが聞いた。どうして今頃、広島にと店で話題になっていた。
 さんざんの評判のブッシュさんの後釜に座るオバマ次期米大大統領がいよいよワシントン入りした。二人の娘さんが郊外の私立学校に通うことが決まったとも報じていた。オバマ氏の7700億ドル強の景気刺激策が議会で審議されることで期待感が高まっている。
 週明けのNY株式市場では、米企業業績悪化とオバマ経済刺激策に対する期待感との綱引きとなり、米景気悪化懸念が上回った。原油相場がバレル48ドルまで急騰したことも悪材料にされ、NYダウは先週末比81ドル安の8,952ドルで取引を終了した。
 NY原油先物市場では、イスラエルのガザ攻撃がエスカレートしてきたこととOPEC減産が実行されているとの材料を好感して、値上がりし、バレル48.81ドルで取引を終了した。一時、49.18ドルまであった。ガソリン、灯油も値上がりした。
 NY外国為替市場では、オバマ景気刺激策期待からドル賀引き続き買われた。1ユーロ=1.3616ドル、1ドル=93.45円、1ユーロ=127.10円で取引された。イタリア国債を巡る賄賂スキャンダルが引き金でユーロ売りが目立ったと今朝のWSJ紙は紹介している。
この日のユーロ売りには、ECBルーカス・パパデモス副総裁がインフレ率低下から見て追加利下げは正当化されると発言したことも影響した。英国中央銀行も英小売不振から大幅利下げが予想される。英欧の利下げを材料に対ポンド対ユーロでドル買いが当面続きそうだ。
 今朝のWSJ紙は、英国の小売不振が深刻化していると報じた。英でパート大手のデーべンハウスが10億英ポンド(約1,360億円)の赤字決算発表が予想される。当社の株価は昨年で67%値下がり下。その他デパートも値引き合戦が熾烈で傷口を広げている。
 今朝のNHK/BS[おはよう世界]では、250年の歴史を持つ陶器老舗のウエッジウッド破綻のニュースを伝えていた。日本のテレビで、「結婚式の引き出物にウエッジウッドを手配していた。縁起物なので困ったことになった」と話していたそうだ。
 「おはよう世界」では、米金融危機の影響は、中国の深圳でも深刻な打撃を与えていると報じていた。アパレル、家具、プラスチック、家電製品組み立てが80%を占めていたので被害が大きい。失業者は既に5万を越え、さらに増える見通しと政府役人が説明していた。
 今朝のブルームバーグニュースが、12月の米自動車販売が軒並み30%以上減少したと報道していた。GM31%,フオード32%,クライスラー52%、トヨタ37%、ホンダ35%、日産31%それぞれ減少した。米政府は174億ドル救済ではクリアできないと報道していた。
 アメリカ人にとって車は日本人の下駄のようなものだとよくいわれた。はだしで歩けない。
アメリカでは車がなければ最寄のスーパー一つ買い物に出ることもできないことをアメリカで生活して実感した。そのアメリカで車が売れない。自動車ローンが厳しくなったからだ。
米国も英国も借金をベースに全ての買い物が成り立っていた。それが今回の金融危機が帳消しにした。日本も他人事でない。原油も48ドルに戻してきた。期待感だけでは今回の不況は乗りきれない。今朝のNYダウの様子見はそのあたりを教えている。(了)

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2009年は意外に良くなる?!仕事はじめのコーヒーブレイク(学校で教えてくれない経済学)、

2009-01-05 14:40:50 | 経済学
 1月5日が仕事はじめの人が多い。近くの喫茶店でも、正月休みも昨日で終わり、コーヒーを一杯飲んだあと、さあ今日からだと、気合をいれて店を出ていく人が多かった。
 マスターが年末ジャンボ宝くじを拾ったひとの話を、まあ、聞いてくださいよといわんばかりにはじめた。阪神御影駅前に昨年10月、阪神デパートが店を出した。店の前に広場がある。そこで泥の付いた紙切れのようなものを見つけた。よく見れば宝くじ券である。
泥を落として売り場に持参した。なんと10万円の当たり券ではないか。連れの3人のうちの二人に1万、残り8万を入れたサイフがない。どこかで落としたのだろうとしょんぼりしていたという。年のはじめにあたり、神様は味なことをされるものだと感心した。
次は、以前にも「経済学」に登場したNさんの話である。母親を自宅で介護している。デイサービスになかなか行きたがらない。父親は一昨年見送ったが、男の方は、し良かった。女は手がかかるとぼやいていた。介護と一口で言うが経験したことがない人にはわからない。
そのNさんが、店の前に置いていた自転車が今朝見当たらない。夜のうちに盗まれたらしいとまたぼやいていた。Nさんの口癖だが、「景気は、いつになったら、ようなりますねん」と話題を変えて来た。「いろいろな見方がある。回復には長引くと見ておいた方がストレスは、溜まりまへんなあ」、と訳の分からない話をして、お茶を濁した。
今朝のWSJ紙を読んでいたら「2009年、みなが思うほど悪くならない」という見出しで項目別に5点並べていた。①株式投資には今年はグッドイヤーになる、②不動産投資にもグッドイヤーになる、③アメリカ人が身の程を知った生活態度に戻る、④オバマが公共投資で歴史的な仕事をする、⑤税金が2009年は上がらないとA42ページに詳しく書いた。
株式投資については、「ボトムが年内に来る。いまの株価は下げすぎだ」。不動産投資は、「株以上にトリッキーだ。しかし、ローン金利が過去最低。みながそろって住宅を投売りしている」と指摘している。
③番目のアメリカ人の生活態度について、「米国には3億の人口がいる。若者がクレデットカードを使わなくなった。自分の稼ぎにあわせて消費する態度に急激に変わった。アメリカが普通の国になる。」というのである。日本の若者にこそ聞かせてやりたい話である。
④番目は、オバマの7500億から1兆ドルの景気刺激策は前代未聞だ。使い過ぎだという声は当然ある。米国中に風車が立つ。学校や病院が改装される。病院のカルテがコンピュター化される。橋や道路だけの公共投資でない。何より米国人がオバマにわくわくしている。
⑤番目については、1兆ドルもの景気刺激策と金融危機救済に数千億ドルを政府は調達できるのか?なぜイラクとアフガニスタンで戦争を続けるのか?一挙に退職するベイビーブーマーにかかる膨大なコストは回収できるのか?つけは10年11年に回る。09年はない。
先のNさんは魚釣りが大の趣味だ。日本中の釣り場は61歳になるまでほとんど回った。釣りをしているときだけは介護のつらさを忘れる。長男が正月来て、「お父さんボクが代りにお祖母ちゃん見てるから釣りに行っておいで」と言ってくれた。一年半ぶりだったという。
仕事はじめの職場でどんな話が出たのであろうか。悲観的になるなといわれても目の前は暗い。楽観に過ぎるのも良くないが今こそポジティブな面に目を向けて乗り切りたい。(了)

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米議会でCEO給与上限設定法案上程?!(学校で教えてくれない経済学)

2009-01-04 20:27:12 | 経済学
 NYタイムズ電子版(1月3日)は、ロシア、ウクライナ間の天然ガス交渉が挫折した結果、価格面でも、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリヤなど東ヨーロッパ諸国で影響が出始めている。ただ、いまのところドイツ、イタリアへの供給被害は出ていないと記事で紹介していた。
 ポーランドの政府系企業関係者は、天然ガスの供給がウクライナ経由で約10%減少したが、ベラルーシ経由と目下のところ備蓄分で対応している。ルーマニアは、ロシアからの供給が30%減少した。ブルガリヤではパイプライインのガスの圧力が低下し始めた。
 金曜日(1月2日)時点で、ウクライナは1000立方メートル235ドル、ロシアのゴスプロムは418ドルを主張して、価格問題での隔たりが交渉は進展していない。
 NYタイムズは、ロシア関連の記事として現在ロシアは1月11日まで12日間にわたる新年の長期休暇中だが、休日前まで、ルーブル下落が続き、対ドルで2005年来最安値の29.2、対ユーロでは、41.7まで下げた。対ドルでは8月初めから既に20%値下がりした。
 ルーブル下落は世界不況の結果により原油相場が急落した象徴である。ロシアのGDPは原油相場が最高値を記録した7月には年7.8%だった。現在年6%へ下落したとNYタイムズは紹介している。
 NYタイムズは、米国の経営者の給与が余りにも高すぎるとして金融企業のみならず金融以外のその他一般企業支給額に天井を設けることを米議会が検討していると紹介していた。
 米国以外の経営者は米国人以上にハードワークにもかかわらず彼らの平均給与は米国の同等程度の給与の1/5以下であると書いていた。経営者の給与が高い安いと米議会が取り上げるのも、今回の金融不安が経営トップの判断ミスや怠慢から生まれたという認識が米議会、つまりは米有権者の声として高まってきているからだろう。
 NY大学のエコノミストXavierGaVaix氏は、米国の最高経営責任者(CEO)の給与は1980年から2003年間に6倍になったと氏の著書で述べていると紹介している。かって米国のCEOは業績悪化にも関わらず経営責任を取らず、数年間勤めていた。ところが最近は業績が悪化すれば1~2年で辞職を迫られているとNYタイムズは書いた。
余計な話と叱られそうだが、日本のCEOで業績が明らかに悪化していても6年が任期だと勝手に決めてなかなか辞めない。原油が急騰したとか、先日、あるCEOが、「為替がここまで円高になるとは予想できなかった」と弁解する見苦しい姿をテレビで拝見した。
NYタイムズは、IBMからナビスコにスカウトされ、業績を急回復させたルイス・V・ガーストナーCEOの例もあり一概に米国のCEOの給与が高いと言えないと付言していた。米自動車ビッグ3のCEOが経営ミスを棚に上げ、米議会で傲慢な態度で証言したことが米CEO給与に天井を設けるべきだという話にまで発展させてしまったと思われる。
いずれにしろ世の中せちがらくなったものだ。金の切れ目が縁の切れ目である。天然ガス問題、ルーブル急落、米CEO給与問題もお金にまつわる話が多い。
政治は一寸先が闇というが経済はもっと怖い。今のような時代は、月並みなようだが、健康第一で、足元を見つめながら、一日一日を、地道に生きることが一番ではなかろうか。(了)

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