★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

愛のテンションとは、ワゴムをひっぱった状態を思い浮かべてほしいのだが

2018-08-11 23:51:09 | 思想


イヴァン・イリイチについて教科書的なことを確認していたら、とつぜん山本哲士の『ジェンダーと愛 男女学入門』のことを思い出した。大学院一年生の時に、演習の合間に一応読んだが、何のことやらよく分からなかった。ただ最後に、「愛のテンション」とか山本氏が言い出し、

愛のテンションとは、ワゴムをひっぱった状態を思い浮かべてほしいのだが[…]緊張関係にあるテンションは、問題を解決することではなく、そうした状態でもってものごとに実際に=プラチックに対処してゆくことだ。

とか書いているのをみて、うるへえな、と思ったことは確かである。ここで素直にうなずいていたら、わたくしもどこかでフェミニズムを用いた論文でも書いていたかもしれない。いまではちょっと想像できなくなってきたが、当時、ジェンダーという武器を手にした者のなかには、吉本隆明の流れを汲む面白いアマチュアリズムの雰囲気をたたえた人々がいた。上野千鶴子だってそうだったし……。

そういえば、いまよりも大学自体がアマチュアリズムを大事にしてたところがある。大衆化によって、それがなくなった。