ワキ:謂はれを聞けば面白や、さてさて先に聞こえつる、相生の松の物語を、所に言ひおく謂はれはなきか
シテ「昔の人の申ししは、これはめでたき世のためしなり
ツレ:高砂といふは上代の、万葉集のいにしへの義
シテ「住吉と申すは、いまこの御代に住みたまふ延喜のおんこと
ツレ:松とは尽きぬ言の葉の
シテ「栄えは古今あひ同じと
シテ、ツレ:御代を崇むるたとへなり
ワキ:よくよく聞けばありがたや、いまこそ不審春の日の
シテ:光やはらぐ西の海の
ワキ:かしこは住の江
シテ:ここは高砂
ワキ:松も色添ひ
シテ:春も
ワキ:のどかに
地:四海波静かにて、国も治まる時つ風、枝を鳴らさぬ御代なれや、逢ひに相生の、松こそめでたかりけれ、げにや仰ぎても、ことも愚かやかかる世に、住める民とて豊かなる、君の恵みぞありがたき、君の恵みぞありがたき
うちの庭は主人の怠惰で雑草が地面を覆い、怪しい花が咲いたりしはじめている。花の横でイボガエルがのどをひくひくさせている。わたくしが庭に足を踏み入れると、足の先からカエルたちが5匹ほど放射線状に逃げる。主人の恵みありがたき。