3代目の若社長の下で諦めと迷いを感じている喫茶店チェーンの本社勤務55歳の鷹野亮子、定年退職後時間を持て余しつつ兄の認知症の気配に動揺している68歳の森本喜三夫、子どもに愛情を持てず子どもを育ててくれている父にも感謝できず脳梗塞で倒れて介護を要するようになった母にも怒鳴り散らしいつも追い込まれた気持ちでいる稼げない行政書士32歳の神田美紀、天才的な腕でシェフとして成功しながら癌に苛まれる33歳の原優吾が、葬儀社の子会社が経営するサロンで終活相談員をしている53歳の三崎清を訪ね、終活に向けた「満風ノート」にこれまでの人生などについてのさまざまなことを書き込みながら人生の見直しをするという短編連作。
中高年女性、高年男性、若年女性、若年男性と並べ、読者が誰かには自己を投影できるという狙いと思われますが、人生のあれこれや本音、後悔などの描写で、年齢・性別を異にしてもほろりとさせられました。そういう心情への訴え方はさすがだなと思いました。
短編の中で視点人物の切替が多く、特に前半はちょっと落ちつかない感じもしました。

桂望実 角川書店 2021年5月20日発行
中高年女性、高年男性、若年女性、若年男性と並べ、読者が誰かには自己を投影できるという狙いと思われますが、人生のあれこれや本音、後悔などの描写で、年齢・性別を異にしてもほろりとさせられました。そういう心情への訴え方はさすがだなと思いました。
短編の中で視点人物の切替が多く、特に前半はちょっと落ちつかない感じもしました。

桂望実 角川書店 2021年5月20日発行
