なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ258 潜行蜜用

2020年04月12日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ、第258回。4月12日、日曜日。

まずは報道部から1週間の動きをまとめて。
5日隣寺大般若会、松林寺総代会及び役員会
8日松林寺葬儀、宿用院葬儀
10日同級会実行委員会
そのような1週間でした。

残念なお知らせをしなければなりません。
松林寺集中講座及び大般若会は、コロナ感染予防から中止となりました。
5日午前の隣寺の大般若の際、教区寺院各寺の対応が話し合われ、4月開催予定の大般若は全ての寺院で中止の決定をしたと報告されました。
6月開催予定の分をどうするかという話し合いの結果、寺院だけが集まることも控えたいということで、全ての法要が中止という結論となりました。
松林寺の大般若は6月13日の予定でしたが、その前の7日開催予定の集中講座も、その流れから中止という決定をせざるを得ませんでした。
とにかく、人が集まることを控える、なるべく外出しないという予防策ですから、仕方ありません。
まあ今年は、じっと耐える年と覚悟を決めることが肝心かもしれません。
ただ、働かないと食べていけないという人も多いわけで、休業やテレワークの中身は業態、個別の職場において千差万別のことでしょう。
体力のある大企業ならばいざ知らず、自転車操業の中小企業には、会社の存続も危ういはずです。
会社が潰れれば社員が職場を失うわけで、会社にも潰れないで欲しい、しかし社員にも保障が欲しいということで頭を悩ませていると思います。
知ってました?「テレワーク」って自宅で電話で仕事をするという意味ではなく、私はそうかなと思ってました。「テレ」そのものが、テレビジョンやテレフォンなどと同じく「遠隔の」という意味から、今ではネットを使用した働き方、という意味だということを。先日知りました。
でも、パソコンやネットでできる仕事ばかりではないわけで、怖いと思いながら電車通勤する以外にない人もたくさんいるはずです。特に接客業などは、言葉通り客と接しなければ仕事にならないわけで、仕事そのものを否定されたようなものです。
こういう時に強いのは一次産業でしょうか。相手は自然なので感染の心配はありません。ただ、農作物や魚介類が飲食店自粛の影響で価格は下がっているようです。コロナがインフルエンザに近いのなら「鳥インフルエンザ」というのもありますから家畜への感染も心配です。
お寺は影響ないだろうと言われそうですが、予定されていた法事が延期とか、葬儀も縮小してという状況が出ています。また、各地の法話や講演が中止ということも起きています。全く無関係ではありません。

とにかく見えない敵と戦っているわけで、しかも相手に有効な武器は何かさえ分からないのですから、武器が見つかるまでじっと隠れて、あるいは逃げる以外ないようなのです。逃げるといっても縁故もない田舎に避難するのも迷惑になりそうですから、よくよく考えて行動してもらいたいです。
先週も言いましたが、「高く跳ぶためには深く屈まなければならない」で、今は屈むときと受け止めて力をためていきましょう。
こういう時にしかできない、今だからできることもあるはずです。
家族のだんらんとか会話とか、まとめて本を読むとか、ぐっすり寝るとか、物の整理をするとか、徹底的に掃除をするとか、普段できないお金のかからない、しかも必要なことはあるでしょう。
春の野山の散歩、手紙を書くなどもいいかもしれませんね。写経や坐禅もできますよ。

「潜行蜜用如愚如魯(せんこうみつようはぐのごとくろのごとし)」という言葉が『宝鏡三昧』というお経に出てきます。誰も見ていないところでまじめにコツコツと行うことは、あたかも愚かなことのように思われるかもしれないが、それが大事な禅の行いだよ、という教えです。
目立って誰かに評価されることは行うが、見ていないところでキチンとというのは簡単なことではありません。しかしそこにこそ真価が現れるのです。
「ポツンと一軒家」という番組が人気のようです。たまたま昨日の昼の放送を目にしました。
あの一軒家で暮らす人は誰かに見られるために生きている訳ではないでしょう。
評価を求めず、ほめられもせず、知られもせず。なのに、キチンと自分のすべきことをコツコツと努めていました。
その姿に感動します。
むしろ情報はない方が、自分を見つめながら自分の生き方ができるのかもしれません。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。