Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「TOPコレクション 光のメディア」展

2022年04月10日 21時41分45秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等

   

 東京都写真美術館で開催されている「TOPコレクション 光のメディア」展を見てきた。写真芸術については詳しくはないが、それでもそれなりに展覧会は見ている。大昔、まだ30代半ばの頃に横浜市の市民向け講座を受講したことがある。ごく初歩的な講座であったが、モノクロの造形写真家が講師であった。初めてモノクロ写真の美しさに触れることができた。一般的なカラーの風景写真やスナップ写真などとは違うその魅力を知ったことはとても幸運だと思った。以来ジャンルにとらわれずに写真作品を見るのを楽しんでいる。なお、土門拳はもっとも好きである。

 アンセル・アダムス、マン・レイそして瑛九などの名と作品は一応は知っていた。見たことのある作品も展示されていた。
 今回特に惹かれた作品は、マイナー・ホワイト「窓枠の白昼夢、ロチェスター、ニューヨーク州」(1958)、チラシに掲載されたバーバラ・モーガン「ピュアなエネルギーと神経過敏な人」(1941)などが挙げられる。
 マイナー・ホワイトは身の回りにある微細な風景の視点を少し変えることで現れる美的空間を執拗に追っていることに好感をもった。特に「窓枠の白昼夢」は直線と曲線が組み合わされる瞬間を時間をかけてとらえたように思われた。静かな動きが実は劇的な変化を含んでいることを暗示させ、時間をも写しこんでいる。

 私は初期の多重露光による作品はあまり好みではない。ふたつのものを重ねて写しこむことで、生まれる不思議な効果を狙っているのは理解できるが、ふたつのものの関係があまりに偶然で、鑑賞者に撮影者の感動が伝わってこない作品が多い。少ない鑑賞経験しかない私だが、悪く言えば撮影者の独りよがりに陥っているように感じるものが多いと思っている。もっと数多くの作品を見る機会があれば、また違うことも考えるかもしれないという留保は持たせてほしいが。
 撮影者の意図はやはり前面に出すべきであり、鑑賞者に100%お任せというのは私の好みとはならない。「私はここに感動したけれども、鑑賞者はどこに感動しますか」という提起が微かでも読み取れる作品が私はいい作品だと思う。
 その点でエドムンド・テスケの「フランクリン・モントローズ夫妻の3人の子ども(1890年代頃)、モノ湖との合成」というのは抒情的で面白いと思った。モノ湖というのは三人の子どもとゆかりのある土地と解釈すれば、通俗的過ぎるかもしれない。しかしその他にもいろいろと想像させてくれる。想像のきっかけを提出してくれている。多重露光でこのような試みは面白いと思った。ただし造形的に果たして先駆的かどうかは、自信もないので保留したい。



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