Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

恐怖を眺める

2022年04月26日 23時33分49秒 | 思いつき・エッセイ・・・

 再び強まった南風、22時には最大瞬間風速が20mとなった。雨の区域は南西から北東になった。神奈川県の西部から少しずつ東部に移動してきている。今のところ最大で20ミリ未満となっている。雨よりも風が怖い一晩になりそうである。

 雨だれのリズムと、風の強弱のリズムとは相容れない何かがある。雨だれは上下の動き、風は水平の動きに伴って耳に達する。
 お風呂で雨の音を聞くときは地面の中にぬくもりを求めるような垂直の引力を感じる。強い風を伴う場合は、遠い闇に引っ張りこまれるような水平の吸引力を感じる。この吸引力はお風呂から上がっても、布団の中に存在するぽっかり空いた異次元への通路を探すような徒労感に似ている。
 この布団の中にぽっかり空いた異次元の得体のしれない世界への通路、という闇の存在は小さいころの恐怖の一つであった。小学校入学前の私の入眠を妨げる効果は抜群であった。今ではこのかつての恐怖感はほとんどなくなり、時には眠りへの誘いとなることすらある。
 幼いころの恐怖を自ら眺めて楽しむようになると、それは老年の兆しである、と言われることがある。さらに人はそれを感受性の鈍化、感性の摩滅とも言う。だが実際は摩滅ではなく、自分の中に内在化している証左なのではないか、と思う。年とともに摩滅するものなどない。かえって鋭くなって自身の内部に抱え込み、大事に「飼って」いるのではないか。

 さて、明日の朝まで熟睡できるとして、雨と風はおさまっているであろうか。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。