本日の読書は「椿の海の記」(石牟礼道子)の第10章「椿」を読み終え、「老いのかたち」(黒井千次)からはじめの2話、「方丈記私記」(堀田善衛)の最初の章。
「方丈記私記」はとても懐かしく思い出した。冒頭の文章は印象深く、よく記憶している。
「私が以下に語ろうとしていることは、実を言えば、われわれの古典の一つである鴨長明「方丈記」の観賞でもなく、また、解釈、でもない。それは、私の、経験なのだ。」
1971年にこの本が出版されたのであるが、自分が当時どんなことを考え、どんな行動をしていたか、じっくりと思い出しながら読み進めたいと思う。
20歳、自分を求めて彷徨していた自分と、今の自分。私がこの著作に最初に触れたと思われる1980年代、当時の社会状況と今の時代、そして堀田善衛が「方丈記」に接していた戦争末期の時代と執筆していた1970年の頃。
1944年、1970年前後、1980年代末、そして2020年の今、4つの時代のわたしを行きつ戻りつしながら、読み進めるというのもなかなか醍醐味はありそうである。