本日帰る途中で横浜駅地下の有隣堂でいつものように新刊本などをながめていた。急に小説を久しぶりに読みたくなった。
中公文庫から吉田健一の初期短編集「酒宴/残光」と、講談社文庫から古井由吉の晩年の作品集「この道」の2冊が新刊コーナーに並んでいた。どちらも惹かれた。両方ともに表紙も良かった。
吉田健一の小説はこれまで読んだことがなかったので、かなり惹かれた。しかし古井由吉の作品集は「老いに身を任せた不可思議な感覚を精緻に‥」という帯の文章の吸引力の方が強かった。
1970年代の後半に「杳子」「妻隠」など4~5冊の単行本を購入して読み始めたが、最初の2冊で続けられなくなったことがある。文章が濃密で文章の意味を追うことだけでとても疲れ、断念した。
この苦手意識があり、手に取ってからカウンターに行くまで少し躊躇したものの、思い切って購入。身体の老いとどのように向かい合おうとしたのか、この文章に惹かれた。
表紙は吉原治良の「白い円」。
バスの中で2頁ほどを読んだが、文章は濃密でかつ難しい。特に一つの文章の中に、主人公と語り手(あるいは作者)のふたつの視点が混在している。学校の作文では教師から指導を受ける文章である。この文章の魅力に取りつかれると抜け出せなくなるのかもしれない。しかしとっつきにくいことは確かだ。
中西進の「万葉のことばと四季」と同時並行で読めるか、自信はないが挑戦してみることにした。
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