夜や雨の午後に

夜や雨の午後に
私の中では様々な色をした
伝説が舞い踊る

人々の知らない世界で
嘘の嫌いな少女が好んでよく見た夢は！？

それは人間になる夢
二本の足で立つ一個の人間になる夢
「わたし」という名の他人に
二度とわずらわされない人間になる夢
心のバランスを失わないように


少数の者たちの前で
わたしは英雄だった

大勢の者たちの前では
名前も忘れてしまう
声の小さな少女に過ぎず

わたしは今まで
悲しみに対する免疫ばかり作り続けた


何でもしてきた
そう
何でもしてきたのだ

自分を傷つけないためには
本当に泣くことなどなく
そのくせ誰かのために
悲しみの予習と復習ばかり繰り返していた