いつまでも明けることのない夜が更ける
夜のとばりがしだいに降りてゆくのを見ている
みな一日に疲れて それぞれのベッドにもぐりこむとき
白いシーツをかけた棺のなかで私は目覚める
死のように長い沈黙から
また別の沈黙への
旅へ出掛けるために
真暗闇の森のように
長い眠りからまた別の眠りへ
移るために
透明でうす桜色のマニキュアの数本の指が
あなたの白く冷えた死体の上をゆるやかに
這っていく
やわらかい指がたどる硬い屍
様々な無数のスイッチを押してきたその指先
私を目覚めさせる手段はいくつもあっても
怠惰につづくこの完全な眠りから
覚醒させることはできない
いいかげん長くつづく夢の中では、
一見心地よさそうな陽の光がユラユラ立ち昇っている
人間の指紋がそこいら中のあらゆる事物にひっかかって
あたりをひどく汚して見せている
唯一懐かしいメロディが 夢の中全体に響き
顔のない人々の心を休めている
そのだれに話しかけても
意味のない不思議な
解答しか返ってこない
一人一人がみな別の異国語で話しているのに
まるで分かり合った気になって
うなづき合いながら、途方もない方角を眺めている
北の方向には、頂点が丸い山がそびえ
南の方角には、池がひそんでいる
西には、数えきれない民家がうず高く積まれ
東には、それに見合うだけの顔なしの家族が動いている
みな少なくとも一人ひとつずつ
違った病気をもっている
そのひとつひとつ全部に治療法があれば結構だが
そうはうまくいかない
夜のとばりがしだいに降りてゆくのを見ている
みな一日に疲れて それぞれのベッドにもぐりこむとき
白いシーツをかけた棺のなかで私は目覚める
死のように長い沈黙から
また別の沈黙への
旅へ出掛けるために
真暗闇の森のように
長い眠りからまた別の眠りへ
移るために
透明でうす桜色のマニキュアの数本の指が
あなたの白く冷えた死体の上をゆるやかに
這っていく
やわらかい指がたどる硬い屍
様々な無数のスイッチを押してきたその指先
私を目覚めさせる手段はいくつもあっても
怠惰につづくこの完全な眠りから
覚醒させることはできない
いいかげん長くつづく夢の中では、
一見心地よさそうな陽の光がユラユラ立ち昇っている
人間の指紋がそこいら中のあらゆる事物にひっかかって
あたりをひどく汚して見せている
唯一懐かしいメロディが 夢の中全体に響き
顔のない人々の心を休めている
そのだれに話しかけても
意味のない不思議な
解答しか返ってこない
一人一人がみな別の異国語で話しているのに
まるで分かり合った気になって
うなづき合いながら、途方もない方角を眺めている
北の方向には、頂点が丸い山がそびえ
南の方角には、池がひそんでいる
西には、数えきれない民家がうず高く積まれ
東には、それに見合うだけの顔なしの家族が動いている
みな少なくとも一人ひとつずつ
違った病気をもっている
そのひとつひとつ全部に治療法があれば結構だが
そうはうまくいかない