メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

いつまでも明けることのない夜が更ける

2006-03-11 23:55:55 | lyrics
いつまでも明けることのない夜が更ける
夜のとばりがしだいに降りてゆくのを見ている
みな一日に疲れて それぞれのベッドにもぐりこむとき
白いシーツをかけた棺のなかで私は目覚める

死のように長い沈黙から
また別の沈黙への
旅へ出掛けるために

真暗闇の森のように
長い眠りからまた別の眠りへ
移るために


透明でうす桜色のマニキュアの数本の指が
あなたの白く冷えた死体の上をゆるやかに
這っていく


やわらかい指がたどる硬い屍
様々な無数のスイッチを押してきたその指先

私を目覚めさせる手段はいくつもあっても
怠惰につづくこの完全な眠りから
覚醒させることはできない


いいかげん長くつづく夢の中では、
一見心地よさそうな陽の光がユラユラ立ち昇っている

人間の指紋がそこいら中のあらゆる事物にひっかかって
あたりをひどく汚して見せている


唯一懐かしいメロディが 夢の中全体に響き
顔のない人々の心を休めている


そのだれに話しかけても
意味のない不思議な
解答しか返ってこない

一人一人がみな別の異国語で話しているのに
まるで分かり合った気になって
うなづき合いながら、途方もない方角を眺めている


北の方向には、頂点が丸い山がそびえ
南の方角には、池がひそんでいる

西には、数えきれない民家がうず高く積まれ
東には、それに見合うだけの顔なしの家族が動いている

みな少なくとも一人ひとつずつ
違った病気をもっている

そのひとつひとつ全部に治療法があれば結構だが
そうはうまくいかない

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