メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

満月の夜

2006-03-01 23:55:55 | lyrics
満月の夜
私は死んだ
紺色の制服の男の子に刺されて


満月の夜
私は死んだ
女子大生の運転する車に轢かれて


満月の夜
私は死んだ
不潔な男にプラットフォームから落とされて


満月の夜
私は死んだ
同窓生にストッキングで首を絞められて


満月の夜
私は死んだ
政府からの細々とした配給が切れて


満月の夜
何かを諭しそうで
傍観している月がある

夜気は寒く
こおろぎが鳴いている

最終バスがバス停で停まる音がして
疲れた女たちが黒い道路を見つめながら
歩いてゆく


私は自分の死体の横で
満月を見ながら膝を抱えて座っている

私は殺される前から
もうすでに死んでいたのだ

内からの崩壊
私はすでに死んでいた

だから私を殺した連中が
自分を責めたりしなきゃいいがと
心配している


私は怖かったんです
「何が怖いの?」
ひととうまく話せないから
―本当はそんなことじゃない

ひとが私を見ているから
―本当はそんなことじゃない

私は一人じゃうまく出来ないから
私は綺麗じゃないから
ひとから変な奴だと思われるから
―でもそれは本当のことじゃない



私は怖かったんです
お月さま

心臓が下からぼろぼろと
こう、ボロボロとはがれてゆくことが

脳が表面からぶくぶくと
そう、ブクブクと溶けてしまうのが

顔全体がべろべろと
こう、ベロベロと流れてゆくことが

でも恐怖も一緒に溶けてしまえば
すっかり楽だろう
そして誰も私を振り返らないだろう
私はニセのコンクリート道路の下




キス
キス、キス

見事な二次元円の月に口づけを

もしご迷惑でなければ

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