メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『オーロラの彼方へ』 星野道夫

2011-10-12 22:15:22 | 
Michio's Northern Dreams 1『オーロラの彼方へ』
星野道夫/写真・文 PHP研究所

「きっと、同じ春が、すべての者に同じよろこびを与えることはないのだろう。なぜなら、よろこびの大きさとは、それぞれが越した冬にかかっているからだ。冬をしっかり越さないかぎり、春をしっかり感じることはできないからだ。それは、幸福と不幸のあり方にどこか似ている」p.28

「何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと平行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい」p.47

「結果が、最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしてしまった、かけがえのないその時間である」p.46

写真と同等の重みと美しさを持つ言葉が魅力的。
雄大な自然から見たニンゲン、地球。
その対比の仕方は、これまで言い古されたどのフレーズとも違っている。

「テルモスのコーヒーを~」って一文があって、美味しいコーヒーなのかな?て検索したら、
なぜかTHERMOS(サーモス)がヒットする。携帯魔法瓶のことだったのか?


Michio's Northern Dreams 3『最後の楽園』
アラスカに家を持って、本格的に暮らし始めたら、
それまでの旅暮らしと全く違った顔が見えてきたという。
アラスカもニューヨークも過酷で混沌としている点で同じって面白いな。

1枚1枚、どれもナチュラルでその場の空気までパッケージングしたような美しい写真ばかり。
自分も同じ時間、同じ場所に立っているかのような感覚になる。
白クマの写真が多いが、たまにちょこっと現れるプーさん似なリス?がやっぱり可愛い

「目に見えるものに価値を置く社会と、見えないものに価値を置くことができる社会の違いをぼくは思った。そしてたまらなく後者の思想に魅かれるのだった」p.56

「正しい答をださなくてもよいというのは、なぜかホッとするものだ。しかし、正しい答は見つからなくとも、その時代、時代で、より良い方向を模索してゆく責任はあるのだ」p.78

グレーシャーベア
「グレイシャーベア」「ブルーベア」「スピリットベア」「カーモードベアー」「ゴーストベアー」などと呼ばれる伝説の白い熊。このクマは北極圏に生息するシロクマとは違い、クロクマです。アルビノ個体ではなく、正常な遺伝子をもった白い個体との事。


Michio's Northern Dreams 5『大いなる旅路』

「自然が人間のためでも誰のためでもなく、それ自身の存在のために息づいている世界を実感させた」p.14

「人間の風景の面白さとは、私たちの人生がある共通する一点で同じ土俵に立っているからだろう。一点とは、たった一度の一生をより良く生きたいという願いであり、面白さとは、そこから別れてゆく人間の生き方の無限の多様性である」p.43

ベーリンジア
ベーリング地峡は、氷河期に現在のアラスカとシベリアの間(ベーリング海峡)に存在した地峡。
ベーリング陸橋またはベーリンジアとも呼称される。南北が最大1600kmの地峡である。

最後の氷河期などついこの間のことだという考え方が新鮮。
ヒトの歴史なんて、先祖を遡ればほんの100代ほど前なんだって/驚
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