■『畏悦録~水木しげるの世界』(角川文庫)
水木しげる/著
「終電車の女」
売れない漫画家が妙なクスリを飲んでから、18歳で亡くなった少女の霊が見え、付きまとわれる。
「猫又」
離れ島に空腹でいた際、通りかかった尻尾が2つに分かれた猫を食べたせいで、カラダに猫のデキモノが出来る。
「墓守虫」
生命保険金を騙し取ろうとした夫婦。お互いが信じられず、墓守虫に2人とも食べられてしまう。
「血太郎奇談」
妙な子どもが生まれ、血にとりつかれる。吸血鬼に拾われるというラスト。
「大人物」
あの世から死者を呼び出す研究が成功し、西郷さんを呼び出すが大食いなだけで役に立たない
「一番病」
なんでも1番じゃないと気が済まない棺桶屋のおやじ。
「暑い日」
水木サンが歩いていると、自分の名を墓石に彫る職人に出会う(「炎天」が元ネタ
「霊形手術」
人魂を食べるとのっぺらぼうになり、いつでも好きな顔に変えられるという男が同じ種族を増やそうとする。
「木枯し」
妻を殺したシャレコウベから夜な夜な悲鳴のような声が聞こえ、夫はとり殺される。
「天国」
「ブンメイ」という神の出現のおかげで村はモノで溢れるが、人びとはそれを楽しむゆとりもなく働かされるのに辟易して、元の原始的な暮らしに戻る。本当の幸せとはなにか考えさせられる。
「ヘンラヘラヘラ」
公害病患者に大量にクスリを投与して儲けようとした医者が、死んだ患者を叩いたコブから新生児が誕生し栄誉が与えられる。が、子どもは復讐のために人を殺すようになり、親は幽界に助けを求める。
こうゆう、けっこう現実世界を風刺した問題作も多いんだな。
「コケカキイキイ」
世間から見放された女、捨てられた赤ん坊、捨て猫、そこについていたノミが同時に亡くなって、この世への執着から妖怪になって甦り、金持ちから金と土地を奪って貧者に与え、工場や高速道路に森林を再生させ、まさに天国を作ってから元の死体に戻る。
「最初の米」
人びとの飢饉を救う種があると聞き、村人のために旅に出た双子。1人が黄泉に入り、死霊にとりつかれ犠牲となるが、もう1人の機転によって種を持ち帰り、撒いたところ見事な籾となる。
巻末の三浦俊彦さんによる解説にある通り、水木サンの話には仰々しく恐怖する人物はあまり出てこない。
むしろ、異色のモノを自然に受け止めているのだけど、そんな化け物を生み出したこの世の妙なシステム、
恐怖心を忘れ、当たり前に思ってしまっている人びとのココロこそがコワイのだと知らされる。
水木しげる/著
「終電車の女」
売れない漫画家が妙なクスリを飲んでから、18歳で亡くなった少女の霊が見え、付きまとわれる。
「猫又」
離れ島に空腹でいた際、通りかかった尻尾が2つに分かれた猫を食べたせいで、カラダに猫のデキモノが出来る。
「墓守虫」
生命保険金を騙し取ろうとした夫婦。お互いが信じられず、墓守虫に2人とも食べられてしまう。
「血太郎奇談」
妙な子どもが生まれ、血にとりつかれる。吸血鬼に拾われるというラスト。
「大人物」
あの世から死者を呼び出す研究が成功し、西郷さんを呼び出すが大食いなだけで役に立たない
「一番病」
なんでも1番じゃないと気が済まない棺桶屋のおやじ。
「暑い日」
水木サンが歩いていると、自分の名を墓石に彫る職人に出会う(「炎天」が元ネタ
「霊形手術」
人魂を食べるとのっぺらぼうになり、いつでも好きな顔に変えられるという男が同じ種族を増やそうとする。
「木枯し」
妻を殺したシャレコウベから夜な夜な悲鳴のような声が聞こえ、夫はとり殺される。
「天国」
「ブンメイ」という神の出現のおかげで村はモノで溢れるが、人びとはそれを楽しむゆとりもなく働かされるのに辟易して、元の原始的な暮らしに戻る。本当の幸せとはなにか考えさせられる。
「ヘンラヘラヘラ」
公害病患者に大量にクスリを投与して儲けようとした医者が、死んだ患者を叩いたコブから新生児が誕生し栄誉が与えられる。が、子どもは復讐のために人を殺すようになり、親は幽界に助けを求める。
こうゆう、けっこう現実世界を風刺した問題作も多いんだな。
「コケカキイキイ」
世間から見放された女、捨てられた赤ん坊、捨て猫、そこについていたノミが同時に亡くなって、この世への執着から妖怪になって甦り、金持ちから金と土地を奪って貧者に与え、工場や高速道路に森林を再生させ、まさに天国を作ってから元の死体に戻る。
「最初の米」
人びとの飢饉を救う種があると聞き、村人のために旅に出た双子。1人が黄泉に入り、死霊にとりつかれ犠牲となるが、もう1人の機転によって種を持ち帰り、撒いたところ見事な籾となる。
巻末の三浦俊彦さんによる解説にある通り、水木サンの話には仰々しく恐怖する人物はあまり出てこない。
むしろ、異色のモノを自然に受け止めているのだけど、そんな化け物を生み出したこの世の妙なシステム、
恐怖心を忘れ、当たり前に思ってしまっている人びとのココロこそがコワイのだと知らされる。