メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『くらべてわかる世界地図3 ジェンダーの世界地図』(大月書店)

2014-02-06 20:40:34 | 
『くらべてわかる世界地図3 ジェンダーの世界地図』(大月書店)
菅原由美子、鈴木有子/著 藤田千枝/編

【内容抜粋メモ】

ジェンダー
社会的・文化的につくられた性差。
女性がジェンダーによる差別を受けているように、男性も社会的につくられた「男性像」に縛られている。
「男らしさ」がDV等の問題を生む原因の一つと考えられている。

例:「男は強くなければならない」「男は女性をリードするものだ」


●死亡率に男女差がある
男児は女児より約5%多く生まれ、男児のほうが多く死んで人口のバランスがとられている。
世界では、女の子だからという理由で中絶したり、産まれてすぐ捨てられる女の子がいる。
人口統計では「何もなければ生きているはずだった女児が少なくとも60000万人消えている」としている。


●学校に通う子の男女差
世界で学校に行っていない子どもは、女子6500万人、男子5600万人。

開発途上国の女性が学校に行く年数が1年延びると、
1000人中2人の妊娠・出産による死亡を防ぐことができ、
5歳未満の子どもの死亡率が5~10%低くなると言われる。

ラテンアメリカ、カリブ海地域では、男子が思春期に退学してしまうのが問題。
日本でも1年間に約9万人の高校生が退学している。


●夫婦の名前
日本では、夫婦同姓が義務付けられている。実際には、97%の妻が夫の姓に改めている。
世界では、同姓しか認めない国はとても少ない。


●女性の労働と家事分担
「アンペイドワーク(無償労働・無報酬労働)
男性の全労働時間に占める家事労働の割合は、日本7%で一番低い。
夫は、仕事に約9時間、家事10分、育児時間16分。
日本の父親の育児休業取得率は、0.33%。理由は「仕事の都合がつかないから」。




●妊産婦の死亡率
妊産婦死亡
世界では、1日に約1400人の女性が妊娠・出産が原因で死亡している。妊産婦死亡は防ぐことができる。




●人工妊娠中絶
「リプロダクティヴ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)
世界で年間6万8000人の女性が、危険な中絶で死亡している。
日本の20歳未満の中絶件数は、4万4000件(2002年)で増加を続けている。

 


●若者のエイズ感染の男女比
HIV/エイズとともに生きている若い男性は450万人、若い女性は730万人と推定されている。
身体的に女性は男性よりHIVに感染しやすく、危険性は男性の2~4倍高い。


●女性への暴力
日本には買った人を罰する法律がない。
日本は性的な人身売買の受入国として有名で、アジア・中南米・東ヨーロッパ等から女性が「商品」として連れてこられ、
売春などをさせられている女性がたくさんいる。

性器切除
世界で毎年200万人、毎日約6000人の女性(女子)が性器切除を受けている。

女性に対する暴力は、人の生まれながらの特質ではなく、男性が支配する社会によるものである。


●犯罪者の男女比
DV(ドメスティック・ヴァイオレンス)
人に殺された女性のほぼ半分が、過去、現在の親しい男性からの暴力によるものである。
日本では5人に1人がパートナーから暴力を受けた経験がある。





●自殺者の男女比
失業や過労による中高年男性の自殺が急速に増えている。
1日約30人が自殺遺児になり、公的には何も対策がない。

いじめによる自殺は男子が多いが、「いじめ110番」に相談するのは女子が多いという。
「男は弱音を吐くな」「男は泣いてはいけない」という考えがあるため。




●賃金の男女差
日本の男女差は何年も縮まらないまま。

「ワークシェアリング」
オランダでは、仕事を分け合い、子育てに忙しい時は短時間働き、また正社員に戻る仕組みがある。


●女性議員の割合
「クォータ制」
割り当てをして、どちらかの性の割合が一定以下にならないようにする制度。

スウェーデンの政党は、40%のクォータ制をとっている。
日本の女性議員(衆議院)の割合は、世界183カ国中137位。
小選挙区制になってから、女性はいっそう当選しにくくなっている。


●女性差別撤廃条約
それまで父親が日本国籍をもたなければ国籍をとれなかったが、母親がもっていてもとれるようになった。
2003年、国連の女性差別撤廃員会から「男女の不平等は大きく、女性差別に対する対策が不十分だ」と指摘を受けた。


●女性の選挙権
女性の選挙権がない国は、クウェート、サウジアラビアなどアラブ諸国に多い。


●ノーベル賞受賞者は、圧倒的に男性が多い


ノーベル賞受賞者709人のうち、女性はわずか31人。

国際アンデルセン賞
「小さなノーベル文学賞」とも言われる、国際的な児童文学賞。


●オリンピックと女性
女性選手は増え続けているが、コーチ・役員はほとんど男性。
女性選手の体を触るなどのセクシャルハラスメントが問題になっている/驚


●メディアと女性
新聞記者の女性の割合は、日本では11%にとどまっている。
メディアの送り手に女性が進出することは、女性差別を改善する上でも大切だ。


●ジェンダー指数
「HDI(人間開発指数)」
平均寿命、教育水準、国民所得を使って計算したもの。日本は9位。

「GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)」
女性がどれだけ積極的に経済・政治に参加し、物事を決めることができているかを数字化したもの。日本は38位。

女性の国家公務員は、アメリカ、イギリス50%、日本は20%弱。


その他の書籍。
「ジェンダー・フリーの絵本」大月書店

コメント

『もう、死なせない! 子どもの生きる権利』(フレーベル館)

2014-02-06 09:46:48 | 
『もう、死なせない! 子どもの生きる権利』(フレーベル館)
桃井和馬/著

【内容抜粋メモ】

国連総会で採択された「子どもの権利条約」を、日本が批准したのは1994年。
当時は注目を集めたが、今、どれだけの人がこの条約を覚えているだろうか?


●アフガニスタン

長いこと戦争がつづき、爆弾で壊された銃弾だらけのビルで生活する子どもたち。


●アンゴラ
地中からとれるダイヤモンドを巡って50年近く戦争が続いた
多くの人たちが紛争地帯から逃れ、臨時の避難民キャンプで生活していた。


●エチオピア

ソマリア難民のためのキャンプでは、みんな病気や栄養失調で苦しんでいた。


●フィリピン

首都マニラ郊外「スモーキー・マウンテン」の巨大なゴミ捨て場では、数千人がゴミを拾って生計を立てている。
子どもも重要な働き手として家族を助けていた。

ゴミを観察すると、それぞれの社会の歪みを知ることができる。


●ペルー
たくさんのストリート・チルドレンの中の1人、10歳だったハビエルという元気な少年は、
5年後、再び会った時には、薬物中毒のため廃人になっていた。


●ロシア

寒さのきつい季節。暖房であたたかい駅を家がわりに生活するストリート・チルドレンたち。
家族を持たない彼らは、犯罪組織などに搾取される場合が多い。


●ルワンダ
ストリート・チルドレンの多くは、靴磨きなどをしてお金を得ている。
靴の修理で使う接着剤、シンナーを買って毎日吸い続けていた。


●タイ

虐待された子どもたちの写真。この現実は、タイだけでなく世界中どこにでもある。


●南アフリカ

10歳のジュリエットはエイズにかかり、命は残り3ヶ月。
世界中で年間500万人が新しくエイズにかかっている。

しかし、エイズは正確な知識を持っていれば感染を防ぐことができ、優れた薬も開発され、発病を遅らせることもできる。


●国後
北方領土は、100年以上、ロシアと日本が自分たちの領土だと主張してきた。
国がちがっても、住んでいるのは同じ人間。


●韓国
1950~1953年まで続いた「朝鮮戦争」の結果、朝鮮半島は韓国と北朝鮮に分断された。
元は同じ国だから、家族や親族が2つの国に離れ離れで暮らしているケースも多い。


●南アフリカ
1990年代まで、肌の色で人間を差別する「アパルトヘイト」という法律が残っていた。
法律はもうなくなったが、黒人と白人の生活には、まだかなり格差がある。

差別:本人が変えようのないこと、変えたくないことを理由に見下すこと。


●イスラエル
首都エルサレムにある「嘆きの壁」はユダヤ教の聖地だが、すぐ隣りにはイスラム教の聖地がある。
四国ほどの大きさのこの国で、宗教と民族を理由にした激しい戦いがつづき、大量の血と涙が流されてきた。

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教
同じ神を信じる兄弟みたいな宗教だが、聖地がみなエルサレムにある。
その聖地や領土の取り合いの紛争が絶えない。


●インドネシア

イスラム教に基づく教育をする学校の風景。
2億人のイスラム教徒がいる「世界一イスラム教徒の多い国」。
重要なのは、おたがいの考えや宗教を認め合うこと。


●チャド
チャド湖は、30年前、四国ぐらいの大きさだったが、今では1/10に小さくなった。
理由は、洋服などに使う綿を大規模に育てる時、湖の水を大量に使ったから。

砂漠化
毎年、地球上では、九州と四国を合わせたくらいの土地が砂漠になっていると言われる。
水不足は、近い未来、国と国の戦争の原因にもなると考えられている


●インドネシア・ボルネオ

アマゾンに次いで大きな熱帯雨林があと10年で消えると考えられている。
草や木にも「命」がある。森の殺戮は、ヒトの未来の殺戮だ。

山があり、森があってはじめてヒトは生きることができる。


●ドミニカ

隣国ハイチから来た多くの人たちが「奴隷」として働かされている。
農園で働いて収入は得ているが、農園内の売店は値段がやたらと高く、
食糧を買うだけで借金がふくらみ、それを返すために過酷な仕事をしなければならない。
これが現代の「奴隷制」だ。

世界で「奴隷制」を認める国はないが、様々に形を変えた奴隷制によって、今もたくさんの人たちが苦しんでいる。


●イラク

アメリカの空爆で破壊された建物で生活する家族。

2003年3月ブッシュ大統領は「イラクに大量破壊兵器がある」という理由でイラク攻撃を始めた。
イラクにはそんな兵器はなかったと、アメリカや国連の調査機関の調査から分かっている。
それではなぜ、アメリカはイラク攻撃をはじめたのか?


●アフガニスタン

戦争が続くアフガニスタンから逃れて、パキスタンに来た難民。

帰還民
難民に認定されると、国際機関などから支援が受けられる。
戦争が終わり帰国すると帰還民となるが、難民ほどは援助を受けられず、
仕事も土地もないため、食事も満足にとれない生活がつづく。


●アメリカ
 
銃を持ちたいという人と、銃の所持を規制したいと思う人は、アメリカの世論を真っ二つに分けている。


●ロシア・サンクトペテルブルグ
第二次世界大戦中、ドイツ軍にかこまれて食糧がなくなり、125万人が亡くなった。

社会主義
会社や工場、農場、商店などは「すべてみんなのモノ」で、それをまとめるのが国家という考え。
ソ連では少しでも反対意見を言うと、容赦なく罰が与えられた。


●ブラジル

ストリート・チルドレンだけでなく、家族で路上生活をするホームレスも多い。


●アンゴラ

植民地主義
16Cからポルトガルの植民地となり、アフリカでも有名な奴隷の輸出国となった。
奴隷たちは、アメリカで「綿花栽培」の労働力として強制的に働かされ、大勢が病気などで亡くなった。


●ペルー
経済格差は広がる一方。


●タイ

山で生活する少数民族「アカ」の子どもたち。不便だが、人と人とが助け合う暮らしが残っている。


●ギニア
世界で一番貧しい国のひとつ。一方で、豊富な地下資源がある。
その利益を特定の人が独占するのではなく、うまく社会に役立てることができれば、貧困から抜け出せるはずだ。



世界の子どもたちすべてに、静かで、心休まる時が訪れますように。


コメント

『セバスチャンおじさんから子どもたちへ 放射線からいのちを守る』

2014-02-06 09:15:18 | 
『セバスチャンおじさんから子どもたちへ 放射線からいのちを守る』(岐阜環境医学研究所)
セバスチャン・プフルークバイル/著

【内容抜粋メモ】


チェルノブイリ原発事故が起きた時、ドイツも大きな被害を受けましたが、
セバスチャンおじさんは、より強い放射線を浴びたベラルーシやウクライナの子どものために救援活動を続けた。

2011年3月、福島第一原発事故が起きた時、その経験を生かして福島の子どもたちに手紙を書いた。それが本書。

 
福島第一原発から漏れた放射能の広がり/2011.3-6の放射線物質の都道府県別月間降下量と汚染(2011.12現在)


そんな危険な物質を出す原子力発電所を、なぜ動かすのか?
答えはわりと簡単です。
それでとてもとてもたくさんのお金を儲けることができるからです。

だから原子力発電所は、電気がなければ私たちはまたく生活できない、と私たちに説明するのです。


でも、私たちが毎日必要とする電気を作る、他のたくさんのやり方があるのです。
日本ではそうしたやり方は特にうまくいくでしょう。
逆に原子力発電は日本では特に危険です。
原子力発電所は地震に弱いし、ほとんど全部が水辺に建っていて、そこには津波が来る可能性があるのです


私たちはあの時の怒りを少し忘れかけていました。ところが福島の事故がすべてを呼び覚ましたのです。
ドイツや他の国々で、たくさんの人々が抗議をしました。


政治権力は、いつでも、何とか長く政権の座にとどまろうとします。
しかし、どんな政権も、市民の意思に反して長い間支配を続けることはできません。

誰にも君たちにウソをつくのを許さないで、
君たちの頭を使って考え、真理を探究してください。
そしてそれは、君たち自身の力で行ってほしいのです。



このロゴによるバッヂは、各国語に訳され、世界中で反核運動のシンボルマークとなっている。


【あとがき】
ベルリンの壁が壊れ、東ドイツで大きなウラン鉱の存在が明るみに出ました。
野積みになって、人々と自然を蝕む、放射性廃棄物の巨大な山。
そして、チェルノブイリの事故が起きたのです。

イラク戦争がはじまり、核のゴミから作られた「劣化ウラン弾」が使われました。風は放射性物質を運んだのです。

チェルノブイリ大惨事による被災者たちが背負った「低線量放射線内部被爆」
その調査・研究をもとに福島第一原発がもたらす健康影響はどうなのかを考えました。
2012年6月、市民科学者国際会議は、再び福島県猪苗代で開かれたのです。そこでセバスチャンの手紙が生まれました。


【有馬克子さんのメッセージ】(福島県民として 一人の母として 一人の人間として)

地球には 数えきれないほど災害や過ちはありました。
でも もう 過ちは繰り返してはならないのです。
私たちは本当に大切なことに気づかせられました。

愛しいあなたがたを健やかにはぐくみ
市民も科学者も みんなみんな力を合わせて
あらゆることと調和した すばらしい未来を
創造していかねばならないのです。



【丸森あや】(市民科学者国際会議実行委員・市民放射能測定所)
与えられた情報を鵜呑みにせずに、思考することが智慧である。
その力と、智慧と、希望を見つける勇気を、皆が持っていると信じている。


【日本における放射線リスク最小化のための提言】ドイツ放射線防護協会(2011.3.20)

1.汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。

2.乳児、子ども、青少年に対しては1kgあたり4ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。
  成人は、1kgあたり8ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨される。


長期的に特に注意を要するのは、
セシウム134(半減期2.06年)
セシウム137(半減期30.2年)、
ストロンチウム90(半減期28.9年)
プルトニウム239(半減期2万4,400年)
といった、長期間残存する放射性物質である。


国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被爆を年間0.3mSv受けた場合、後年、
10万人につき1~2人が毎年がんで死亡すると算出している。

チェルノブイリ原発事故後の経験に基づいてなされた本提言の厳しい内容と比べると、
日本政府によって出されている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ちます。


コメント