メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

くじら

2006-03-21 23:55:55 | lyrics
セミクジラが泳いでゆく
背中のコブをいくつも白く光らせて

セミクジラが跳ぶ
大空の青さをまあるい小さな眼でのぞこうとして


ああ なんて巨(おお)きな
ああ なんて美しい動物


私たちはかれらを殺してしまった
たくさんたくさん殺してしまった

私たちはかれらを捨ててしまった
たくさんたくさん捨ててしまった

それは私たちの 宇宙最大の罪


セミクジラが親子で近寄ってくる
手を伸ばせば触れそうなところまで


人間を恐れなさい
人間を見たら逃げなさい

私たちは無情で恐ろしい動物なのだから




1992.1.29作
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2006-03-20 23:55:55 | lyrics


ユメ

夜の夢

昼の夢

ラクダの群れは枯れた畑を駆けてゆく

エナメルの肌を外気にさらして

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まろやかな

2006-03-19 23:55:55 | lyrics
まろやかな

極限よりもまろやかな

砂の骨を渡ってゆく

たとえば唇が

別のものであった頃の

熱砂を想像してごらんなさい

スコールを

思い浮かべてごらんなさい

いつまでも

私たちに優しかったもの

いつまでも変わらずに

あったものたちのことを

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どこまで待てば

2006-03-18 23:55:55 | lyrics
どこまで待てば

いいんだろう

少女の夢は


のびてゆく

桃色の指先は

無限の宇宙へひろがってゆく

渋いrock fellow の声にのって

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いくつもの残骸をとび越えて

2006-03-17 23:55:55 | lyrics
いくつもの残骸をとび越えて

紫水晶はどんどん妖しいあいづちをうつ

夢のなかでくるくる舞うオルゴールと

首のつまった白いダブダブの衣装をまとった

ピエロが背中を向けて立っているその

黒ビロウドのかかったステージの上

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私は

2006-03-16 23:55:55 | lyrics
私は
限りなく触手を伸ばしてゆく植物

私は
完全な未来をいつまでも待ち続ける少女

テラスに置かれている
揺り椅子

木のブランコに雨あがりの森

ダンガリー編みのショール


私は
赤い太陽の下の2つの大きな目


私は
銀色に光る肌をした異邦者
イエローフォッグの向こうの
姿なき形



手をつないだ輪のなかの子ども

天にむかって両腕をのばし
一心に願いをかける

遠く果てしない祈り

宇宙に投げだされた
ひとにぎりのあかり



私は
まだなにも描かれていない
新しいノート

きついガラスの靴に包まれた痛む両足


私は
見えない線路の上を旅する
影ぼうし

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私はなりたい

2006-03-15 23:55:55 | lyrics
私はなりたい
私は陽にあたって乾いてゆく洗濯物になりたい

私は洗濯ばさみに吊り下げられた靴下の片方
私は両端をつままれた一枚の薄っぺらいハンカチ
私は内にまだ湿り気を包んだタオル
私は風が吹くたびにクルクル回転する黄色いパンツ

私は昼の晴れた青空を見ながら
緑色の草の香りを一緒に流す風に
身を乾かすままに投げうっている洗濯物のひとつ

やがて陽は翳り、遠く西のかなたへと周っていってしまう
私たちは黙って静かに冷えてゆく

夜になって、夜の湿気を快く吸い込む
身体の芯にまで夜気を快く吸い込む
そして静かに冷えてゆく
でも突然、私をつなぎ留めておく洗濯ばさみが疎ましくなる


私はなりたい
部屋の中で静かに二酸化炭素を吸っている植物
私はサボテンになりたい

ふぅっと酸素を誰もまだ帰って来ない四畳半の部屋に吐いて
流れてくる快い音楽で、ゆっくりと身体を成長させてゆく
私はサボテンさんになりたい

気体の流れる音を聴き
宇宙を飛行し続ける未確認飛行物体の音波を読み取る
いつもと変わらぬ怪獣の模型やらが置いてある
子ども部屋の窓際にぽっつりと置かれたサボテン

身体には50本ほどの痛いトゲ
ほぅら、ボクに近づくと刺しちゃうぞ!
でも、小さな鉢は次第に窮屈に思えてくる


自分の前に順序よく並べられた選択物を選ぶのでなく
自分の前の無秩序にバラまかれた散乱物を
自分の感性に従って選びとっていきたい


だけど目の前にあるのは、
すべて見たことのある造形ばかり。


どんな形もいちど観たことがある。


どんな音もいちど聴いたことがある。


どんな文句もいちど聞いたことがある。


どんな色もいちど見たことがある。


本当のあおいろはどんな色?


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FULL MOON

2006-03-14 23:55:55 | lyrics
それぞれの宇宙のなかで
自転するひとびと
繰りかえす風景に
自分と他人の区別もつかない

毎日ひそかに行われる改造計画
シェルターからシェルターへ
往復をくりかえすだけ


生涯永遠の敵よ
私はしばらくここを立ち去ろう
雑踏と雑談の中に
甘んじている生活を離れて

一時暖かな氷河のくにへ

優しいフレーズだけが響きあう

無言と暗闇の世界へ還ろう


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1週間

2006-03-13 23:55:55 | lyrics
嵐の月曜日
わたしは産まれた
朝のコーヒーで舌を焼いた


曇った火曜日
見知らぬ大勢の人たちと
親しげなおしゃべり


霧の水曜日
近所の男の子たちと
道に寝ている男の尻を蹴飛ばす


霜が立った木曜日
お湯で足をあたためれば
いい気分


雨の金曜日
1日が12時間であればいいと
時計をにらみ


土曜日の午下がり
少なくとも32時間周期で
自転してほしいと考え直す


そして繰る日曜日のよる
歌をうたい出すには
しずかすぎる


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ほんとうに安心して暮らせる家を求めて

2006-03-12 23:55:55 | lyrics
ほんとうに安心して暮らせる家を求めて
ぬれた翼に乗って大空を駆け、
雪の残る冷たい霧風が吹く高山へ
降り立つ。


寒くて、先1mの視界もきかない。
懐かしいフレーズを口ずさみながら
一歩一歩慎重にすすむと、
いつしかポカポカする空間に出る。

きいろや色々の花のじゅうたんが下方に広がり
岩場をさらにすすむごとに日差しはやさしく、
背や額にうっすらと汗がにじむ。


誰も期待などしていないし、
当面なんの目的もなく、今ある状況を
無言に受け入れている。


恋人は金色の長く伸ばした髪を
風にとかしながら、ユニコーンの背にのり
これもまた動画のごとく大きく広い青空を
自由自在に駆け回っている。

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