昨年、留学生を寄宿させるかどうかで悩んだが、結局、所用ができて取りやめたという経過があった。
今年も大学側から要請の依頼があった時、特別な用事がなかったので了解した。
1ヶ月以上パソコンが壊れていたため、今日まとめて、その簡単な体験報告をする。
留学生は、7月初め、ロシア国立S大学から地元の私立大学日本語学科に1ヶ月間の短期留学のためにやって来た。その中の2名の受け入れを2週間だけ、承諾したのだ。
10日程前にあった説明会で、我が家には引率教諭と女子学生がやって来る事が分かった。
担当者からは、「彼らは日本語と日本文化を学びに来るので、特別な事をするのではなく、普段の家庭の生活をそのまま体験させて欲しい。」と強く言われた。同時に「して良いこと、悪いことを、最初に説明して分からせて欲しい。」とも言われた。また、門限も決めて置くようにと依頼された。
私は、考えを巡らした結果、門限は夜10時、朝食は7時10分から、夕食は6時半頃からとした。
基本的に、朝はパン食、夜は和食その他とした。
現在の日本の食生活は、ご飯食を基本としながらも、洋食や中華、インドやイタリアの食事が混在していて、主食のご飯とバランス良く組み合わされているという特徴があるので、その様に毎日違う献立を予め立てた。
先生は何でも食べてくれたが、学生は油類、マヨネーズ、味噌、醤油が苦手で、塩だけの味付けを好んだ。だから、砂糖と醤油で味を付けた和風煮物やマヨネーズで和えたポテトサラダ、油炒めした野菜などには手を付けてくれなかった。
結局、彼女はピーマン、キューリ、トマトなどの生野菜のスティックなどをそのままかじるか、塩茹でしたジャガイモ、南瓜を食べていた。また、キューリだけの一夜漬は食べたが、キャベツや蕪も加えて作ると食べなかった。
私は予め庭で小松菜やホウレンソウ、蕪などを育てて置き、野菜料理に備えたのだが無駄だった。
付け合せやデザートのキウイ、苺、さくらんぼ、パイナップルは良く食べた。
数種類の刺身を出した時、蛸は一切れしか食べなかった。
海老の天ぷらやフライは気に入ったらしいので、2度作った。また、腕によりをかけて作ったビーフカレーは、国の味と違って美味しいと言い、沢山食べてくれた。
信じられない事に、ロシアでは魚は鮭しか売られていないらしい。鮭のムニエルや焼いた塩鮭は食べた。シシャモを焼いたが、2匹しか食べなかった。朝の卵料理はよく食べた。
このことから、私の二人の子供達が大抵の食品は一通り食べられるように育ってくれた事に改めて感謝した。
初めて使う箸は使えるようにと頑張っていたが、急ぐ時はフォークを渡した。
夕食は、できるだけ仕度と片付けを手伝って貰いたいと初めに告げたので、帰りが遅くなった日を除いては、食事の後片付けはほとんどやってくれた。
室は一人に1室づつを割り当て、洗面、トイレは2階を専用にするので掃除はしてほしいこと、また、ベットは無いので、寝具は毎朝片づける事も要求した。
洗面所の使い方が荒かったが、最後は綺麗に掃除をしてくれた。
夕食の後は、居間で適当にくつろいで貰いたいと話した。
引率の若い女性教諭は、日本語は8割方理解し、快活でユーモアに溢れ、学生思いの魅力的な方だった。
女子学生は年齢的には日本の高校生と同じだった。
ロシアでは、小学校は3年間、中学校は4年間なのだという。彼女はまだ思うようには日本語を話せないので、先生が通訳をすることが多かった。
三人で毎晩、夕食の後、デザートを食べ、お茶を飲みながら、実に色々な事を話し合った。
(玄米茶を入れたら好きだと言うので、その後はほとんどそれを出した。日本の菓子類の味付けは、甘さがきつくないので美味しいと言っていた。毎日、違う和風デザートを用意した。)
私自身が21年前の夏に、小樽からロシア船に乗り、ナホトカからはシベリア鉄道で1昼夜過ごし、ハバロフスクからは空路でモスクワ迄8時間飛び、旅行した経験があった事も交流に役立ったと思っている。
また、昔、大学でロシア語を少しかじったことがあり、ロシア語の辞典を引くことはできたが、何よりも日本語を勉強している先生が来てくれた事が、話し合いの力になった。言葉が分からなくなると、お互いに簡単な英語を使った。先生は分からない私の言葉があると、その都度ノートにメモして、和露辞典で調べていた。
2週間は意外に早く過ぎた。普段、気ままな一人暮らしをしている私には気苦労もあったが、総じて楽しく刺激的な日々だった。
最後の晩餐の時、慌てて手作りして用意した和風手提げ袋をお土産として二人に渡した。また、小さな折り紙の本と和紙の折り紙、庭の薔薇や百合の花をバックに撮影した二人の写真を10枚づつプリントして記念に渡した。
今は、来年も私の体調がもし変わらなければ、また2週間位なら草の根の国際交流に一役買うため、ホストファミリーを引き受けても良いかなと思っている所である。