《チュニジアの中西部に広がる塩湖》
3日目、「マトマタ」から不毛の山を越えて西の「ドゥーズ」に向かった。
その途中で夕日が沈んだ。バスは日没直前に停車し、降りて沈む夕日を鑑賞した。どこで見る日没も同じ筈だが、チュニジアの大地の向こう(アルジェリア)に沈む陽を見て少し不思議な気持ちになった。
翌朝は宿泊した「ドゥーズ」のホテルを出、バスは57kmもの距離の直線道路を西北西の「トズール」目指して走り出した。
間もなく平らな白っぽい大平原が現れた。これが塩湖「ショット・エル・ジェリド」なのだった。
海抜0mの場所にあって、最大幅80km、最長200kmだというからその広さは想像ができない。
太古の昔、サハラ砂漠は海の底にあった。地球の大変動によって海底が隆起し、やがて太陽熱で海水が乾くと塩分濃度の濃い水ができ、やがてそこから塩が結晶するのだ。
バスが走っていると遠くに蜃気楼が現れた。また、小さなみやげ物店も点在していた。塩を採取している工場もあった。
途中でバスを下り、道路の両側に広がる「ショット・エル・ジェリド」に足を踏み入れた。表面は砂粒の様に塩が固まっているが、掘ると濃い塩水が出て来るのだった。
小さな山が幾つも作られていて、表面に塩の結晶が白花が咲くように噴き出していた。舐めると塩辛いが甘い。
私達が普段使っているエンカナトリウム99.1%の真っ白い精製塩と違って、無機質を沢山含む天然塩だからなのだ。私はとっさにビニール袋を取り出して、その結晶を爪で削って集めた。
見ていた他の人たちも同様にし出した。面白かった。
道路の反対側の店に行くと、採取したのと同じ塩がビニール袋に入って売られていた。可笑しかった。
本当に広大な塩湖で、その真ん中に真っ直ぐな道路が走っていました。