今年のノーベル賞の授賞式が終った。
今年も大村氏と梶田氏の日本人2人が受賞したことで、マスコミは盛り上がったし、私もとても素晴らしいと拍手を送った。
特に「亡き妻の支えがあったからだ」と常に写真を内ポケットに偲ばせ、言葉にも出す年配の大村氏に、新しい日本人男性を見る思いがして心が温まった。
しかしである。昨年「ノーベル平和賞」を受賞したパキスタンの「マララさん」とインドの児童労働活動家「カイラシュ・サティヤルティさん」は日本でも大きく取り上げられ、「マララさん」の演説はその全文が新聞にも掲載されたのに、今年受賞した「チュニジア」の「国民対話カルテット」は見逃してしまう程の記事にしかならないのは何故なのだろうか。不思議に思える。
チュニジアでは、「アラブの春」が起きて大統領を退陣させ、民主化を果たして以来、他のアラブ諸国と同様にそれまで軍に押さえられていた人々や団体が自己主張をし始めた。
対立していた「世俗派」と「イスラム派」を和解させたのは、労組、人権組織、弁護士組織、一般市民など4つの組織の連合体である「国民対話カルテット」だったのだ。
これでアラブ世界に波及した「アラブの春」を成功させ民主化を実現した国は、現在の所チュニジアだけなのだ。
一昨日の「BS世界のドキュメンタリー」で、チュニジアの受賞とその背景が1時間に渡って放映された。
「国民対話カルテット」は、選挙で勝利し力を誇る「イスラム派」大統領に「憲法を制定したら退陣する」という約束を取り付ける事に成功したのだという。
チュニジアを訪れ、「アラブの春」のきっかけとなった内陸の小さな町を見て来た私は、この賞の選考委員会が「多元的な民主主義の構築に寄与した」という理由でチュニジアのこの組織を選んだことが本当に嬉しい。
昨日終了した「コップ21」も、利害関係の対立する多くの国々が1つの合意に到達した事で歴史的にも素晴らしい会議だったと思う。しかし、先進国は「原子力発電」を含めた数値を考えている事が問題に思えるが…
今も多くの場所で鮮烈な対決が続いているが、この「国民対話カルテット」や「コップ21」がとった対話による解決を目指す手法が、多いに今後の世界の方向を模索する上で参考になるのではと私は思う。
その意味で、今年の「ノーベル平和賞」はもっともっと報道され、評価され、語り継がれて行くべきなのではないだろうか。勿論チュニジアの「国民対話カルテット」の活動は、今後とも世界中から見守られ続けて行くに違いないが。
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