穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

Chandler Speaking

2019-05-01 08:37:42 | 妊娠五か月

Chandler Speaking

 明けましておめでとうございます、と言わなければいけないような雰囲気ですね。街はまた正月が来たような騒ぎです。

 チャンドラーは自分の本が売れないのを怒って(嘆いて)います。当時(20世紀中盤)と現代では出版業界の規模も違うのでしょうが、彼の初版の売れ行きは数千部だったらしい。三千部のものもあったようです。

  彼の小説はほとんどイギリスでも発売されていますが、イギリスのほうが売れ行きはよかったらしい。少年時代と青年時代初期をイギリスで教育を受け、フランスとドイツにも滞在した彼はアメリカ英語を「習って覚えた」といいます。そして小説では意識して「アメリカ英語」を使っています。それでもイギリスの読者のほうが受け入れやすかったらしい。

 もっとも、イギリス人にはアメリカのスラングが分からなかったらしく、編集者がかってに校正していると怒っています。

  売れ行きのせいでしょうが、彼の小説はなかなかペーパーバックにならなかったことにも不満を述べています。ペーパーバックは日本で言えば、単行本が出て数年後に文庫本が出るというプロセスだが、出してもらえないというので怒っています。

  これはこのブログで前にも書きましたが、彼は作家としての収入だけで生活していなかったと考えられる。投資などの資産運用がメインだったのではないか。彼の評伝を読むとそんなことは書いてありませんが。かれは大恐慌前には実業界に身を置いていたわけだし、おおいにありうることでしょう。

 


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