数日前の新聞で、北京オリンピックのチケット配分に関する記事を読んだ。
日本の国内向け入場券の割り当て枚数が、JOC(日本オリンピック委員会)の要望17万枚に対して、BOCOG(北京オリンピック組織委員会)の回答が2万枚だったということだ。
JOCの要望枚数は、JOC、夏季競技団体(28団体)、JOCパートナー企業(25社)、公式旅行代理店(8社)、公式チケットエージェンシー・チケットぴあの各社からの要望をとりまとめた数字と思われる。
アテネオリンピックのときが5万枚だったそうなので、17万枚という数字は多すぎるような気がする。しかし、日帰り観戦も可能なこと、入場券の値段が安いこと、さらに、要望に対して満額回答がありえないこと、などを考えると、要望としては妥当な数字かもしれない。
それに対する2万枚という回答は、かなり厳しい数字ではないか。例えば、3泊4日で4つの競技を見る観戦旅行が、5000人分しか催行できない計算になる。北京オリンピックをビジネスチャンスとして考えている人々にとっては、頭の痛い話だ。
BOCOGは、中国の人口が多いという理由で、いつもの大会よりも開催国内向けの配分比率を多くしているらしい。しかし、本当の理由は、ほかにあるような気がする。
中国としては、国のイメージアップのために、なんとしても北京オリンピックを成功させなくてはならない。そして、オリンピック成功の最たる証は、各競技会場が満員になることである。そこで、BOCOGは入場券を国内に確保しておき、計画的に中国人を競技場に動員して、満員の光景をつくりだそうとしているのではないか。
海外に配分した入場券は、その値段の安さもあり、キャンセルされる可能性も大きい。そうなれば、スタジアムに空席が目立ち、大会の印象は悪くなる。それを避けようとしているのではないか。
オリンピック開催都市として世界に注目されるなか、環境や食品などに関して、あまりのいい加減さと、それへの付け焼刃的な対応が露呈しつつある。北京オリンピックまであと1年。成功に見せるための観客動員なども含めて、オリンピックが終わるまで、中国的なその場しのぎが続くことだろう。
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