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英知大学から聖トマス大学に校名を変更したが、志望者減少に歯止めはかからなかった=平成19年1月、兵庫県尼崎市(写真:産経新聞) |
文部科学省によると、4年制大学で、他大学との合併以外で募集を停止するケースは、16年1月に廃校になった立志舘大学(広島県坂町)と、19年度から募集を停止している東和大学(福岡市)以外では例がないという。 今回、募集停止を決めた3校はいずれも学部が一つの単科大で、学生数も800人以下の小規模校。
三重中京大は昭和57年、地元に大学がほしいという県と市の要望で開校。しかし、年々志望者は減少し、今年度の入学者は定員200人に対し155人と8割を切っていた。
また、昭和38年に英知大学として開学したカトリック系の4年制大学の聖トマス大は、少子化などの影響で平成12年度以降、ほぼ毎年のように定員割れ。20年度から文学部を人間文化共生学部に改組したが、21年度は110人と定員250人の半分以下にまで落ち込んでいた。 神戸ファッション造形大も同様で、21年度は定員100人に対し、入学者がわずか35人だった。』
私立大学の経営状況はかなり厳しくなっています。日本私立学校振興・共済事業団が、2008年1月にまとめた私立大学の経営状況調査では、「521校の大学法人のうち64法人が「経営困難」状態と判定され、9法人は「いつ、潰れてもおかしくない」状態と言う調査結果が出ている。「大学全入時代」まじかで、少子化による18歳人口減少期に伴う受験者数の減少で、受験者を奪い合う大学間の競争は激しさを増している。日本私立学校振興・共済事業団の調査によると平成20年度に定員割れとなった私立大学は47.1%に昇った。大学の授業料や補助金、寄付金を合わせた帰属収入で、教員などの人件費や研究室などの設備費、管理経費などの支出を賄えない私立大学は18年間で32.4%に達した。私立大学の3校に1校が「大学倒産の危機」に直面している。」ある大学関係者はJ-CASTニュースの取材に対し、「文科省幹部の中には、危ない私大は20から30校あると見ている人もいる」と打ち明けた。私大運営の継続、倒産を回避するため、当面は統廃合による生き残りを模索するべきだ、としている。しかし、「勝ち組といわれる東京、大阪など大都市の大規模・ブランド大学も負け組を合併する気はない。イメージダウンになるし、そうした余裕もない」のだという。2008年10月09日J-CASTニュースより一部引用。さりとて、私立大学の受験料を上げたり、入学金や授業料を上げることは今の戦後最大の不況と少子化による18才人口の減少期による大学全入時代のまじかで私立大学間の競争が激しくなっている今日、そう簡単には出来ません。そんなことをすれば、その大学の受験者数と入学者が減少してしまいます。私立大学が物価スライド制を導入していても今の深刻な不況の日本では、私立大学の入学金や授業料の値上げは無理で、むしろ入学金や授業料の減免制度の導入や慶応大学のように値下げすると言う大学も出て来ています。不況により早まった優秀な学生を獲得したいと言う大学側の青田刈りの前倒しでしょう。 本年度は、私立大学の定員割れが昨年を上回ったのではないでしょうか。2009年度の日本私立学校振興・共済事業団の私立大学・短期大学等入学志願動向の調査結果を見てみないと分かりませんが。 今後私立大学の大学間の二極が(有名大学とそれ以外の大学)地方の私立大学と都市圏の大学を問わずに進み、小規模大学、単科大学は入学定員を確保するのは難しいと思われます。私立大学の定員割れが半分以上になれば、文部科学省からの私立大学への補助金が打ち切られので、大学側は募集停止をせざるを得ないと思います。これからは、定員割れによる小規模、単科大学の募集停止や閉校が、全国的に増えて行くと思います。確かに少子化による18才人口の減少期、チャイルドショツク と言われながら新設大学がどんどん作られ、名前も知らぬ私立大学が関西地方にも溢れています。短期大学の定員割れや経営危機を打開する為に四年制大学への昇格も増えました。 神戸ファッション造形大学も学校法人福冨学園が運営する神戸文化短大に2005年に併設されたファッション造形学部ファッション造形学科の一学部一学科で、服飾、インテリア、ファッションビジネスを持っていますが、服飾系の専門学校との選別化、競合部分の特色いを打ち出せなかったのではないでしょうか。競争相手になる専門学校も私立大学と同様学校経営が困難となっている倒産時代です。三重県や松阪市の要望で土地提供や財政的援助を受けて開設された旧松阪大学、今の中京三重大学でも学生が集まらずに募集停止になる時代です。大学が無くなり地域の活性化や文化活動が損なわれる可能性も有ります。
まず定員割れ大学の推移だが、以下のような数値となる。
大学数 割合
平成 9年度 23 5.4%
平成10年度 35 8.0%
平成11年度 89 19.8%
平成12年度 131 27.8%
平成13年度 149 30.2%
平成14年度 144 28.3%
平成15年度 147 28.2%
平成16年度 155 29.1%
平成17年度 160 29.5%
平成18年度 221 40.2%
平成19年度 222 39.7%
平成20年度 266 47.1%
グラフ化すると分かりやすいが、平成10年度から12年度にかけて急増し、その後横ばいで平成18年度に定員割れ大学が10%増。そして今年度が再度急増で47.1%である。ちなみに定員割れの原因を18歳人口の減少に求めがちだが、私立大学の入学者数は18歳人口がピークであった平成3年が366,668人、平成9年が455,540人、平成20年が477,918人と増加している。さて今回、各紙の記事では大学規模と地域による差を指摘するものが多い。地域別の動向では東京、南関東、京都、大阪など大都市圏での定員充足率が110%近いのに対し、北海道、北関東、中国、四国、九州で100%を割っている。規模別データでは入学定員により大学規模を11区分して、それぞれの志願者数や入学者数、入学定員充足率などを掲載しているが、入学定員800人の前後で定員割れのボーダーを引くことができる。入学定員が800人未満では、すべての区分で入学定員充足率が100%を割っており800人以上では、すべての区分で110%近い数値を出している。この800人というラインは、同時に実質倍率でも1倍台と2倍台のボーダーとなっている。また入学定員が3000人以上の大学では5年前と比較して入学定員が1万人以上増加している。つまり大学の数が増えたこと以上に、大規模大学がより拡大したことの方が競争激化への影響は大きい。単純化して言うならば、小規模な大学、地方にある大学の環境が年々厳しくなっているということになるだろう。しかし、こうした点は以前から指摘されているもの。大学関係者であれば、むしろ注目したいのは24ページにある学校別入学定員充足率比較表。19年度と20年度で、各大学がどの入学定員充足率に分布しているかを表しているもので、昨年度定員割れしていた大学の、今年度の状況を把握することができる。この表から読み取れるのは、19年度に定員割れしていた220大学(新設を除く)のうち20年度に入学定員を充足した大学は17大学しかないということである。特に入学定員充足率が90%未満の169大学で、定員を充足したのは7大学にすぎない。一般的に志願者が減少してきた場合、合格ラインを下げていくため難易度の変動が激しくなり志願者数の増減が隔年で大きく異なる隔年現象が起こる。そのため大きく減らした翌年には、反動で志願者数が増えるというのがよく見られたが、こうしたデータからは、一度定員割れに陥った場合、そこから定員を満たすのは至難の業であることが読み取れる。』
※「大学を改革して見ませんか。 」のプログの管理者様の御高配と御許可によりまして、この資料を皆様の為に掲載させて頂きました。