◆復興相が、松本龍衆院議員から平野達男参院議員へ、大変化した。この２人の違いを以下、列記してみよう。まず、それぞれの一般的な違いである経歴を併記しておくことから始める。
【松本龍】である。１９５１年5月１７日、福岡市県生まれ。解放の父と呼ばれた松本治一郎の養孫（血筋の上からは治一郎の大甥にあたる）である。
松本治一郎は１８８７年6月１８日に福岡市で生まれ、１９６６年１１月２２日死去した。福岡県出身の日本の政治家、実業家。解放運動を草創期から指導し、解放同盟からは「解放の父」と呼ばれる。堂々たる顎髭の風貌から「オヤジ」と呼ばれ親しまれた。
もっと詳しく整理してみよう。松本治一郎は、福岡県筑紫郡豊平村金平（現在の福岡市東区馬出）に生まれ、実家はの中の素封家だった。１９００年に住吉高等小学校を卒業後、私塾の粕屋学園や京都の旧制干城中学校（現在は廃校）を経て上京し、旧制錦城中学校（現在の錦城高等学校）を中退。１９０７年に大連へ渡り、大道易者や偽医者として生計を立てる。１９１０年（明治43年）、日本総領事に強制送還されて帰国した。
１９１１年、土建業松本組を創業。配下には高松弥太郎などの九州きっての暴れん坊たちが揃っており藤田五郎の「九州やくざ者」では敵対した組の通夜の夜、殴りこんだ松本組が敵の家屋を瞬時にして「文字通りの」廃材の山とした。
１９２１年、筑前叫革団を結成した。同年、福岡藩初代藩主黒田長政三百回忌に際して半強制的に記念祭費用の寄付が割り当てられようとしたのを「被差別者の子孫に寄付を割り当てるとは何事か」と抗議運動を実施、任意寄付に切り替えさせる。１９２３年、九州の委員長となる。１９２５年（大正14年）、全国中央委員会議長に就任した。
１９２６年より福岡連隊差別事件への糾弾闘争を指導する。被差別民が苦しんでいるのは徳川幕府に責任があるとの思想から、１９２７年、徳川家達公爵への爵位返上勧告闘争を指導。のち、徳川公爵暗殺未遂の罪によって懲役４ヶ月の実刑判決を受け、下獄する。この闘争に影響された人物が後に徳川邸に放火、全焼させている。１９２９年、福岡連隊爆破陰謀事件で懲役3年6ヶ月の実刑を宣せられ、再び下獄した。１９３６年から衆議院議員（当選3回）。１９４０年、斎藤隆夫の反軍演説による衆議院議員除名に反対し、本会議を欠席。所属する社会大衆党党首の安部磯雄・鈴木文治・片山哲・西尾末広・水谷長三郎らとともに、書記長麻生久により党員除名処分となる。
１９４２年、衆議院議員に翼賛政治体制協議会推薦で当選する。鳩山一郎・三木武吉といった自由主義的議員は非推薦で当選している。１９４６年、翼賛議員であったことから一旦公職追放されるが、連合国軍最高司令官総司令部からの「松本と尾崎行雄の2人は真の民主主義者だ、絶対に立候補させねばならぬから松本の追放を解除し「今日中に立候補できるよう手配せよ」との通告によりまもなく解除。 しかし、公職追放は解除されたものの時の外務大臣・吉田茂の妨害によって第22回衆議院議員総選挙への立候補届出には間に合わず、翌年の第1回参議院議員通常選挙に立候補することになる。 その間に解放全国委員会委員長に就任する。
１９４７年、参議院議員で初当選（当選４回）。初代参議院副議長に就任。日本社会党左派の平和同志会の領袖として知られた。なお、副議長就任の経緯について治一郎本人は「出身の自分を議長にしないために保守派の連中が緑風会をつくって第一党にしてそこから議長（松平恒雄）を出した。衆議院でも参議院でも選挙の時には社会党が第一党だったのだから、本来衆議院議長が社会党の松岡駒吉になったように、私が出身でなければ私が参議院議長になっておったはずなんだ」と徳川夢声との対談で語っている。１９４８年、参議院初代副議長時代、天皇への「カニの横ばい」式拝謁を拒否した。これは「カニの横ばい拒否事件」と言われた。以後、非人間的な拝謁は廃止された。
しかし、その後で内閣総理大臣となった吉田茂によって松本は再び公職追放される。1951年（昭和26年）に公職追放は解除された。1953年（昭和28年）、日中友好協会初代会長に就任。1955年（昭和30年）、解放全国委員会を解放同盟と改称し、初代執行委員長に就任。1964年（昭和39年）、勲一等授与の対象者に選ばれたが拒否。1966年（昭和41年）に死去するまで、解放運動の中心人物であり続けた。
このような苦闘に満ちた養い祖父をえているのが、松本龍である。福岡市立馬出小学校から福岡市立福岡中学校、福岡県立福岡高等学校を経て中央大学法学部政治学科卒業。１９８０年、父・松本英一（参議院議員）の秘書となる。解放同盟副委員長を務め、実家は養祖父の代からの福岡の中堅ゼネコンの松本組で、弟が社長である。自身も顧問を務めている。
中央政界では、１９９０年の第39回衆議院議員総選挙に社会党から出馬して初当選し、以後、７回連続当選（現在は福岡県第1区）。１９９６年、社民党を離党して旧民主党結党に参加。解放同盟副委員長であり、人権擁護法案の推進派として知られた。日韓議員連盟常任幹事。国鉄労働組合のJR採用差別闘争に連帯している。２０００年１０月１７日、実家の松本組を継いだ実弟松本優三の自宅玄関ドアに約5発の銃弾を撃ち込まれる事件が発生した。
２００８年度の国会議員の所得公開で国会議員でトップの８億４３６６万円の所得を得ていたことが伝えられている。民主党所属の衆議院議員（7期）、内閣府特命担当大臣（防災担当）。衆議院国会等の移転に関する特別委員長、衆議院環境委員長、環境大臣（第１５代）などを歴任した。解放同盟元副委員長である。
次に【平野達男】である。１９５４年5月2日、岩手県北上市に生まれる。１９６７年3月、北上市立黒沢尻西小学校卒業。1970年3月、北上市立北上中学校卒業。１９７３年3月 - 岩手県立水沢高等学校卒業。1977年3月、 東京大学農学部卒業。１９７７年4月、 農林省入省する。
１９８２年3月 、 アイオワ州立大学大学院修了。１９８２年４月、農林水産省直轄土地改良事業所勤務。1994年4月、岩手県農地建設課長。１９９５年4月、 岩手県農地計画課長。１９９７年4月、 農林水産省関東農政局建設部設計課長。１９９９年4月、農林水産省構造改善局建設部設計課国営事業調査官。２０００年4月、農林水産省構造改善局建設部設計課技術調査官。
２０００年4月、 東京大学農学部講師。２０００年4月、岩手大学農学部大学院講師。２００１年1月、- 農林水産省農村振興局整備部設計課技術調査官。2001年4月 - 農林水産省退職。
2001年7月、参院選挙に、小沢一郎党首率いる自由党公認で出馬し初当選する。２００３年９月、民主党に合流。２００７年7月、 参院選挙では国民新党の推薦も受け、民主党公認で再選。2009年1月、 参議院農林水産委員会委員長に就任。２０１０年7月、参院選挙で落選した簗瀬進の後任の参議院予算委員長に就任。2010年9月、菅改造内閣で内閣府副大臣に就任。２０１１年6月、 復興担当副大臣となる。２０１１年7月、- 松本龍復興担当大臣の辞任に伴い、復興担当大臣となる。
つまりは、小沢一郎代表という強大な力をバックに、その名代として復興担当大臣を務めるのである。
本日の「板垣英憲（いたがきえいけん）情報局」
東日本大震災の復旧復興は、東北の雄・小沢一郎元代表に任せるしかないことに、震災後１１８日にして、愚民の多くはようやく気づいた ◆〔特別情報①〕
菅直人首相は、小沢一郎元代表に逐一報告、松本龍復興相のチョンボを詫びて、次の復興相人事を決めてもらった。それが、小沢一郎元代表の大貸し平野達男参院議員（内閣府復興担当副大臣）だった。党員資格停止処分により座敷牢にある小沢一郎元代表の渾身の人事である。これが正常な状態ならば、小沢一郎元代表が復興相に就任していいところだが、座敷牢では、無理だ。
