◆「押しかけ外交」の成果はいかに? 安倍晋三首相が就任初の訪米により、オバマ大統領との首脳会談を実現した。だが、オバマ大統領から歓迎していた雰囲気は全く感じられなかったのは、残念至極であった。昼食をごちうになっただけで、晩餐会を催してもらえたわけではなく、冷淡な応対ぶりだった。
その原因は、安倍晋三首相がオバマ大統領の都合を考えもせず、一方的に「会って欲しい」と面会を強要して、無理を聞いてもらったところにあった。オバマ大統領は、3月1日に訪れる「財政の壁」に直面しており、共和党の協力を得なければ、法改正による「財政のピンチ」を乗り切れない状況に立たされているからである。
米連邦議会は上院と下院がいわゆる「ねじれ現象」を起こしており、上院は共和党が過半数を占めている。民主党のオバマ大統領には、頭の痛い状況になっている。この状況の下で、オバマ大統領は、軍事予算の大幅な削減を迫られている。
しかも、アフガニスタン駐留米軍の撤退計画が思うように進んでいないのも、心痛のタネである。撤退は2011年7月から2014年秋までに終了する計画だが、タリバンが「敗北を認めなければ、将兵全員(約7万人)を皆殺しにする」と言い続けてきたこともあり、容易に撤退できなかった。米国はプライドと名誉にかけても「敗北」を認めるわけにはいかないのだ。
こんな苦労を抱えているオバマ大統領に安倍晋三首相を歓迎できる心の余裕はなかったのである。
◆これに対して、安倍晋三首相は、痛々しいほど、オバマ大統領に媚び、へつらい、「TPP交渉参加」「沖縄米軍普天間基地の辺野古への移設実行」「集団的自衛権行使」などについてオバマ大統領が要求してきていた懸案をことごとく解決する約束を示して、懸命に歓心を得ようとしていた。
しかし、いくら約束しても、これはあくまで、「約束」にすぎないので、オバマ大統領は、「しっかり実行して約束を果たして見せてくれ」とあくまでも「結果」が出るのを待つ姿勢だった。このため、首脳会談後、安倍晋三首相と共同記者会見に臨むこともなく、実に冷ややかに見ていた。
安倍晋三首相は、尖閣諸島の領有権問題で、オバマ大統領から「有事の場合は、米軍がしっかり守る」と名言して欲しかったのだが、オバマ大統領からは、この問題について「リップサービス」すらなかった。これには、おそらくガックリしたことであろう。
◆思えば、民主党のオバマ大統領と、安倍晋三首相は祖父の岸信介元首相以来の「共和党人脈」の中にいる政治家であると受け止めていた可能性が大であった。
日本通として知られている米CIA対日工作者(リチャード・アーミテージ元国務副長官)らの「一味に違いない」と思い込んでいたとも言える。
◆オバマ大統領にとっては、日本の民主党とのつき会いが濃厚であり、鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相、野田佳彦前首相が、「日米関係を壊し、ギクシャクさせてきた」と米CIA対日工作者の強い影響下にある日本のマスメディアが盛んに論評し、宣伝してきたとしても、人間関係で言えば、こちらの方とのつき合いは、安倍信三首相よりは深くて、濃い。
だからこそ、2012年12月16日の総選挙の結果、自民党が大圧勝し、民主党が大敗したとき、オバマ大統領が、「野田首相には感謝している」という言葉を送ったのである。
オバマ大統領が感謝している中味は、「日本からの資金援助」であり、「財政の崖」から救われたという気持ちの表れであったと解釈できる。この感情が続いているので、安倍晋三首相が訪米してきたのだからと言って、手のひらを返すように、「歓迎」する気分にはなれなかった。それが「冷淡」な態度に表れたものと思われる。
中国共産党1党独裁の北京政府の報道官が「安倍首相に対してオバマ大統領は冷淡だった。尖閣諸島問題では、中国についての発言は何もなかった」と厳しい反応を見せたのは、言うなれば、当然であった。
安倍晋三首相が、オバマ大統領との関係をどのようにして良好にして行くかは、ひとえにオバマ大統領の対日要求に対して、「忠犬晋三」としていかに従順に、言いなりになり、忠実に実現して行くかにかかっている。
※Yahoo!ニュース個人
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BLOGOS本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
オバマ大統領は、「憲法改正、国軍建設」を安倍晋三首相に要請し、「参院議員選挙まで待って欲しい」と答えたので不機嫌、冷淡になった