自民党が参院選の候補者決定で予備選を活用しています。
党員の投票による予備選は、一見開かれた選考なので、
一般受けはするが、実際はそんなに開かれていません。
その理由は、予備選方式だと勤務先にばれてしまうため、
ふつうのサラリーマンは立候補できなくなるためです。
公務員も新聞記者も予備選だと立候補しにくいです。
参院選の候補者になれるかどうかもわからない段階で、
勤め先を辞めて予備選に出馬するのは大きなリスクです。
リスクに見合うリターンが得られるか不透明です。
透明性をアピールするための予備選方式というのは、
リスクを負っても平気な一部の職種の人に有利です。
結果的に、すでに公人の地方議員、資格職の医師や弁護士、
あるいは自営業の人ばかりが応募することになります。
さらに予備選だと国会議員の息子・娘が圧倒的に有利です。
自民党の世襲議員のご子息が大量に当選していますが、
予備選方式で選ばれているケースもあります。
すでに後援会組織のある世襲候補や県会議員といった人は、
党員投票による予備選では圧倒的に有利な立場にあります。
ふつうのサラリーマンで後援会がすでにある人はいません。
そういう観点では、予備選は既得権者には有利な仕組みです。
地方議員、世襲の新人、組織票を持つ業界出身者も有利です。
いかにも自民党好みなのが、予備選の仕組みです。
他方、党内の閉ざされた選考プロセスによる公募であれば、
サラリーマンや公務員が仕事を辞めずに応募できます。
正式に党から公認候補者としての内定をもらった段階で、
職場に辞表を出せばよいので、応募しやすいです。
私も自民党神奈川県連の候補者公募で初出馬しましたが、
立候補直前まで独立行政法人に勤務しておりました。
予備選の段階で職場に辞表を出さざるを得ないために、
予備選方式なら私は立候補できなかったでしょう。
参院選候補予定者の選考過程をウェブ上で公開する、
という試みをみんなの党としてもやってみましたが、
応募してきたのはやはり自営業の人ばかりでした。
予備選というのは、銀行とか、メーカーとかに勤めている、
ふつうのサラリーマンは絶対に応募できない仕組みです。
一見すると透明性の高い開かれた選考プロセスというのは、
実際は限定的な人しか応募できない閉ざされた仕組みです。
予備選が定着すると、次の背景を持つ国会議員が増えます。
・地方議員
・世襲の新人
・自営業
・医師や弁護士といった資格職
特定の職種や出自の人に有利な選考方式は望ましくありません。
予備選という閉ざされた選考の仕組みはやめるべきです。
私は、自民党のような予備選方式が普及拡大していけば、
私のようなふつうのサラリーマンが国政に出ることが、
ますます難しくなってしまうと危惧しています。