農産物の輸出統計を何気なく見ていて、
和牛輸出に関わる統計を発見しました。
これを見たら誰でも驚くと思います。
牛肉の輸出の相手先上位3か国
2010年(総量:約541トン、約34億円)
1)ベトナム、2)香港、3)マカオ
2011年(総量:約570トン、約35億円)
1)カンボジア、2)香港、3)マカオ
2012年(総量:約863トン、約51億円)
1)カンボジア、2)香港、3)ラオス
ちなみに輸出される牛肉の平均単価は、
キロ6千円程度と、安くはありません。
東南アジア(非イスラム国)においては、
鶏肉や豚肉はよく食べるのですが、
牛肉はそんなに頻繁に食べません。
カンボジアの人口は、約1500万人です。
そんなに市場規模も大きくありません。
一人当たりGDPが933ドル(2012年)の
カンボジア人がキロ6千円もする牛肉を、
もりもり食べているとは思えません。
牛肉の輸入関税の低いカンボジアに輸入し、
そこから密輸(または合法的)に第三国に
再輸出しているとしか思えません。
おそらくベトナムとラオスも同様です。
ラオスなんて人口も経済規模も小さく、
和牛を輸入する理由はなさそうです。
近隣の和牛好きの豊かな国に向けて、
再輸出(密輸か?)しているとしか、
考えようがありません。
その場合、シンガポールのように日本と
自由貿易協定を結ぶ国は除外できます。
香港は、直接輸入する例が多そうです。
タイも考えられなくはありません。
ラオス、カンボジアと国境を接しています。
しかし、人口と富裕層が足りないかも。
やはり一番考えられるのは中国です。
おそらく中国の富裕層向けに再輸出され、
関税逃れに使われているのでしょう。
以前に横浜税関に視察にうかがった時に、
中国人の船員がよく和牛を密輸出すると、
聞いて驚いたことがありました。
船員が日本のスーパー等で買った和牛を
中国に密輸すると相当儲かるそうです。
かさばって大変そうですが、、、
牛肉の輸入関税が高いのか、それとも、
牛肉の流通を独占している国営企業が、
暴利をむさぼっているのか知りません。
いずれにしても和牛は高いそうです。
船員が和牛をスーパーで大量に購入して、
それを日本から密輸出したところで、
生産者には痛くもかゆくもありません。
いま中国政府が綱紀粛正で官僚の接待を
厳しく取り締まっていると伝えられます。
すると和牛の需要も減るかもしれません。
2013年の統計でカンボジア向け牛肉輸出が、
大幅に減少しているとしたら、中国向けの
迂回輸出国だったことが証明されます。
2013年の牛肉の輸出統計が楽しみです。