緑茶に含まれるカテキン類の、免疫力向上や感染症の抑制作用は確実で、多くの研究により認められています。よく知られているのは、緑茶の抗菌作用です。茶葉の産地では、「緑茶うがい」が推奨されています。【解説】小田原雅人(東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科特任教授国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授)

解説者のプロフィール

小田原雅人(おだわら・まさと)

1980年、東京大学医学部医学科卒業。同大学医学部第三内科入局後、90年に附属病院助手。筑波大学講師を経て、96年に英国オックスフォード大学医学部に講師として赴任。2000年に虎の門病院内分泌代謝科部長に着任。04年に東京医科大学内科学第三講座主任教授。同大学病院副院長を経て14年より教授、20年より現職。日本内科学会認定医・指導医、日本糖尿病学会認定医・指導医。

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感染症予防に!熱めのお湯で淹れた渋い緑茶がおすすめ
かぽれ
粉末緑茶なら食物繊維もとれる
注目すべきは、抗がん作用です。狭山茶で有名な埼玉県の、県立がんセンターの研究により「1日に10杯以上緑茶を飲用すると、多くの臓器のがんを予防する」ことが判明しています。
近年は同センターの研究で「茶カテキンが、がん細胞の細胞膜を硬化し活性化を抑制する」という機序も判明しました。
国立がんセンターが行った、男女9万人を19年間追跡調査した研究でも、緑茶を飲む量が多いほど全死亡リスクが低減。前立腺がんは5割、女性の胃がんは3割、発症リスクが低下すると報告されています。
ほかにも、血糖値やコレステロール値を低下させたり、心筋梗塞や脳卒中の誘因となる全身の炎症マーカーを下げたりする作用が明らかになっています。緑茶はまさに、健康飲料の王様といえるでしょう。
茶葉ごととれる粉末緑茶がお勧め。
先述したように、茶カテキンには種類があり、厳密にいえば抽出温度によって、その量の比率が多少変わります。
また、カテキンは本来、日光によく当たった茶葉が有する、渋みや苦み成分です。旨み成分を多くするため日に当たらないように育てた玉露などの高級茶や、抹茶には、含有量が比較的少ないといえます。
普通の煎茶を、ある程度渋みが出るよう、高めの温度の湯で入れ、二番茶、三番茶まで飲むのがいいでしょう。
なかでも私のお勧めは、茶葉の成分ごと摂取できる、粉末状の緑茶です。今はスーパーなどでも、普通に置いてあります。粉茶なら、お湯で入れただけでは抽出しきれないポリフェノールや食物繊維なども、併せてとれます。
緑茶にはカフェインが含まれていますが、妊婦のかた以外はさほど気にする必要はありません。カテキンの血中濃度は1時間ほどで最大になるので、1時間おきに1杯など、ちょこちょこ飲むのがお勧めです。緑茶を積極的に飲んで、健康の維持・向上に活用してください。