教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

本澤二郎の「日本の風景」(4853) <ムラ社会・袖ヶ浦市に見る地方自治の傲慢・不誠実・遅れ・いい加減=日本民主主義の暗い前途を象徴>

2023年07月03日 18時42分52秒 | 国際・政治

本澤二郎の「日本の風景」(4853)

本澤二郎の「日本の風景」(4853)

<ムラ社会・袖ヶ浦市に見る地方自治の傲慢・不誠実・遅れ・いい加減=日本民主主義の暗い前途を象徴>より、転載させて頂きました。

 敗戦から78年の日本に民主主義は、しっかりと根付くだろうか。国や地方の政治と行政の対応を眺めていると、いつも頭がくらくらする。護憲リベラルの宏池会の内閣が、突如として改憲大軍拡の音頭を取り始める。軍靴の音が聞こえ、戦争神社の靖国が賑わう。地方では311の放射能ゴミが風光明媚な桃源郷のような水源地に埋め立てられていることに対して、自治体は必死で蓋をかけ、責任を回避して逃げている!

 

 住民の泣き叫ぶ姿に目を向けない。住民自治は絵に描いた餅である。警察も動かない。「木更津レイプ殺人事件」もそうだった。やくざの殺人事件にソッポを向いている警察と公安委員会。何もかもが不誠実・不条理でいい加減なのだ。放射能問題の現場近くでは、住民の健康被害にも「因果関係が不明」と言って逃げる。コロナワクチンの死者に対する対応と同じである。

 

 地方自治は死んでいる!凡人ジャーナリストは天を仰いでいる。何ということか。千葉県袖ヶ浦市のいまである。何度も警鐘乱打のblogで情報発信しているが、まったく埒が明かない。中央の腐敗を地方のムラ社会は歓迎しているようなのだ。

 

 新聞テレビは情報を手にしながら、高みの見物をしている。原子力ムラの意向に屈して動かない。電通などの意向に配慮している。何ということか!

 

<ムラ社会は今も神道・氏子社会の掟に従って動いている!>

 こんなにひどい日本を、Youtube動画は外国の美人を登場させて「日本はすばらしい」と合唱させている。ネット掲示板も操作されている。コロナウイルスは米国製の生物兵器だと訴えるデイビッド・マーティン博士の生の講演に驚愕した弁護士は「なぜこれが国会で議論されないのか。政府も国会も司法も共犯者ではないか」と怒りの電話をくれた。

 

 初めて書く。よくよく考えてみれば、日本社会はムラ社会、明治に確立・強制された神社神道が牛耳るムラ社会なのだ。国会議員もそんな代表だから、立派な日本国憲法さえも理解していない。いわんや地方の議会や役人も憲法を読んでいない。反社会勢力のやくざと同居している!

 

 昨日聞いた話では、30代の跡継ぎが祖母の家から飛び出して、数キロ先の土地を買って家を建てた。理由に驚いた。祖母の地区住民のいじめに遭って「ここには住めない」といたたまれず逃げ出したというのだ。「ムラ社会の掟」が若者をはじき出したのだ。これも袖ヶ浦市だ。民主主義が健全に機能していないのである。

 放射能ゴミで揺れる房総半島の水源地・袖ヶ浦市の出来事である。納得すると同時に、いまもムラ社会のしきたりや掟に縛られている日本に正直、衝撃をうけるばかりだ。

 神道のお祓いで何かが起きるわけではない。他愛のない原始の「宗教」が今も牛耳るムラ社会。そういえばYoutube動画に村八分という昔聞いた話題がたくさん掲載されているではないか。見えざる掟で動くムラ社会の地方行政は、住民の生死をかけた要望に応えようとしていないのも、ようやく分かってきた。

 無念の極みだ。民主的な政権・護憲リベラルの議員を輩出する義務を果たさない結果なのか。泣けてくる!

 

<住民の要望に霞が関は民営移管・千葉県は3か月、地元は3・5か月>

 放射能ゴミに腰を抜かしてしまい、途方に暮れた袖ヶ浦市の林地区と高谷地区の住民は、環境省に電話をした。明解な国の方針を知るためだったが、同省の代表電話は「その件はこちらに電話しなさい」と指示してきた。

 

 住民は上総弁を駆使して、指示された電話番号にかけた。「すぐに原状回復します」という期待に対して「うちは環境省に依頼されている民間の組織。ただ聞き置くだけです」。怒った住民は「キミらは税金泥棒か」と口撃して電話を切った。この国の正体を知って肩を落としたことは言うまでもなかった。

 霞が関の巧妙な手口なのだ。厳しい問題は「受け付けない」作戦なのだ。全体の奉仕者ではない。国民を愚弄した対応である。

 

 袖ヶ浦市に対して浜田派市長に繰り返し住民は要望書を出したが、その対応は遅い。最近の事例では、今年3月13日に提出した放射能ゴミ調査に対して、実に3か月半過ぎた6月28日に回答書が届いた。

 「民地所有者の了解取得や掘削については、市では対応できないため、要望者(林区)側で行うのが前提」と開き直った。水源地が放射能ゴミで汚染しているという、一大違法行為を「市は無関係」と蹴飛ばして、無力の住民側で対応しなさい、と突っぱねた。市議会、特に腐敗退治を公約してきた公明党は全く動かない。

 

 「やくざの手が回っている」と指摘されても仕方ないだろう。千葉県は要望に対して3か月ルールが存在する。回答を3か月目前になって出してきた。国も県も市も放射能ゴミ解決から逃げる。

 

 日本が100年後にも存在すると仮定すると、その場面で国会図書館でこの記事を見た未来の研究者は、大いに納得するだろう。日本の公務員は不誠実の塊なのだ。友人の弁護士は「国家公務員試験を受けなくてよかった」と複雑な感想を述べた。

 

<池田淳元千葉県農林部長に愛宕山の猿退治に人間退治が先と反論>

 宇都宮徳馬さんと旧制水戸高、京都帝国大学で学んだ水田三喜男さんは、共に学生運動に飛び込んで暴れまくった。河上肇のマルクス経済学に共鳴したことが京都の地を踏んだ理由だ。当時はまだ「天皇は神」という時代だったが、インテリは内心あざけっていた。

 天皇批判で逮捕され、拷問されたが、父親が陸軍大将で反山県有朋の急先鋒だったことから、命は奪われなかった。怖いもの知らずだったのかもしれない。「暴兵損民」(徳間書店)を出版した際、毎日のようにインタビューして昔話を引き出したのだが、彼は拷問の様子を具体的に語ってくれた。

 悪役の特高警察も「陸軍大将の長男」を惨殺することは出来なかった。水田さんは千葉県の館山出身で長く大蔵大臣を歴任した。この水田代議士の下で書生を始めた御園豊は、水田の後継の池田淳の第一秘書になった。彼は池田の千葉県農林部長時代の話を記憶していた。

 それは富津市の愛宕山の猿のことだ。池田いわく「農林部長の時、愛宕山の猿が民家に入り込んで食べ物を食い荒らす。お鉢をひっくり返したり冷蔵庫まで開けて始末が悪いという陳情を受けた。猿を退治して欲しいと。他方で、猿の保護団体からは、とんでもないと反対の陳情が。理由を猿にすれば、人間の先祖は猿。退治すべきは人間ではないか。人間を退治するのが先だ、といわれて困ったよ」。

 

 放射能ゴミで生死をさ迷わされている林地区の住民は「政治を破壊したのは、自然を破壊した人間。狂った人間を退治しなければ、人間は安心して生きられない」と怒る。御園は「政治家の資質は、情熱・責任感・判断力・実行力。知性と人格は違う」と地方議会人に訴えている。今の日本では人間退治が不可欠だ、とも。

 穏健そのものの水田後継者に仕えた彼は、改憲に突っ走る自公維らに対して「猿か」と怒りの言動を吐いた小西洋之に通じる。そういえば彼も千葉県を選挙区にしていることが最近分かってきた。千葉県には悪と善が極端に分かれている。やくざ代議士とその倅を支持する県民がいる。創価学会?やくざ浜名に殺害された戦争遺児は、断固としてやくざ代議士を支持しなかった。

 

<自公維民の改憲軍拡論に小西の猿発言はまとも>

 以前にも書いたが、小西洋之参院議員は真っ当な政治家である。右翼の反発を受けた猿発言は、その通りである。

 憲法を改悪しようと狂奔している自公維議員は「猿以下」と断じてもおかしくない。しっかりと歴史を学んで、憲法を読めと忠告したい。この10年の沈没をどう見ているのか。話にならない。

 

<日本にロバートケネディJrのような政治家はいないか>

 日本に米国のロバート・ケネディJrはいないか。間違いなくアメリカの民主主義を実現するだろうロバートのようなリベラリストが、今の日本に必要である。

 宇都宮さんのような護憲リベラリストである。小沢一郎に進言したい。急ぎワシントンに出向いてロバートと会うのである。山本太郎・森ゆうこ・青木愛らを引率して。小西もである。小沢の最後の仕事は、勇気と正義の護憲リベラリストを養成・輩出することである。

 日本で「ロバートを支援する会」を結成するのも悪くない。沖縄を助けろ、である。米軍基地閉鎖に取り組んで行く。日米軍事同盟も解消すればいい。

2023年7月3日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

首輪はNO!マイナカード返納運動やまず!(共同)

 都道府県庁所在地と政令指定都市の計52市区を対象とした共同通信の調査で、マイナンバーカードの自主返納が5月以降、少なくとも計318件あったことが2日分かった。4月は20件程度。5月以降に個人情報の誤登録などのトラブルが続出し「情報漏えいが不安」「制度に不信感がある」などの理由で急増した。政府が制度への信頼を回復できなければ、さらに拡大する可能性がある。

 

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1.桃子

フランスでは、移民の組織(闇の下部組織)によって警察と衝突して、息子が亡くなったと言って、暴動を起こし、店を壊すなど、車を盗む等ひどい状態になりましたが、今は軍が街に装甲車を出して、制圧しています。
ベルギーも、ドイツも同じようだと、情報があります。
日本でも、暴動が起これば、このような風景をみるかもしれません。
世界中で、大掃除が進行中です。
昨夜10時過ぎに、空に低空で飛ぶ飛行機を多数目撃しています。ベランダにでると、空に6機もの飛行機が飛んでいるのを見ました。これ程多いことは初めてです。通常の飛行機とはコースも別です。あとからあとから飛んできて、20機程みました。
日本は最後になると思います。日本は世界の支配者のいる国です。最後の牙城です。

 
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橋下徹氏が明かす「いずれ総理に」と安倍晋三氏を維新に誘った“幻の合流構想”

2023年07月03日 13時13分57秒 | 国際・政治

橋下徹氏が明かす「いずれ総理に」と安倍晋三氏を維新に誘った“幻の合流構想”

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橋下徹氏が明かす「いずれ総理に」と安倍晋三氏を維新に誘った“幻の合流構想”
10年以上前から交流を深めていた安倍晋三氏(右)と橋下徹氏(左奥=松井一郎氏、右奥=石破茂氏/時事通信フォト)

 躍進を続ける日本維新の会。その創設者である橋下徹氏は、自民党が下野していた時代から安倍晋三・元首相と深い関係を築いていた。自民と維新の繋がりを紐解くうえで欠かせないその2人の真の関係に、“安倍にもっとも食い込んだ記者”と呼ばれた元NHK解説委員・岩田明子氏が斬り込んだ。【前後編の前編。後編を読む】

【写真】120分も語り尽くした「橋下徹氏×岩田明子氏緊急対談」のアザーカット

橋下から安倍への誘い

岩田:大阪維新は橋下さんと松井一郎さんが立ち上げた政党。お二人の個性が反映され、“個人政党”とも呼ばれていましたが、お二人が退いた後も、日本維新は、消えるどころかむしろ党勢を拡大しています。世代交代に成功した珍しい例で、吉村(洋文)府知事ら若い世代に維新のスピリッツをうまく継承させたと感じましたが、いかがですか。

橋下:いや、維新のスピリッツなんて特にないんですよ。もちろん、一人ひとりは自分のスピリッツを持っていますが、前号(『週刊ポスト』2023年6月19日発売号)で述べたように、大阪都構想の看板なき今の維新のパーパス(存在意義)がはっきりしていないから、共有もできていない。

岩田:ではなぜ、うまく世代交代できたのですか。

橋下:簡単なことで、代表クラスの幹部がいつまでやるか、期限を決めたからです。僕や松井さんは維新の結成段階で、大阪都構想が否決されたら8年、実現した場合でも最長12年で辞めると決めていました。期限が決まっているから、次世代を育成しないといけないし、若手も引き継ぐときが来るので頑張る。

 企業のトップには、「若手が育ってこないから世代交代できない」という人がいますが、それは逆で、あなたがトップをいつ辞めるかわからないから、若手が育たないんですよと。

岩田:目からウロコが落ちるような気がしました。

橋下:吉村さんは大阪では人気絶頂で、「ツァー(皇帝)吉村」と呼ばれていますが(笑)、彼も期限を決めていますからね。僕としては国政に出てほしいんだけど、たぶん、今の任期が終わったら政治家を辞めるんじゃないかな。

岩田:ただ、これほど高い支持を集めると、長く続けようと思いませんか。

橋下:そういう政治家が多いですが、僕も松井さんもヘトヘトでしたよ。吉村さんもそうだろうし、安倍(晋三)さんもそうだった。もうボロボロになるの。だから維新スピリッツの核心は、政治家としての期限を自ら決めて、スパッと辞めること。このスピリッツを持っている政治家が維新にどれくらいいるかな?(笑)

岩田:確かに全力で政治に携わると消耗が半端ないですよね。ところで今、安倍さんの名前が出ましたが、自民党が下野し、大阪維新が国政に出ようとしていた頃の2011年3月に、中之島(大阪府大阪市)のホテルで安倍さんを「いずれ総理に」と維新に誘いましたよね。

橋下:ええ。僕は政治絡みの交渉はまったく苦手なので、松井さんたちに任せていましたが。

岩田:その夜に安倍さんから電話があったことを思い出しました。世間から「二度と復権はない」と言われた自分に、人気上昇中の維新が価値を見出してくれたとは、と噛みしめていました。

橋下:あの頃の大阪維新には国会議員はまだ一人もいなくて、大阪都構想の実現には法律を変えなきゃいけないから、国政に出ようという段階でした。それで、厚かましくも、総理経験者の安倍さんをお誘いしたんです。

岩田:結局、安倍さんは、政権交代のきっかけを作ったのは自分なのだから、自分で落とし前をつけるまでは、自民党を出るわけにはいかないし、先人たちにも申し訳が立たない、と誘いを断わったわけですが、感謝の気持ちを口にしていました。

橋下:そうでしたか。海のものとも山のものともわからない僕らからの誘いをそのように受け止めていただいたなんて、本当に嬉しいし光栄ですね。

「僕はもう一回挑戦したい」

岩田:私、橋下さんにお会いしたら、お聞きしたいと思っていたことがあるんですね。最初の橋下さんと安倍さんの出会いは何でしたか。

 20年近く前の曖昧な記憶なんですが、当時橋下さんが、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演し、茶髪で「ヨンさま」(ペ・ヨンジュン)と呼ばれていて(笑)、安倍さんが「大阪の“ヨンさま”からメールをもらった」と話していました。どうして大阪のヨンさまから安倍さんにメールが来たんだろうとずっと気になっていたんです。

橋下:髪型が似ていただけなんですが……(笑)。安倍さんとは、大阪のやしきたかじんさんの番組(『たかじんのそこまで言って委員会』読売テレビ系)で初めてお会いして、それでご挨拶のメールをしたんだと思います。

 それから時間が経って自民党が下野し、僕が大阪府知事になった頃に、たまたま新幹線でご一緒し、隣に座って「橋下さんも命を狙われるようになって大変でしょう」「僕は再起して、もう一回挑戦したい」といった会話をしたのを覚えています。

岩田:生前、「戦う政治家が好き」と様々な場面で話していましたね。

橋下:いやいや。確かに、安倍さんの話の中で出てくる政治家は、戦う人たちが多かったですね。トランプに対しても職務で機嫌を取っているわけではなく、たぶん、ああいう人が好きなんだと思う。あれだけ世界を敵に回してよくやるなと。

岩田:首脳外交は、お互いの国益がかかっているだけに、真剣勝負ですね。でも真剣勝負だからこそ、信頼関係を築けるという印象を受けました。

橋下:維新には来てくれなかったけど、そういう経緯で安倍さんや菅(義偉)さんとの関係が生まれました。大阪都構想の法案も自民党では菅さんを中心に、さらにはみんなの党や、当時の与党民主党も協力してくれて賛成多数で可決してもらいました。

岩田:その後、自民党は政権に返り咲き、安倍さんは総理に、菅さんは官房長官に就きますが、毎年クリスマスイブには、安倍・菅・橋下・松井の4氏が、虎ノ門で食事をされていましたね。

橋下:大の男4人でクリスマスディナーって、どんな仲なんですかね(笑)。だけど、めちゃくちゃ楽しかったですよ。菅さんはお酒を飲まれないんだけど、上機嫌でニコニコしていた。僕は安倍さんから、各国首脳のいろんな裏話を聞きましたよ。トランプにオバマ、キャメロンにメルケル、ドゥテルテと、ここでは話せないような逸話をたくさん。いや、本当、毎回楽しかったです。

(後編に続く)

【プロフィール】
橋下徹(はしもと・とおる)/東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、1997年弁護士登録、翌年橋下綜合法律事務所設立。大阪府知事、大阪市長を歴任。地域政党・大阪維新の会を結党。その後国政政党・おおさか維新の会の初代代表に就任。2015年12月に政界引退。

岩田明子(いわた・あきこ)/千葉県出身。東京大学法学部卒業後、NHK入局。2002年、安倍晋三氏の番記者に。官邸や政党担当の他、外交取材多数。2013年から政治担当の解説委員を兼務。2022年7月、NHKを退局。近著に『安倍晋三実録』(文藝春秋)。写真の衣装はブラウス:ATTRANGES、stylia、イヤリング:jinjin。

※週刊ポスト2023年7月14日号

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「マイナはデジタル弱者をはじき出す制度」 オンライン機器導入で「廃業」の病院も

2023年07月03日 07時29分35秒 | ニュース

「マイナはデジタル弱者をはじき出す制度」 オンライン機器導入で「廃業」の病院も

デイリー新潮7/3(月)5:57

「マイナはデジタル弱者をはじき出す制度」 オンライン機器導入で「廃業」の病院も

令和の壊し屋

 

 もはや国民的心配事となった「マイナンバーカード」騒動。来秋には紙の保険証の廃止を控える中、混乱は未だ続いている。高額なシステムに医師の怒りは収まらず、デジタル庁内部の問題も指摘される。だからこそ河野大臣へ直言。「マイナ保険証は要らない!」。

 ***

「100%のテクノロジーというのはありませんから、トライ&エラーを繰り返して進めていくしかないということですよ。“嫌な人がいるからやらない”だとデジタル政策は前に進められなくなってしまいます」

 と語るのは、“日本のインターネットの父”と称される慶應義塾大学教授の村井純氏(68)。村井氏は1984年、大学をつなぐネットワーク間接続「JUNET」を設立し、その後もインターネット網の整備を進めてきた斯界の「第一人者」だ。政府のデジタル政策にも深く関与し、現在はデジタル庁の顧問も務めている。

 そのデジタル庁が中心となり、マイナンバーカードの普及を進めるも、個人情報の“誤ひもづけ”などのトラブルが続出している。

日本になじまない部分が

 連日のようにメディアで報じられ、国民が不安に駆られる中、村井氏の自宅を訪ね、今回の“マイナカード騒動”について聞くと、こう続けた。

「デジタルIDは多くの国で導入されており、マイナンバーの必要性は明らかだと思います。カードという点も特に異論はありません。アメリカではカードではなく、ソーシャルセキュリティーナンバーと呼ばれる番号だけで運用しています。ただ、そうするとアメリカのように指紋をどうやって集めるか、などという話になり、日本になじまない。従って、こういう(ナンバーとカードによる)運用になったのだと思います。オペレーション的なところは私にはわからないですが、カードは9千万枚を超えるところまで普及しています。口座との結び付けがうまくいかないといった不備があっても、全体の比率からいえば、それほど心配することではないと思っています」

 そう言って、マイナンバー制度の有用性を力説する。

5年後、10年後に…

「2011年の東日本大震災の時は福島などの被災者の住民の情報が津波で失われてしまったことがありました。その時にマイナンバーがあれば、できることがたくさんあったはずです。ニューヨークに住む私の友人によれば、コロナ流行時、市が補助金を発表した翌日には口座に600ドルが入金されたそうです。このような世界が日本にはまだない。仕組みとしてしっかり作り上げ、5年後、10年後に“いろいろ文句言ったけど、良くなったな”と言える時代が来ることを祈っています」

 そう村井氏が熱弁する一方で、騒動は収束の気配を見せていない。6月17、18日に実施された毎日新聞の世論調査では、岸田内閣の支持率は前回調査から12ポイント下落し、33%にまで落ち込んだ。マイナカードを巡る混乱が下落に拍車をかけたのは明らか。やはり、理想と現実は違うのである。

手作業で入力

 13日には松本剛明総務相が、地方公務員が加入するすべての共済組合に、正しくマイナンバーが登録されているか総点検を行うように要請した。

 マイナカードに別人の情報をひもづけてしまった地方職員共済組合兵庫県支部の担当者によれば、

「手書きで出された組合員の申請書から券面を作るためのデータにする際、生年月日を間違えて入力してしまったのです。その後、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)にその人のマイナンバーを照会すると、間違った生年月日と一致する同姓同名の方がいて、誤ってひもづけてしまいました」

 理想的なデジタル社会の礎が、原始的な手作業というのだから、何とも空しい。しかも、この支部では、大量の個人情報の登録作業をわずかな人員で行っていた。

「今回、誤ひもづけしてしまった作業では約5900人分のデータを手作業で入力していました。その担当者は主に5名。特定の端末でしかできない手続きもありますので、臨時に増員することが簡単にできませんでした。ただし、増員がまったく不可能だったわけではなく、作業量の見込みを含め、見積もりが甘かったのは反省しているところです」(同)

回線工事だけで300万円、という例も

 今後、さらなるトラブルの温床となり得るのが「マイナ保険証」である。

 政府は来年秋に従来の保険証を廃止し、マイナカードにその機能を一本化しようとしている。すでに、マイナ保険証の運用も一部で始まっているものの、医療現場からは悲鳴が聞こえてくる。医師らを悩ませる要素の一つが今年4月に義務化された「オンライン資格確認」。カードリーダーを医療機関に設置し、マイナ保険証をかざすだけで保険証情報を呼び出せるというシステムだ。

「オンライン資格確認を導入するための回線工事で300万円もかかったという開業医がいます」

 とは、北原医院院長で大阪府保険医協会副理事長の井上美佐氏。

「その回線はNTT東日本・西日本のフレッツ光でないとダメだというのです。私の医院はたまたまフレッツ光だったのですが、そうでないところは敷き直さなくてはならない。そもそもオンライン資格確認を導入すると補助金が約40万円おりるとはいえ、これは機器の設置費用に使われ、回線工事などの導入費用でさらに100万円もの大金がかかってしまう病院もありました。このシステムは、導入するのにお金ばかりかかってしまうんです。そこまでのお金を払えない、と廃業を検討する医院もあるほどです」

「責任を現場に丸投げ」

 旧電電公社が母体となっているNTTグループは、政界との癒着がこれまで散々指摘されてきた。自民党の政治資金団体に多額の献金を行い、マイナンバー事業も多く受注している。

 厚労省の担当者によれば、

「特別NTTに限定するような技術的要件を申請要項に書いているわけではありません。ただ、他の業者さんで不具合があったというのは聞いているので、あまり(他社を)推奨はしていない感じですね。問い合わせがあれば、(NTTを)推奨するようにしています」

 オンライン確認システム導入にNTTの回線を推しているのだから、政府を挙げて全国の病院に同社の商品を張り巡らせ、特定の企業をボロ儲けさせていると言っても過言ではない。

 さらに、患者の負担も増すことになる。何らかの不具合によりオンライン資格確認での保険証確認ができなかった場合、患者が医療費の10割負担を強いられる懸念が指摘されている。10割を請求されたケースは現時点でも全国で900件ほど確認され、慌てた政府はマイナカードの生年月日を確認できれば10割を請求しないで済むよう対応マニュアルを改定した、としている。しかし、先の井上氏は憤る。

「でも、もしその人物が保険に未加入だった場合、7割を医療機関が負担することになります。それにマイナカードには患者さんがどこの保険に加入しているかについての記載がありません。われわれはどの保険者に問い合わせればいいのでしょう。政府は責任を現場に丸投げしているようにしか思えません」

 井上氏によれば、マイナ保険証を使用した際、医療機関のコンピューターで「澤」や「濱」など、旧字体が表示されず、黒丸になってしまったり、患者の自己負担率が誤って表示されるなどの細かいトラブルが発生しており、効率化とは程遠い状況だという。

組織として意味のない役職

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。

「今までの保険証は2年おきに自動更新され、保険組合から自宅などに送られてきたので、手間はかかりませんでした。しかし、マイナンバーカードは少なくとも5年に1回は更新のために窓口に行かないといけません。介護を必要としている方はどうやって取りに行くのでしょうか。窓口に行かず、保険証の期限が切れてしまう国民が続出する事態も考えられます。そうすれば、国民皆保険制度から抜け落ちる人が出てきかねません。まさに、デジタル弱者をはじき出す制度です」

 なぜ、かくもマイナカードはトラブルが絶えないのか。

 そもそも、所管するデジタル庁の「組織的問題」が、かねて指摘されていた。河野大臣も6月9日の会見で、「普通の霞が関の役所とは組織体制が違う。それも(トラブルの)原因の一つだろう」と語っている。

「組織的問題の一つはCxOの存在です」

 とは、さる官邸スタッフ。デジタル庁が21年に発足した際、当時の平井卓也大臣が“目玉人事”として掲げたのが、このCxOだった。デジタル庁は縦割り打破を目指し、プロジェクトごとにチームを組む態勢で、業務を進めてきた。CxOはそのプロジェクトに関わる、雑誌でいうところの「編集長」のような存在。現在、グリー取締役の藤本真樹(まさき)氏がCTO(Chief Technology Officer=最高技術責任者)を務めるなど、5名のCxOがデジタル庁幹部として名を連ねている。

「このCxOが皆、民間企業などとの兼任者で名誉職のような存在になってしまっているのです。常勤ではないので、情報共有もうまくいっていないと聞きます。そもそも民間企業の役職者を政府の要職に招くことについては、菅義偉政権時代から“組織として意味のない役職”“情報漏洩の恐れがある”と官邸幹部に指摘されていたんです」(同)

官民混成部隊

 もう一つの問題として「官民混成部隊」であることが挙げられる。現在のデジタル庁の職員約900名のうち、民間からの登用は3分の1ほど。残りの3分の2が官僚ということになる。

 デジタル庁関係者が言う。

「官と民の文化が違いすぎて衝突することが多いんです。デジタル庁は席が決まっていないフリーアドレスなのですが、顔を突き合わせたい官の管理職同士が一定期間、近い席で仕事をすることを提案すると、民から“時代に逆行している”とクレームが入る。そういうくだらない争いが日々繰り広げられています」

 冒頭の村井氏はかような状況について、以下のように述べる。

「いまは民間人が上司でも、官僚から“一緒にやっていこうぜ”みたいな話がようやく聞こえてくるようになった気がします。現場は多少うまくいっていないところもあると思います。しかし、アメリカではリボルビングドア(官民の人材交流)が活発で、民間から役所に行く人がたくさんいます。民から官に行くと給料が半分になることもあるのに、彼らは“面白いから”と官に行く。日本でもそうすべきだと思いますし、新潮社の人だって霞が関に行って戻ってくればいいんですよ」

 だが、デジタル庁を統べる河野大臣は別の問題にも頭を悩ませている。最側近議員の不祥事だ。

“俺は国会議員だぞ!”

 麻生派に所属する自民党の高野光二郎参院議員(48)が、昨年末に地盤である高知県内の居酒屋で秘書を殴打し、流血させたと報じられた。それが原因で6月16日には辞職を表明。この高野氏、もともと河野大臣の父である河野洋平元衆院議長の秘書だった。

 13年に参院議員に初当選した後は河野大臣の側近として振る舞うことが多かったという。

「河野さんは高野さんが結婚するときの仲人を務めていて、弟分のような関係でした。派の親分である麻生太郎さんは河野さんに対し、仲間を増やすため“派内で飯を食え”と指導しています。その際、高野さんが幹事役となって食事会を開くことがあり、他の議員からは“なんでお前が”と敬遠されていました」(麻生派関係者)

 敬遠されるのは当たり前。高野氏は秘書への暴言やパワハラが日常茶飯事だったのだ。

「秘書に対し、気に入らないことがあると、書類を投げつけるくらいは当たり前で、“殺すぞ”“あごカチ割るぞ”と脅すこともありました。ある時は赤坂の路上で酔った高野さんの体が通行人と接触して激高。“俺は国会議員だぞ!”と叫び、トラブルになったことも。そんな無茶苦茶な人ですから、退職する秘書が続出していました。今回の事件を受け、派内では改めて“河野さんにはろくな側近がいない”とささやかれています」(同)

 河野大臣自身への苦言も。

「河野さんの“弱点”は、イラつくと官僚を怒鳴り散らすことなんです。ワクチン担当大臣だった時が顕著で、デジタル大臣になってからは我慢していたものの、最近は国会対応に追われてイライラが募っているみたいで……。あの悪い癖が出ないといいんですが」(官邸スタッフ)

人気に陰りが

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「マイナンバーをめぐる河野大臣の一連の対応には、批判を拒絶するような発言が目立ち、世論の人気という点では陰りが見え始めているように思えます」

 と、バッサリ。

「マイナカードにここまで不信感が高まると、保険証を予定通り廃止できるのか、疑問が湧きます。日本はマイナカードに公金受取口座も保険証も運転免許証も一本化する方向に向かっています。この点については一度立ち止まって考え直した方がいいのではないでしょうか」

 世界を見渡すと、アメリカを始め、デンマーク、オーストラリアなど、ICチップ付カードを発行していない国は多々ある。

 前出・デジタル庁関係者が指摘する。

「いま、役所で“カードが必要かどうか”を問題提起する人は当然いません。ただ、10年前にマイナカードを議論している頃は経産省などから“カードに依存しなくてもいいのでは”という声も聞こえてきました。スマホではできないかなども検討されましたが、個人認証の問題などさまざまな条件が整わず、結局実現しませんでした」

 ならば、せめてマイナ保険証だけは――。いまこそ改革派を自称する河野大臣の腕の見せ所であろう。

「週刊新潮」2023年6月29日号 掲載

 

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